リヴァイアサン
Side旅雄亮
ポートリアに着いた俺たちは、妖精族の大陸行きの船を探してると運良く見つかったので、翌日海に出た。
海風が気持ちいい。
「楽しそうね」
「まーな。一応島国出身だし、船にはよく乗ってたから」
昔から乗り物で酔ったこと無かったから船旅は楽しんでいた。
やはりこの世界の船は日本の物よりも揺れるので、何人かは酔って船尾でゲロゲロしてる。
馬車にいれば揺れがないんだが、護衛するとか言って離れようとしない。
必要ないって言ってるのに。面白い奴らだ。
「ヴァイオレットは平気なのか?」
「ふっふーん。あたしにかかればこんな揺れ」
とは言ってるが、ヴァイオレットは羽ばたいていて数センチ浮いている。
「…………それは、卑怯だぞ」
「うるさいわね!」
船首の方へ行って見渡す。海。海。海。
大陸なんてどこにも見えない。
なんとも言えない感慨深さだ。
しばらくすると、遠くの方に大きなアーチが見えた。
「あれは、虹?いや、でも影だよな」
「おや、あれは……」
俺が目を細めて考えてると、ジョーカーが隣りに来てつぶやいた。
「知ってるのか?」
「知ってるも何もボスのペットに居るじゃないですか。リヴァイアサンですよ」
「リーヴァ!?見ない間に随分大きくなったなぁ!」
「別個体に決まってるでしょ!」
そ、そうか。驚いた。
にしても巨大だな。まだ数十キロは離れてるぞ。
それなのにはっきり見えるなんてどれだけ大きいんだ?
「いいえ安全ですよ。体が見えてるということは、頭はもっと別の所にあるということですから。むしろリヴァイアサンの体が見えてない航海のほうが危険です」
船長が来て教えてくれた。
そうなのか。
うーん、リーヴァもあんなに大きくなるのか?
全長何キロメートルなのだろうか。
「一番身近なLランクモンスターと呼ばれてますからね」
そういえばリーヴァは進化したのだろうか。
俺の分身がフロアを作ってるはずだけど、相当大きくしないと大変なことになりそうだ。
リヴァイアサンの胴体は、俺たちが通り過ぎたあとも動き続けて、ついに尻尾を見ることはできなかった。




