インテリジェンスウエポン
「そこで二つ目の方法はこれだ!」
俺は鞄から革の手袋を取り出した。
「……なんの変哲も無いグローブに見えますが?」
「こいつはスーパーホーリーグローブスライム。聖属性の魔法のスクロールを全て食わせたホーリースライムに聖水をしこたま飲ませてスーパーホーリースライムにして、それにグローブを食わせたスライムだ。これを嵌めて」
恐る恐る剣の柄を握るが何も起きることなくあっさりとつかめた。
「な」
「素晴らしい発想です。流石はスライムのプロフェッショナル」
ソランは褒めてくれるが、グローブだけで握れるとは驚きだ。
最悪、ゴーレムをダンジョンから配下召喚して代理で抜いてもらうとこまで考えてたんだが…………邪悪判定ガバガバだったな。
力を込めると少しずつだが、剣が抜けてきた。
「おお!」
「よいしょっ!」
『やめろー!』
俺を止める声が聞こえたが、そのときには既に妖精の剣を抜ききった後だった。
「ソラン、どうして止めようとしたんだ?」
「いえ、私は感嘆の声しかあげてませんが……では誰が?」
俺とソランは周囲を見渡してみたが人っ子一人居ないし気配もしなかった。
だが、俺もソランも確かに声を聞いた。空耳のはずが無い。
二人で首を傾げる。
『くそっ、まさかダンジョンマスターなんかに抜かれるとは……不覚!』
今度はどこから聞こえたのかははっきり分かったので声の主を見た。
声の主はさっき俺が抜いたばかりの妖精の剣だったのだ。
「インテリジェンスウエポン?」
「意思を持った剣か!」
そういえばこの世界に来て今まで見たことなかったな。
ショップにも載ってなかったって事は、流石の先輩でも作ることができなかったのだろうか。




