変な兄妹
「どうしたんですか?皆さん」
ガキ……少年が不思議そうに黙ってる俺たちを見てると、先程まで商品を並べていた少女が近づいてきた。
「だから言ったじゃないですかマ……兄さん。この情報に銅貨一枚は安すぎると」
良かった。妹の方は常識があったようだ。
「銀貨一枚にするべきでした」
前言撤回!
「そうかな?じぁあこっちの価値はこの人たちに決めてもらおう」
バサッと、カウンターの下から少年は紙の束を取り出して置いた。
「これは!」
「五層までの地図です。と言ってもどの層も道は似たような物ですが。これなら銀貨一枚くらいはするんじゃないですか?」
「銀貨二枚でしょうマ……兄さん」
その地図は精巧に作られていて、所々に出てくるスライムの名前やトラップの種類が書かれている。
これをギルドに持っていくだけで金貨五枚は貰えるだろう。
「一枚だ」
「ほぉらぁ」
「くっ、負けました」
少年は勝ち誇った顔をし、妹の方はグッと拳を握りしめて悔しがった。
「二人とも外れだ。ミスリル貨一枚だ。ほら」
「「なっ!」」
俺がパーティー共有財産の内の半分を出したことで他の二人が驚きの声をあげる。
この兄妹は物の価値が分かっていない。
商人ってのは何でも高く売るものなのに、この二人は何でもかんでも安く見積もりすぎている。それを分かってもらいたいから少し多めに出した。
「ミスリル貨一枚?」
「そんなに頂いていいのでしょうか?」
「いいっていいって。さっきの情報分含めたらこっちに損はない」
本当のことを言うとかなりの大損だが、この二人が将来悪い大人に騙されてほしくないからな。
「うーん。でもなんか悪いなぁ。よし、じゃああれを。コアちゃん、あれを取りに行くよ」
「はいマ……兄さん」
そう言って少年とコアちゃんと呼ばれた妹は店の奥へ行った。
コアちゃんさっきから兄さんの前の語尾が変じゃないか?