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僕のゴーレム作成能力の自由度が高すぎて、不可能はない気がしてきました。  作者: 九鹿蓮司
第六章

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6-12 まさか飛んだりは……?

「うわっ!」

「きゃああっ!?」


 新しく出現した巨大魔王に気を取られていると、背後でプリムラとシャルの悲鳴。

 どうやら足の速い昆虫系の魔王に急接近されたようだ。って言うか、あれはどこからどう見てもGだ。


「いやああっ!」


 ゴバンッ!!


 その魔王との射線上にパトリシアたちがいるためにM61の発砲をためらっていると、クラリスがそのテラテラと黒光りするGの魔王を大盾で殴りつけた。

 それと同時に、大盾に装備しておいた5連装の射出装置から、一斉に20ミリ弾丸ゴーレムが撃ち出される。


「えい、このっ! ぅやっ、たあっ!」

「このサイズでまさか飛んだりは……?」

「ちょっと、もう。嫌なこと言わないでよアナベル!」


 勇気あるクラリスの攻撃で動きを止めたGの魔王が、全員から袋叩きにあっている。

 あの調子なら、任せておいても大丈夫そうだ。


「……シモン!」

「シモンさまっ、後ろをっ!」


 パトリシアとアナベルが僕の方を見て叫ぶ。急いで振り返ろうとするけれど、その前に強烈な衝撃に襲われた。

 次の瞬間、周囲の景色が猛スピードで流れ始めた。目の前にはマーブル模様の巨大な拳がある。あの巨大魔王に殴られたか?

 ……と思ったけど、これは殴り飛ばされたというわけじゃなく、近接自動防御機能が発動して回避のために自分からジャンプしただけのようだ。急激な加速のせいでちょっと気分は悪いけど、ダメージはない。


「ハイマニューバ!」


 せっかくの速度を着地で殺さないように、ギガンティックを高速機動モードに変形させておこう。

 ギガンティック・ハイマニューバは、先端に球形タイヤを備えた4本の脚で走行する。変形完了後、その4脚を接地させて再加速。追撃してきた巨大魔王の手を躱しつつM61バルカンを斉射した。


 ヴヴウゥゥウウゥォオオオオオオオォォンッ!!


 足元を固定しない走行中のフルオート射撃で、軌道が大きく逸れる。射線もブレまくりで狙いは定まらないけど大丈夫。自動追尾機能付きだから。

 撃ち出された300体以上の20ミリ弾丸ゴーレムたちが、緩やかなカーブを描いて巨大魔王の顔から肩にかけて着弾。体内で二次魔晶石から僕の魔力を放出する。

 ……だけど正直、あんまり効いている感じがしないな。他の魔王なら跡形もなく消滅するレベルの攻撃なのに。あの巨体には20ミリでも力不足ってことか。


 高速で回り込みながらもう一斉射試してみるけど、結果は同じ。

 やっぱりダメだな。作ったばかりでテストもまだだけど、もっと大きいのを使おう。



 急ブレーキで足を止め、鈎爪にした4本の脚の先をざくりと地面に突き刺す。さらに2本の脚を生成して、これも地面に固定。

 砲撃の反動に耐えるために本体は大きく重く、そして重心を低くする。そこに載せるのは、アダマンタイトゴーレムを一撃で倒した8.8センチ砲だ。


 前回は1発撃つために圧搾空気タンクを空にしてしまって連射ができなかったので、その反省からコンプレッサーの数を倍の24個に増設した。

 それを4個ずつ接続した6個のタンクが、それぞれ一射分の圧搾空気を蓄積する。1個のタンクが射撃可能な圧搾空気を貯めるまで、およそ5秒。それが6個あるわけだから、計算上毎分72発の発射速度になる。

 それだけじゃなく、低い空気圧でもそれなりの初速を得られるように砲身を24口径から56口径、つまり約5メートルに延長した。


 そんなこんなで完成したのは、低い姿勢でぐぐっと6本の脚を踏ん張り、ハンヴィーと同程度まで大型化した本体の上部に長砲身の主砲を備えた多脚戦車。

 ちなみに2本の腕もM61を構えたまま健在だ。8.8センチと同時には撃てないけど。


 僕が変形のために動きを止めている間にも、何条ものブレスが襲いかかってくる。それらは全て、厚さ100ミリを超えるアダマンタイトの前面装甲の表面で火柱になったり氷結したりするだけで、本体内部の僕にまで影響を及ぼすものはない。

