崇められてた
妖精族の中で一番、自然そのままの中で暮らしているのはどれか?と聞かれると悩む者たちは多いが、逆の質問だと人々は口を揃えて一つの種族を言う。
それはドワーフだと。
「ドワーフの街は関所があるんだな」
ウンディーネの里はかなりの大きさだったが、関所なんてものは無かった。
港町では簡単な持ち物チェックみたいなのはあったが、ドワーフの関所は砦を兼ねているので巨大だ。
横幅20メートル程の洞窟の左右に塔があって、そこから鉄の大扉が洞窟を蓋をするようにある。
もちろん入るときにいちいち大扉を開ける訳ではなく、下の方に五つほどある小さな扉でいろいろチェックされて街に入るのだ。
ただ、五つの小扉があってもネズミーランドもビックリな行列ができている。
それにうんざりしている俺のつぶやきにドワーフのジェイが反応した。
「ドワーフ製の物はどれも一級品ですからね。商品や職人を守るためには、どうしてもこんな厳重な体制になってしまうんですよ」
ドワーフの職人が作る武器防具、その他はドワーフの収入源であり、どれもが高級品だから盗まれたり壊されると困るのだろう。
俺の国と違ってゴーレムによる阻止ができないからまず怪しいやつを入れないところに力を入れてるってことか。
勉強にはなるがうちでは使わんな。
暇だったので列を見て回るといろんな国の商人がものを売っていたので、色々買ったり暇を潰した。
珍しいものが沢山あって面白い。
これらをドワーフに売って、ドワーフの品を購入して国で売るのだそうだ。
商人に聞くと、少し前まではここまで行列にはならなかったらしいが、うちのダンジョンを利用する事で安全にすぐ行けるようになり、このような行列になってしまったと言っていた。
俺が原因か…………なら待ち時間に文句は言えないな。
そしてドワーフの門兵さん、仕事増やしてごめん。
更に話を聞くと、俺は商人たちから神様のように崇められているらしい。
あまりに褒めちぎってたので恥ずかしくなって逃げてしまった。
「くくっ」
「ユースケ様?何かいいことでもありましたか?」
「いいや、何でもねえよ。」
「?」
思い出し笑いをする俺を他のマスターたちが不思議そうに見ていた。




