建国宣言
「ゔぁーあ」
「あ、パパって言ったよな?老師、ティルがパパって言ったぞ!」
「ほっほ、緊張は解けましたかの?」
老師の言葉にハッとした。
俺はこの子たちが励ましてくれたような気がした。
「そう、だよな。情けないパパじゃかっこ悪いよな…………この子たちに恥じるようなことは俺はしたくない」
「一皮剥けましたかの」
その時孔明のアナウンスが俺を呼ぶ。
子供たちをギランに預けて演説台の方を見た。
「よっしゃあ!行くぞお前ら!」
「はっ!」
幕裏からでも聞こえてた人々の声が、前に進むたびに大きくなる。
俺が演説台に立ち、左右にダンジョンマスターたちが並ぶ。
ヴァイオレットたちは居ないので、代理のヒューマンスライムに変身してもらっている。
マイクをつけると俺の巨大な立体ホログラムが左後ろに浮かんだ。
これ魔法じゃないんだよ。
たまーにこんなオーバーテクノロジーがショップにあるんだよなぁ。先輩に世界観の概念はあるのだろうか?
俺は軽く呼吸を整えて口を開いた。
「本日はここまで来てくださった皆様にはまずお礼を。ありがとうございます。私はスライムダンジョン、ダンジョンマスターの五十嵐雄亮です。宣言の前に、一つ皆さんに話をさせてください」
そこにいる人々は何だ?と俺の言葉を聞こうと耳を澄ました。
「あるダンジョンマスターが居ました。
そのダンジョンマスターは人間に襲われないように様々な手を尽くしてきました。
しかし彼は人間と共に生きるという考えはありませんでした。
ある日、彼の敵のダンジョンマスターが勝負を仕掛けてきました。
彼は戦いに勝利しそのダンジョンマスターを仲間にしました。
彼の仲間となったダンジョンマスターには夢がありました。
種族関係なくすべての人々が幸せになれる街を作るという夢です。
その話を聞いて彼も………………私もそのような街があるならばと、夢見るようになりました。
人と妖精と獣人と魔族の子どもたちが共に学び、ともに食事をし、共に遊ぶことができる国を私は望みます。
誰も飢えることのない豊かな国を私は創ります。
この国を踏みにじろうとする者には屈しない!そのような者たちがいれば、私たちは己の誇りと命を懸けて戦います。
人々の持つ自由を私は奪わせはしない!
私はそのような国を作りたい………………ここに私はエスリメの建国を宣言します!」