 巨大魔王が顔を大きくヘコませて特大のブレスを放って来た時にはさすがにちょっと焦ったけど、これも結局、表面をわずかに溶かすだけに留まった。

 でもこれはちょっと何発も受け止めてると危ないな。早めに決着をつけよう。



 数秒後、圧搾空気タンクの圧力が十分に上がり、射撃可能になった。

 今回の場合、砲弾は魔王の体内に留まらなければ本領を発揮できないので、貫通力を得るための高い初速は必要ない。それよりも毎分何発撃てるかという発射速度の方が重要だ。

 まずは巨大魔王のブレスを封じておくため、その頭部に3発ほどお見舞いする。


 ドゴンッ! ドン! ゴォンッ!


 前回よりも初速を落とし、8.8センチ砲弾ゴーレムも100パーセント無垢のアダマンタイト製からフルアダマンタイトジャケットの鋼鉄製にしたことで4キロほど軽量化したけれど、それでもやっぱり反動は凄い。

 1発撃つごとに6本の脚で支えられた本体が大きく揺れ、地面に突き刺した爪先がズッズッと後ろへズレていく。


 放たれた砲弾ゴーレムは、反動によってズレた照準を自分で修正しつつ、3発とも巨大魔王の頭部に命中した。何せ頭だけでも今の僕と同程度の大きさがあるんだから、むしろこれは外しようがない。

 その着弾の衝撃で、四つん這いの巨大魔王の上半身が大きく仰け反る。そして砲弾ゴーレムに内蔵されたテニスボール大の二次魔晶石から大量の僕の魔力が放出されると、巨大魔王の頭は水風船のように呆気なく弾け飛んだ。


 おおっ。思った以上に破壊力があるぞ。


 頭部を失った巨大魔王は、苦しむようにマーブル模様の色を変えながらうねらせている。

 まだ崩壊しないところを見ると追撃が必要みたいだけど、その前にまずひっきりなしにブレスを浴びせてくる周囲の魔王を片付けていこう。

 激しい轟音を響かせながら最大速度で主砲を連射し、魔王の数と同じ15発の8.8センチ砲弾ゴーレムを射出。それぞれが緩やかなカーブを描いて目標に着弾する。

 今度は文字通りの一撃必殺だ。体内に大量の僕の魔力を放出された魔王は、崩壊を待つまでもなく瞬時に消滅した。


 そうして魔王の群れを全滅させたあと、巨大魔王に対してありったけの8.8センチ砲弾ゴーレムを撃ち込む。全部できっちり100発、身体中くまなく被弾した巨大魔王も、ついにサラサラと崩れて消えていった。



「シモン、大丈夫? 怪我はしてない?」

「お怪我があれば私が治しますよ。二人だけでどこか静かな、落ち着けるところへ行きましょう、シモンさま」

「格好よかったぜシモン! 今度おれにも撃たせてくれよ!」

「よく考えてみると私たち、魔王と戦ってたんですよね…… ふぁぅ……」

「あっ。大丈夫ですかクラリスさん! しっかりして下さい!」


 しばらくは新手の出現を警戒していたけど、結局何も起こらなかったので、ほっと一息ついて全ての武装を解除した。

 パトリシアたちが僕と同じようにフレックスアーマーを解除して駆け寄ってきて、シャルは緊張が解けてフラフラになったクラリスを支えている。


 腑に落ちない事だらけだけど、一応これで一件落着か。


 そう考えつつパトリシアたちの方へ歩きだそうとすると、突然目の前にメッセージが現れた。



 "お疲れさまでした。神の御座所にご案内します。(はい)"



 その内容を飲み込むより早く自動的に「はい」が選択され、覚えのある浮遊感と共に僕の視界は真っ白になった。


 ……なんだよそれ、「いいえ」がなかったじゃないか。

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