コーメイ先生
「凄いです。指輪さえあれば生活できるんですね」
「我々の仕事は何があるのでしょうか?」
へえ、働かなくても生活できると言ったのに真面目な質問だなあ。
うちのニートマスターたちも見習ってほしいものだ。
「あなた方は計算ができるから店の売り子もできるし、土木とか知識の必要ない仕事もある。今のところ仕事をしているのはスライムばかりだが、人が増えたら少しずつ交代していってスライム率を減らしていくつもりだ。だから仕事のバリエーションはどんどん増えていくぞ」
街の住人は旅の途中で見つけていけばいい。最悪、間違って悪人を呼び込んだとしてもこの街では指輪のお陰で犯罪の一つも犯させはしないからな。
うーん、でも入れないって姿勢が重要だろうか。
やはり街に入るには入国管理官を置いてまず鑑定を受けさせよう。
「そうだ!ユースケ様、先生が居ればより良い街づくりができると思います。先生を探して呼んでみてはどうでしょうか」
「どうしてそう思う?」
「先生は村の畑を見て、これこれを植えなさい。その後はこれこれを育てなさいと指示しました。その通りにしたら、その年から村は豊作続きになったのです」
避難民、住人たちは『先生』がまるで神様かなにかのようにその逸話を話し讃えた。
土の状態や気候を見て、それに最適な作物を選んだってことか?
先生は礼儀、戦の行方、農業のどれもが優秀なようだ。他にも色々できるらしい。
そんな傑物現代社会にもそう居ないぞ。
相当教養があるんだな。
「その先生の名は?」
「コーメイ先生です」
高名な先生でコーメイ……高名、こうめい、孔明?
「なるほど………………なるほど⁉」
俺は、自分の耳が信じられなくて思わず声が裏返って叫んでしまった。




