子供好き海賊
俺の分の宝をアイテムボックスに入れると、ごっそり減ったがそれでも宝は山になっていた。
船長たちは台車を使いながら宝を運び出し始めた。
あの分じゃ、何往復もするな。今のうちにソランに他のところも案内してもらおう。
「ん?」
どうも変な感じがしたので、アジトを出て島の草原に行くと俺のスライムたちがいた。
「てことはこの島にもダンジョンがあるのか」
このことがどこかの国にバレてたら財宝を先取りされてたな。
いやー、襲われてよかった。
「ユースケ様」
「ああ、悪い悪い」
次に行ったところは牢屋だった。
そこに入ってたのは大勢の子供。赤ちゃんもいる。
「おい、このガキ共はどうしたんだ?」
「さらっちゃあいねえさ。貧乏な親からガキを買って育てて立派な海賊にするつもりだったんだよ」
奴隷ってことか。
「てことはコイツラには帰る場所はないってことか」
「そうだ」
じゃあダンジョンに送ろう。
このまま世話するなんて面倒だ。
早速配下召喚でヒューマンスライムを呼んで、子供たちを連れて行かせた。
頭はその様子を放心して眺めている。
「おまえ、一体何者だ」
「スライムダンジョン、ダンジョンマスターの雄亮だ。よろしく」
「ちっ、とんでもないやつを襲っちまったぜ…………ダンジョンマスター⁉あのガキ共をどうするつもりだ!」
頭は慌てて俺にくってかかってきた。
なんだ?急に。
「ちゃんと不自由なく世話するさ」
分身がな。
「そ、そうか……」
あからさまにほっとしてる。
こいつもしかして……。
「子供が好きなのか?」
「ちっ、違う!断じて違う!」
大袈裟に首をブンブン振りながら頭は否定した。
過度な否定が肯定になってるぞ。
こんな厳つい大男が子供好きだなんて……俺は無性におかしくなった。
「ククッ」
「わ、笑うな!」




