宝物庫
「ユースケ様ぁ、どうしたんすか?急に俺たちを呼び出すなんて」
「そうですよ。私たち暇じゃないんです〜」
「…………」
俺はゲーム部屋にいた3人のダンジョンマスターを呼び出してあるものを見せようとしていた。
ダンジョンマスターは犬の獣人のゼカイ、シルフのキャロル、人族のセクメナ。
セクメナは携帯ゲーム機をピコピコ操作しながら無言で付いてくる。
何でこの3人かというと、暇そうだったから。それだけだ。
最近ダンジョンマスターたちは行動範囲が決まっていて、仕事してる奴らは街組、農地組、海組、工場組、教育組、観光地組と居て、見回りという名の散歩をしたり気まぐれに住人と一緒に作業をしたりしている。
この仕事組に対するのがこいつら娯楽組だ。
図書館組、ゲーム組、テレビ組、食堂組、全部ふざけてやがる。働けよ。
しかもこっちのほうが圧倒的多数だからな。
自分のダンジョンはそれなりにいじってるみたいだが、それ以外は完全にニートだ。
「いいじゃないか。皆忙しそうだから俺が作ったのを見せれるのがお前たちくらいしか居ないんだよ」
「うぃー」
「まぁ、そういうことなら……」
誤解されないために言っておくが、この三人はニートだが決して弱いわけじゃない。
ジョーカーとのバトル時にアダマンタイト装備のヒューマンスライムがそれぞれ一人ずつ、こいつらにやられている。
ランクで言うとそれぞれSS以上の実力は持ってるのだ。
だから本当に悪いのはこいつらが堕落する環境を作った俺だ。
あれ?どうして自分を悪く言ってるんだ?
三人を連れて行った所は新設したフロア。
「ここだ」
「……………………は?」
「きゃー!」
「す、すごい」
セクメナですらゲーム機をしまって見惚れるのは、巨大な宝物庫。
金塊の山に宝石の海。所々にアダマンタイトの剣やぞ防具を置いて、更に先輩作の魔剣や聖剣も贅沢に床に刺したり転がしてある。
「ゃー」
ワーニャがあまりの眩しさに目を覆うが口元はだらしなく緩んでよだれが垂れる。よっぽど気に入ったらしい。
成長したらずっとここに来そうだ。
他の赤ちゃんたちは財宝には目もくれず、哺乳瓶を指差してミルクを要求する。
三人はまだ放心状態なのでしばらく待ってると、突然宝の山の一つが動いた。




