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僕のゴーレム作成能力の自由度が高すぎて、不可能はない気がしてきました。  作者: 九鹿蓮司
第五章

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5-4 垣間見ました

 いろんなことがあって思わぬ長風呂になってしまったけれど、お風呂自体は広くて快適だった。

 僕は今はまた自室に戻って、作業を再開している。


「上がりました。お湯は抜いて軽くお掃除しておきましたよ」


「ごめんねクラリス、ありがとう」


「お疲れさまでしたクラリスさん。どうぞご自由に、そのあたりの空いている場所に座ってください」


「はい。……どうして皆さん床に座ってるんですか?」


「いつもシモンがそうしてるからじゃねぇかな。たぶん」


「そうなんですね。……あ、お茶でも淹れましょうか?」


「お茶ぐらいならあたしが淹れるわよ。クラリスは座って髪を乾かしてて」


「そうですか? それならお言葉に甘えさせてもらいますね」


「では、お茶の準備は私がお手伝いしましょう」


「そうねアナベル、お願い」



 そしてやっぱり、みんな僕の部屋にやってきた。お風呂上がりの女の子が、4人もだ。すごくいい匂いがする。

 さっきまでパトリシアとアナベルは床にペたんと座ったままタオルで髪を拭いてたんだけど、その仕草がちょっと色々ヤバいくらい色っぽかった。アナベルにすら色気を感じるくらいなんだから、それはもう相当なものだ。

 クラリスはクラリスで、頭にタオルを巻いた格好で寛いでいる。これはまたこれでヤバい。


 一方、プリムラは指でわしゃわしゃと髪をかき混ぜて何度か頭を振ったら、もうほとんど乾いてた。犬かな?


 それからパトリシアたちは作業を続ける僕の手元を囲むように座り、お茶を飲みながらお喋りをして、時々は僕もその会話に参加したりして過ごした。

 そこで聞いた事だけど、この家のお風呂は薪とかの燃料じゃなくて魔道具で湯を沸かす仕組みになっているそうだ。さすが異世界。

 ただその魔道具を動かすには火魔法の適性を持っている人が魔力を流し続けなければならず、さっきはパトリシアがずっとその魔道具に付いていてくれたらしい。


 なるほど、彼女が僕にお湯の温度を聞きに来たのはそういう事情があったからなのか。

 僕たちの中で火魔法の適性を持っているのはパトリシアだけだもんな。



 しばらくそうして賑やかに時を過ごし、やがてプリムラのまぶたが下がり始めてくるとお開きだ。おやすみの挨拶を交わしてめいめいの部屋に戻る。

 その前にアナベルが僕のベッドにこっそり潜り込もうとして、パトリシアとクラリスに引っ張り出されるというお約束のイベントもあった。


 さて。静かになったし、もうひと踏ん張りしてから僕も寝ようかな。

 ……と思ったけど、みんなの残り香が気になって作業に集中できない。なんだかなぁ。





「起きてるシモン? もう朝よ」


「朝ごはんの準備ができてますよ。みんなで食べましょう」


 昨晩なかなか寝付けなかったせいもあって布団の中でまどろんでいると、パトリシアとアナベルが起こしに来てくれた。

 ああ、なんかいいなぁ。こういうの。すぐ行くよ、と返事をして身支度をしていると、扉越しに聞こえる会話がだんだん不穏になってきた。


「とは言っても、作ったのはアナベルじゃないけどね」


「パトリシアさんも見てるだけでしたけど」


「あ、あたしはちゃんと手伝ったわよ。……お皿の準備とか。アナベルの方こそ、何もしてないじゃない!」


「私は味見をしました。ちゃんと料理に関わってます」


「あれは味見じゃなくてつまみ食いって言うのよ!」


 たとえつまみ食いじゃなくて本当に味見だったとしても、それは料理の手伝いには入らないんじゃないかな、アナベル。



 一階に下りて食堂に入ると、食欲をそそられる香りが立ちこめていた。

 テーブルの上に並べられた食器にはオムレツとベーコン、温野菜が盛り付けられていて、おまけにポタージュっぽいスープまで添えられている。

 すごい。まるでホテルの朝食みたいだ。この世界の一般的な朝食メニューと言えば野菜スープとパン程度だから、これはかなり豪勢だな。


 パトリシアに促されて上座の席に座ると、厨房からクラリスとプリムラがこれまたいい匂いのする焼きたてのパンを持ってやってきた。


「おはようございます、シモンさん」


「お、シモン。やっと起きたか」


「おはよう。豪華な朝ごはんだね。プリムラがクラリスの手伝いをしてくれてたのか」


 僕たちがツーリードのハートランド邸にお世話になっていた時には、朝昼晩と食事は全部クラリスが作ってくれていた。

 だから今回もきっとそうなんだろうなと思って言ったんだけど、クラリスから返ってきた答えは驚くものだった。


「いいえ、今朝は私がプリムラちゃんのお手伝いです。私はパンを焼いたくらいですよ」


「へぇっ、そうなんだ。凄いな、プリムラ」


「そうなのよシモン、プリムラちゃんすっごく料理上手なの」


「はい。またひとつプリムラちゃんの意外な一面を垣間見ました」


「う、うるせぇな。ちゃん付けは止めろって言ってるだろ! ……今までは料理する必要がなかったから作らなかっただけだ」


 おお、照れてる照れてる。


 聞くとプリムラは、朝食の準備だけじゃなくてクラリスと一緒に朝早くから廊下や玄関ホールの掃除もしてくれていたらしい。こっちは途中からパトリシアとアナベルが引き継いだようだ。

 そうするとプリムラって、本当はすごく家庭的な女の子なんじゃないのかな。普段の言動は乱暴だけど。


 そして彼女の作ってくれた朝食は、見た目どおりにとても美味しかった。



「ごちそうさま。僕も後片付けを手伝うよ」


「そんなのはあたしたちがするからいいわよ。シモンはゆっくりしてて」


「そうですよ。片付けは料理の苦手なパトリシアさんのせめてもの仕事なんですから、取らないであげて下さい」


「それはあんたも同じじゃない!」


 食事のあと、食器洗いでも手伝おうかと思ったら断られてしまった。

 なんか僕ひとりだけ何もしてないような気がして、申し訳ない気分だ。


 料理は得意じゃないし、掃除もパトリシアたちだけで十分だと言う。

 洗濯は……僕が女の子の服を洗うわけにもいかないだろうし、あとは何があるだろう。お風呂の準備も、火魔法の適性がない僕にはできないしな。


 いっそお風呂を薪で沸かすタイプに改造するとか?

 いや、それはそれで薪の確保が大変そうだし、掃除の手間も増えてしまうから却下だ。

 湯沸かし……うーん、湯沸かしかぁ。この世界にもガスや石油はあるのかも知れないけど、少なくとも手軽に利用できる形で普及はしていない。魔法という便利な手段があるからだな。


 他に考えられる方法と言えば、やっぱり電気か。最低限、永久磁石と銅があればゴーレムで発電機は作れるだろう。コンパスはあるから当然永久磁石はあるよな。発電機に使えるほど大きなものが手に入るかどうかは別として。

 だけどそれで首尾よく発電できたとして、肝心のヒーター部分にはどんな材質が使われているかというような知識が僕にはない。IHなんて尚更で、仕組み自体がちんぷんかんぷんだし。

 それ以外の加熱方法って言うと……


 あ、そうか! あの方法があった!

 これなら僕のゴーレムで何とかできるかも知れないぞ。

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