なんか来た
「ユースケ様、街へのテレポートゲートを使おうとしている者たちがいます」
報告してきたのは街へのテレポートゲートを監視していたヒューマンスライムの一人だった。
こういった監視任務にはマスターたちよりも、24時間休憩無しで作業に没頭できるヒューマンスライムに任せた方が良い。
ダンジョンマスターに任せるとうっかり見逃したりサボりが多いからな。
「冒険者か?」
「いいえ」
新しい移民候補か?いや、だったら分身の俺が指輪を与えてるはずだ。
監視カメラの映像を見ると、貴族風の人間たちが何人かと、その護衛らしき騎士がいた。
「鎧の紋章を見るにセラン王国やガタカ王国、ダルシメン連邦やクロノ帝国……ストリア連合もいますのう。どこも周辺国家ですな」
「なんの目的だろう?」
「それこそコーメイ殿の出番かと思いますがの?」
正論。早速孔明と相談するために彼のオフィスへ行った。
「というわけだ」
「…………出迎えましょう。ですが、昔肖像画を書かれていて私は顔の知られているので、私が行くと雄亮さんが行く以上に警戒されるので行くのは雄亮さんと老師で行ってください」
確かにうちの頭脳である孔明が最初に行ったら警戒されるだろう。でも彼の助けが無いのは少し不安だな。
俺の気持ちを察してくれた孔明は、笑いながらいくつかアドバイスしてくれた。
その一、下手に出ない。その二、あまり情報を喋りすぎない。その三、かと言ってずっと黙りすぎるのも駄目。
良うするに大物ぶっとけばなんとかなるということらしい。
危なくなったら老師に頼ればいい。
至極分かりやすいアドバイスだった。
孔明のアドバイスを心の中で復唱しながらも俺は、緊張しつつ老師を連れてテレポートゲートの上に乗った。