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僕のゴーレム作成能力の自由度が高すぎて、不可能はない気がしてきました。  作者: 九鹿蓮司
第五章

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5-3 一緒に入ってもいい?

 賑やかな食事を済ませた頃には、ダンカンの店には夜のお客……つまりお酒目当ての人がちらほらと増えてきた。

 長々と居座って商売の邪魔をするわけにはいかないし、シャルの帰る時間も迫っているので、適当な頃合いで席を立つ。


 帰りの道中でも彼女は終始上機嫌で、また行きたいわ、と何度も言っていた。

 初めての外食、大成功のようで本当によかった。





 家に着くとちょうど皇家別邸からの迎えの馬車が到着していたので、シャルとグスタフさんはそのまま馬車に乗り込み帰って行った。

 僕たちも家に入るとそれぞれの部屋に解散。


 これまでに宿に泊まったりした時の経験からすると、しばらく経てば僕の部屋にパトリシアたち3人が訪ねてくるだろう。今日からはそこにクラリスも加わるのかなぁ、なんて思いながら床に座っていつものゴーレム増産を始めたけど、誰も来る気配がない。

 ちょっと肩透かしを食らったような気分でいると、小一時間ほど経った頃にノックの音がした。


「シモン、お風呂の用意ができたんだけど、入らない?」


 ドアを開けるとパトリシアがいた。

 えっ。お風呂? ……ひょっとして、パトリシアと一緒にってこと?


「……そ、そうじゃなくて! シモンからお先にどうぞって意味よ!」


 考えが顔に出てたんだろうか、パトリシアが顔を真っ赤にして否定してきた。そりゃまあそうだよな。ちょっとだけ期待したけど。

 だけど僕が一番風呂でいいんだろうか。準備の手伝いもしていないのに。

 そう聞いてみると、


「だって、この家の(あるじ)はシモンじゃない。最初に入るのが当然よ」


 ……という事なんだそうだ。

 確かにこの家を貰ったのは僕だから、僕の持ち物ってことになるんだろうけど、「主」なんて言われるとなんかくすぐったいような気分だよな。



 ありがとう、それじゃ遠慮なく、と礼を言ってパトリシアと一緒に一階に降りると、他の3人はリビングで寛いでいた。

 彼女たちにも一声掛けておこう。


「お風呂、悪いけど先に入らせてもらうよ」


「いいんですよ。シモンさまの残り香と出汁の効いたお湯を堪能するのが目的ですので、どうぞゆっくりなさって下さい」


「ちょっとアナベル、なに言いだすのよ、もうっ!」

「シモンさんの…… 残り香……」

「まあ確かに、シモンはいい匂いするもんな。……な、なんだよ?」


 アナベルはいつもの事だからいいとして、思わぬ発言に全員の注目を集めてしまったプリムラがたじろいでいる。

 は、恥ずかしい…… さっさと入っちゃおう。



 風呂場の造りは日本のものに近く、脱衣所で服を脱いで中に入ると洗い場の奥に浴槽がある。

 ただし普通の家庭の風呂とはスケールが段違いで、浴槽は5人くらい同時に入ってもまだ余裕がありそうなくらい大きい。


 秋も深まってだいぶ肌寒くなってきたので、すぐにでもお湯に浸かりたいところだけど、このあとパトリシアたちが入ることを思うと申し訳ないからまずはしっかりと体を洗う。

 サッパリしてから湯船に入ると、ちょうどいい湯加減でじんわりと体が温まってきた。気持ちいいな。


 ここ独立都市メリオラは上下水道がほぼ完備していて、しかも水道料金は家の大きさに応じて定額制だ。つまり水はいくらでも使い放題。そうでもないとこんな大きな浴槽に毎日水を張るなんてできないよなぁ。

 あとはここに温水シャワーがあれば申し分ないんだけど。いつも行っている公衆浴場にはちゃんとシャワーがあるから、それがないと余計に物足りなく感じる。


 ……なんて、異世界でこんなこと考えるのは贅沢かな。



 そんなことを考えながらゆったりと温まっていると、脱衣所に人が入ってくる気配がした。何だろう?

 すると風呂場の扉がとんとんと遠慮がちにノックされ、パトリシアの声が聞こえてきた。


「……あの、シモン、お湯の加減はどう? もしもぬるかったらもう少し沸かすけど……」


「え? あ、ああ、大丈夫。ちょうどいいよ。ありがとうパトリシア」


「そ、そう? それならいいのよ。じゃあごゆっくりどうぞ」


 それだけ言い残してパトリシアは脱衣所から出ていった。

 あー驚いた。風呂場の扉越しだけどこっちは裸だし、ドキドキしたよ。



 ……と思ったら、また誰かが脱衣所に入ってくる気配。パトリシアかな?

 ひょっとしたら、やっぱりあたしも一緒に入ってもいい? なーんて展開……にはならないよな。アナベルじゃあるまいし。


「シモンさん、これは洗濯してしまってもいいですか?」


 違った。クラリスだった。ちょっと残念。

 て言うか洗濯だって? まさかさっき僕の脱いだ下着のこと!?


 いやいやいや、クラリスは仮にも男爵家の当主だろ? その彼女が僕の服を洗濯するなんてどう考えてもおかしいよね?

 そもそもそれ以前に同い年の女の子に下着を洗濯してもらうとか、あり得ないよ。だって全自動洗濯機なんかないんだよ、全部手もみ洗いだよ?


「そ、それは自分で洗うから、そのまま置いといて」


「でもみんな一緒にした方が早く片付きますし、4人も女手があるのに男の方に洗濯をさせるわけにも……」


「いや大丈夫! 僕、洗濯超好きだから。それにこう見えて得意だし。いやホント大丈夫」


「……そうなんですか? そう言うことでしたら、このままにしておきますね」


 必死の言い訳でなんとか事なきを得て、クラリスは残念そうに出ていった。

 なんで僕の下着を洗えないことがそんなに残念なんだよ。アナベルじゃあるまいし。



 クラリスの声が聞こえなくなると、入れ替わりにドタドタと複数の足音ときゃあきゃあやり合う声が。


「シモンさま、お背中をお流ししますよっ」


「ちょっとアナベル、待ちなさいってば!」


「そう言われましても、入浴のお手伝いはメイドの務めですし」


「いつあんたがシモンのメイドになったのよ!?」


 そしてここで本当にアナベルの登場だ。

 また何かおかしな事を言っているけど、ちゃんとパトリシアが止めてくれているから大丈夫だろう。


 それにアナベルだって、僕やパトリシアをからかうためにやっているだけで、本気で入ってくるつもりはないだろうし。……たぶんね。


「なんだよ、誰も行かないんならおれが先に入るぜ」


「やだプリムラ、なんで服脱いでるのっ!?」


「えっ? みんなで一緒に入りに来たんじゃなかったのか?」


「……ちっ、違うわよっ!」

「素で入ろうとしていただなんて、プリムラ……恐ろしい子っ!」

「私は、ただお洗濯が……」


 あ、危ない…… どういう勘違いだよプリムラ。脱衣所にみんながいてくれてよかった。

 彼女の意外な行動のおかげで、扉一枚を隔てた向こう側は大騒ぎだ。


 あれ? 脱衣所に女の子4人がいるってことは、僕、このままじゃ風呂から上がれないよね?


 ……のぼせそうなんだけど、どうしよう?

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