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僕のゴーレム作成能力の自由度が高すぎて、不可能はない気がしてきました。  作者: 九鹿蓮司
第五章

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5-10 物騒だなぁ

 男からラゲドファミリーのアジトを訊き出すと、ちょうどパトリシアたちが悲鳴を聞き付けて家に入ってきたので、アナベルに頼んで男の怪我を治療してもらった。

 それから彼女たちにも手短に事情を説明すると、


「なるほどよく分かりました。では私が責任をもってもう一度治療をしますので、ひとり一発ずつお見舞いしましょう」


「そうね、それはいいアイデアだわアナベル。〈エクスプロージョン〉を使ってもいい?」


「問題ありません。手や足なら骨さえ残しておいて頂ければ、すぐに再生できます」


「よし、それならおれは〈ストーンニードル〉で行くぜ」


「……ひっ、ひいいいっ!」


 みんな完全に目が据わっていたので、僕が止めなければ本当にやっていたかも知れない。その雰囲気を感じ取ってか、男の方も怯えきって震えてるし。

 いや、この男が痛めつけられること自体は別に構わないんだけど、これから道案内してもらわなきゃいけないから、自力で歩けなくなるのは困るんだ。



「それじゃ、さっさと殴り込みに行こうぜ。シモン」

「そうよ。早くベックとフロリーを助けなきゃ」

「ついでにラゲドなんちゃらを徹底的に叩き潰しましょう!」

「わ、私もお供いたします!」

「叔父さま、私も一緒に行っていい?」


「いやいやちょっと待って! 危険だから。今日こそは僕ひとりで行くから、みんなは待ってて!」


「「「「「えええぇーっ」」」」」


 えええぇーっじゃない。プリムラはまあいつものことだけど、クラリスやシャルまで行く気満々ってどういうことだよ。みんな物騒だなぁ。

 そりゃまあ僕だって今回はかなり頭にきているから、気持ちは分からなくもないけど。でもやっぱり女の子たちを連れていくのは危ないと思うし、まして荒事に慣れていないクラリスとシャルなんかはもう論外だろう。


 そのあとしばらくの時間を説得に費やし、最終的にはグスタフさんが僕に同行するという条件と引き換えに、パトリシアたちは先に家に帰っていてもらうことになった。

 できればグスタフさんも女の子たちの護衛についていてもらいたかったところではあるけど、ここから家に帰る道中くらいなら、パトリシア、アナベル、プリムラの3人がいれば大抵のことには対処できるだろう。





 ベックの家でパトリシアたちと別れ、僕とグスタフさんは拘束した男の案内でラゲドファミリーのアジトへと向かう。

 アジトのある場所はもう詳しいところまで訊き出しているから別に案内は必要ないんだけど、これも一応念のためだ。


「言っとくけどよ、このおっさんがいくら強かろうが、アジトにゃ100人の仲間とボスがいるんだ。何せ神殿騎士団も手を出せねぇ俺らに、お前らなんか……」


「黙って歩け」


「ぴぎゃっ!?」


 男は時々思い出したように同じような脅し文句を口にしては、グスタフさんに関節を取られて悲鳴をあげている。

 神殿騎士団が云々、と言うのがこの男の決まり文句みたいになってるけど、たぶんそれは本当に恐れて手が出せないってわけじゃないだろう。前にグスタフさんが言っていたように、人道的な配慮で強硬手段に出られないだけなんじゃないかな。

 日本で言えば、警察に対して粋がってる暴走族みたいな感じだと思う。向こうが本気でかかってこないのをいいことに好き勝手してるんだ。



「ところで、アジトに着く前にシモン殿の心積りを聞いておきたい。この男の言葉を信じるなら賊は100人。ならず者とは言えいちどきにそれほど多くの人を殺めるのはどうにも気が進まん事ではあるが、それでも殺ると言うのであれば私も従おう」


「いやいやいや、僕たちはベックとフロリーを取り戻しに行くだけです。殺し合いに行くつもりは全然ないですよ!?」


 グスタフさん、ちょっと前に「皆殺しにして解決というわけには行かない」って言ってたじゃん!

