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僕のゴーレム作成能力の自由度が高すぎて、不可能はない気がしてきました。  作者: 九鹿蓮司
第三章

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3-4 一緒に行ってくれねぇかな?

 一応、ウィロウさんには、彼らの症状が呪いではなく病気の一種なのではないかということは伝えておいた。

 ただ呪いだろうが高所恐怖症だろうが、母なる大樹(マザーツリー)に住めないことに変わりはないし、有効な治療法も知らない以上、今の時点で僕にできることはない。



 翌朝、出発しようとする僕たちを、里の人が総出で見送りに来てくれた。

 皆を代表してウィロウさんが一歩前に出る。


「異郷の勇士、シモン殿よ。気が向けばまたいつなりと来るがいい。その時は里を挙げて歓迎しよう」


「あ、はい。……えーっと……」


「じゃあな親父、行ってくる」


「達者でな、プリムラ。皆さんに迷惑をかけるんじゃないぞ」


「ちょっと! なんであんたがこっち側にいるのよ!?」


 パトリシアがたまらずツッコミを入れた。

 そう。見送られているのは僕とパトリシア、アナベル、そしてプリムラの4人だ。彼女は今朝から当たり前のような顔でこっち側に紛れ込んでいる。


「なんでって、昨日シモンはおれを賭けた闘いに勝ったんだから、おれはもうシモンのものだ。一緒に行くのが当然だろ?」


「でも、あれはウィロウさんの勘違いだったんですから、もう無効なんじゃないんですか?」


「いいやアナベル、掟は掟だぜ。な、親父?」


 そんな賭けをした覚えはないし、僕のものとか言われても困るんだけど。

 それに昨日ちゃんと要らない、って言ったよね?


 僕たち4人からそれぞれ意味合いの異なる視線を浴びせられ、ウィロウさんは苦笑する。


「すまんな、シモン殿。言い出したら聞かんのだ。娘の気の済むようにさせてやってくれ。こちらとしてもシモン殿が預かってくれるのであれば、一人で飛び出されるよりよほど安心もできるしな」


「そうだよ、シモンは強えもん!」


 そう言うとプリムラは、やけにキラキラした眼差しで僕を見上げてきた。あちゃー、昨日の試合が原因か。もっと手加減した方がよかったかな。

 そんなプリムラの様子を見て、パトリシアとアナベルがはあぁ、と溜め息を漏らす。


「もう。しょうがないわね」

「まったく。仕方ないですね」


 えっ? 連れてくの?

 てっきり二人とも反対だと思ってたのに。


「付いてきてもいいけど、ちゃんと言う事を聞くのよ。プリムラちゃん」


「そうですよ。あと乱暴な言葉遣いも直しましょう。可愛いプリムラちゃん」


「うるせー! ちゃんはやめろよちゃんは!」


 ああ。また賑やかになりそうだ。





 里を出た僕たち4人は再び小型RVゴーレムに乗り込み、昨日置いておいたマーカー役ゴーレムを辿って街道へ戻る。

 ウィロウさんからは娘が世話になるからと、結構な額のお金とエルフの霊薬なるものを頂いた。上級治癒魔法と魔力回復の効果があるらしい。


 あと、数百年を生きる長命種であるエルフのプリムラは、見た目12、3歳くらいだけど実はもう数十歳……ってわけでもなく、パトリシアやアナベルと同い年の15歳だそうだ。

 魔法は風、水、土、治癒に、容量は小さいけど〈ストレージ〉も使える。

 だけど昨日は丸呑みカエル(グロスイートフロッグ)に遭遇する前に魔法を使いすぎていて、魔力切れの状態だったらしい。



「おれと同い年なのに、もうCランクなのか。すげぇじゃんパトリシア!」


「そ、そう? こんなもんだと思うけど」


「いいなあ。おれも早く一端の冒険者になりたいよ」


「あたしたちと一緒にいればすぐよ、そんなの」


 車内ではプリムラがパトリシアの冒険者登録証を見せてもらって、瞳を輝かせている。パトリシアがちょっと得意げだ。

 ……どっかでダンジョンに潜ろうとか言い出しかねない雰囲気だな。


「シモンはきっとAランクだよな! あんなに強いんだもん」


「僕はEランクだよ」


「へっ?」


「シモンは冒険者になったばかりなのよ。依頼もまだ一つしか受けてないから。でも、その依頼って言うのがね……」


 まずい。パトリシアが「地下城」の話をし始めた。しかもアナベルに聞かせた時より脚色が増えてるじゃないか。どこの英雄譚だよそれ。

 ああっ。アナベルがそれを引き継いで神殿騎士との一戦を語りだした。あれはまあ……確かに瞬殺だったよな。あと、いつの間にか僕はアナベルを守るために戦った事になっているようだ。盛りすぎだろアナベル。

 て言うか二人とも、僕が勇者だってことあっさりバラしちゃってるよね? そこはもうちょっと気を付けようよ。今度からね?


 プリムラはキラキラした目で、食い入るようにしてそれを聞いている。いちいち大げさなリアクションをする彼女に、話す方も楽しそうだ。

 僕はあまりに持ち上げられ過ぎてて、いたたまれない気持ちだけどね。



「あのさ、『グレートラグーン』に行くんだったら、その近くに『果てなき樹海』って有名なダンジョンがあるんだけど、一緒に行ってくれねぇかな?」


 話が一段落ついたところで、興奮気味のプリムラがそんなことを言い出した。

 それを聞いてパトリシアがぱちん、と胸の前で開いた手を打ち合わせる。


「あー。聞いたことあるわね、それ。じゃあ、アナベルは留守番ってことで」


「何言ってるんですか。シモンさまが行くのなら私も行きますよ」


 いや、僕はまだ行くとも何とも言ってないんですが!

 それに勝手に話が進んでるみたいだけど、そんなの旅程には入ってないよ。観光旅行だよ。危ないことはしない……ってのはまあ、僕の言えたセリフじゃないな。


「ねぇシモン。みんなでダンジョンに行ってもいい?」


 胸の前で合わせた手をそのままに、パトリシアが体ごと僕の方を向いてずいっと距離を詰めてきた。うわ可愛い。こんなの断れないじゃん。

 お願いの内容はちょっと殺伐としてるけどね。


「いいけど、ちゃんと準備を整えてからだよ。あと安全第一で」


「わかってるわ。ありがと、シモン」

「やったぁーーーっ! いてっ!?」

「ふふっ。とうとう私の実力をお見せする時が来たようですね」


 パトリシアは満面の笑顔、プリムラは思わず立ち上がって天井で頭を打っている。アナベルはどこの厨二だよって感じで腕組みだ。


 あーあ、やっぱりこうなっちゃったか。

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