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僕のゴーレム作成能力の自由度が高すぎて、不可能はない気がしてきました。  作者: 九鹿蓮司
第四章

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4-10 シモンといる時がいちばん

 僕たちがライタスに戻った頃には、メリオラへの帰路につくにはもう既に遅い時間だったので、その日はウォーレンの家にお邪魔させてもらうことになった。

 ウォーレンが集落の住人に事の顛末を説明し、それを聞いた人がほかの集落にも報告に行ったため、町長をはじめあちこちの集落の顔役のような人がわざわざ僕に礼を言いに来てくれた。


 さらに日が落ちる頃には、戦場に召集されていた人たちの一部がライタスに戻ってきて、僕がここにいることを知って駆けつけてくる。

 おまけにその人たちの家族や近所の人まで一言お礼を、なんて言って集まってきたので、ウォーレンの家のある集落は大勢の人でえらい騒ぎになってしまった。

 しかも戦場から戻ってきた人たちは僕が勇者だということを知っていて、実際に目の前で戦うところを見られているからもう大変だ。僕はあっという間に英雄みたいに祭り上げられ、しまいにはお供え物まで捧げられる有様だった。


 そんなわけで居心地はあまり良くなかったけど、ウォーレンとアンナが僕の友達だってことで一目も二目も置かれるようになったことでまあ良しとしよう。

 お供え物は結局断りきれなかったので、全部受け取っておいて孤児院に寄贈した。その事にはパトリシアも喜んでくれたから、僕としても満足だ。



 そして翌日、これ以上騒ぎが大きくなる前にと僕たちは急いでライタスを出発し、来た時と同じようにサルザリスの街で一泊してからメリオラへと帰った。





「あー。なんか、ようやく帰って来れたって感じだなぁ」


「運転お疲れさま、シモン」

「シモンさまはずっとお忙しかったですからね」

「……ふぁ? もうお家着いたの?」


 思わず漏れた僕のセリフに、パトリシアとアナベルが労いの言葉を掛けてくれた。

 プリムラはずっと爆睡していたので寝起きモードだ。


 それにしても今回のライタス行は、往復の旅程を含めてもたったの5泊6日だったんだけど、やけに疲れた。

 向こうに到着してすぐにパトリシアたちと別れて戦場に行き、ちょっとだけ参戦して帰ろうと考えていたら勇者トウヤたちと闘うはめになって、辛うじて勝ったと思ったら今度は彼らと一緒にマルトニー伯爵とエディンバー伯爵の悪事を暴いて成敗。……で、一応の目的は果たしてウォーレンと一緒にライタスに戻ってきたら英雄扱いで、ゆっくりする間もなく逃げるように帰途につく。

 こうして思い返してみても、往復の道中以外、気の休まる間がなかったもんな。


 でもそれとは反対に良かったこともある。それはもちろん、パトリシアとキスしかけたことだ。

 結局はアナベルに邪魔されて頬に……だったけど、そのあとに衝撃の告白もあったし、あれは今思い出しても顔がニヤけてしまう。


 その緩んだ表情のままチラリと助手席を見ると、同じく僕の方を見ていたパトリシアと目が合って、彼女はちょっと照れたように微笑んでくれた。

 やっぱりパトリシアは可愛いなぁ。こんな美少女と両想いだなんて、本当に夢みたいだ。





 僕たちがメリオラに到着したのは夕暮れ前の時間で、そこから皆でダンカンの店に晩ご飯を食べに行き、食後には4人揃って公衆浴場へ行って汗を流した。

 そして今、なぜかパトリシア、アナベル、プリムラの3人が僕の定宿「金鴨亭」の狭い部屋に一緒にいる。ベッドを除くと3畳ほどのスペースしかない場所に、風呂上がりの女の子が3人もいるわけだけど、こんな状況にも少し慣れてきてしまっている自分が恐ろしい。


「なんであんたたちまで着いてくるのよ?」


「パトリシアさんこそ、こんな時間にシモンさまの部屋に押しかけて、いったい何をするつもりなんですか?」


「あ、あたしは別に何も…… ただシモンと一緒にいたいだけで……」


「そういうことなら、私もそうですよ」


 パトリシアとアナベルの間で、バチバチと飛び散る火花が見えそうな言葉の応酬が交わされる。

 こんな美少女ふたりに「一緒にいたい」なんて言われてるのに、何だろう、この居心地の悪さは。

 そしてプリムラは、さっき露店で買ったプレッツェルみたいな焼き菓子を黙ってポリポリ食べている。何とはなしにその様子を見ていると、僕の視線に気づいた彼女が菓子を口に運ぶ手を止めた。


「そんなに一緒にいたいってんなら、家でも買って一緒に住めばいいんじゃねぇか? ……まぁおれも、シモンといる時がいちばん楽しいし」


「!!」


「……な、なんだよ? おれ、変なこと言ったかな?」


 色んな意味での爆弾発言で注目を浴びたプリムラがたじろぐ。

 いやいや。女の子3人で一緒に住むってことならともかく、そこに僕が混じるとか、それはどう考えてもないでしょ。


「……悪くないわね、それ。シモンと一緒にいていちばん楽しいのはあたしだけど」


「それは盲点でした。シモンさまを想う気持ちがいちばん強いのは私ですが」


 ええっ。アリなの!?

 て言うか、一緒にいて楽しいなんて言ってもらえるのは素直に嬉しいんだけど、アナベルみたいな言い方をされるとちょっと恥ずかしいな。

 ……いやそんなこと考えてる場合じゃない。止めなきゃ。


「ちょ、ちょっと待っ……」


「でも部屋は別々よ。1階に居間と食堂と、2階にそれぞれの部屋がある大きな家がいいわ。それでシモンの隣の部屋はあたしだから」


「いいでしょう! それなら、私の部屋はシモンさまの部屋の中に作ります!」


「なによそれ、どういう事よ?」


「おれは部屋はどこでもいいけど、どうせならお風呂のある家にしようぜ」


「それはいいですね。お湯は魔法でどうとでもできますし」


「お風呂付きの家なんて、かなり大きなお屋敷になっちゃうんじゃないの?」


「手頃な大きさの家を選んでおいて改装するという方法もありますよ」


「あ、そうね。それなら……」


 こうして結局僕の声は彼女たちに届くことなく、家探しの話はかなり具体的なところまで進んでいってしまったのだった。

 ……みんな、どこまで本気で言ってるんだろう?

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