 て言うか僕がそうしようって言ったら本当に100人殺すつもりなの!? この人がいちばん物騒だったよ、まったく!


「しかし話が通じんとあれば、実力に訴えるほかあるまい。痛い思いをさせてやれば一時は大人しくなるやも知れんが、いずれまた同じような悪事を繰り返すのは目に見えている。私やシモン殿が彼奴らを四六時中見張っているわけにもいかん以上、それが最も現実的で後腐れのない方法ではある」


 うん。それは確かにそうだ。

 今回僕たちがアジトに殴り込みをかけて全員を完膚なきまで痛めつけたとしても、いや逆にそれをすれば確実に、奴らは報復を企てるだろう。今後のパトリシアたちやシャルの安全を考えると、それが最善の策だというグスタフさんの主張も分かる。

 もし仮に今後一切の悪事を働かないと約束させたとしても、そんなのは所詮口だけのことだ。誰かがそれを監視していなければ……


 ……うん? あ、そうか、監視か! それならできるかも。


「グスタフさん、いい方法があります。ちょっと耳を……」


「ふむ。 ……ほう、なるほどな。さすがはシモン殿、それならば効果がありそうだ」


 よし、これでどうにか皆殺しは回避できそうだ。よかった。

 ……って、なんで僕が奴らの身の安全を考えてやらなきゃいけないんだ?





 ラゲドファミリーのアジトは、倉庫街の一角にあった。

 ならず者が身を隠す場所に選ぶだけあって、周囲に人気はまったくない。これなら僕たちがひと暴れしても一般の人への被害は少ないだろう。

 うん。これはこっちにとっても好都合な場所だ。


 一棟の倉庫の前に、5人の男がたむろしている。

 一見、無気力にただ雑談をしているようにも見えるけれど、あれが門番がわりの構成員らしい。

 僕とグスタフさんは拘束した男を連れたまま、無造作にその男たちに近付いて行った。ちなみに僕はフレックスアーマーとFN P90を装備済みだ。


「おいホラン、こりゃあ一体どういう事だ? そいつらは何だ?」

「まさかお前、ファミリーを売りやがったのか?」

「何のつもりか知らねぇが、お前ら、無事に帰れると思うなよ」


 門番の男たちがショートソードを抜いて迫ってきた。

 僕が拘束した男はもうすでに裏切り者扱いみたいだ。戦闘の邪魔になりそうなので、蹴飛ばして路地に転がしておく。


「ベックとフロリーという子供がここにいるはずだ。今すぐ連れて来ればできるだけ痛い目には会わせずに済ませてやろう」


「はあ? アタマおかしいんじゃねぇかお前? ホランに案内させて来たってことは、俺たちが何者なのかも知ってんだろ。たった二人で何をどうしようってんだ?」

「そんなに死にてぇんなら、お望み通りここで死なせてやろうじゃねぇか」

「ちょうど退屈してたところだ。簡単に死ねると思うなよ?」


 はい、交渉決裂。まあ、さっきので素直に二人を返してくれるなんてことは1ミリも思ってなかったけどね。

 ジリジリと散開しながら間を詰めてくる男たちに、僕はFN P90のフルオート射撃をお見舞いする。対人戦で弾丸ゴーレムのリーサルモードを使うのはやっぱり僕にはストレスが大きすぎるので、いつものスタンモードだ。


 タタタンッ! タタタンッ! ズパタタタタタタンッ!!


「ゲァッ!!」

「うぎゃあっ!?」

「ふべらぐぱッ!?」


 ほんの2、3秒で5人のうち3人が10ミリ弾丸ゴーレムの餌食となり、残る2人はグスタフさんが素手で昏倒させていた。

 僕は手早く5人をミニゴーレムで拘束し、その間にグスタフさんは地面に転がるショートソードの1本を拾い上げる。


 さすがにこの騒ぎは倉庫の中の相手に聞き付けられたようで、閉じた扉の向こうからガチャガチャと慌ただしい金属音が聞こえてきた。


「うむ。それでは参ろうか、シモン殿」


「はい。派手に行きましょう、グスタフさん」


 いよいよ突入だ。

 グスタフさんと頷きを交わし、僕は分厚い倉庫の扉を思い切り蹴破った。

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