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僕のゴーレム作成能力の自由度が高すぎて、不可能はない気がしてきました。  作者: 九鹿蓮司
第二章

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22/79

2-9 扱い慣れてますからね。

 フレデリックさんに聞いたところ、ハートランド家がムラーノ伯爵から借り受けたとされる金額は、日本円にしておよそ200億。そして返済の残高は50億。


 ……桁が。桁が大きすぎてピンと来ない。

 ていうか逆に、150億円返済したってとこが凄いよな。


 ちなみにその50億円、アダマンタイトに換算するとどのくらいの量になるのか聞いてみると、このくらいですかな、と言って両手を肩幅くらいに広げていた。

 なるほど、直径50センチくらいか。……あれ? そうすると僕の持ってるアダマンタイトゴーレムの残骸って、ひょっとしてとんでもない金額になるんじゃないの?


 それを知って一瞬、僕が手持ちのアダマンタイトでその借金を肩代わりしようかとも思ったけど、それじゃあムラーノ伯爵からの借金が僕からの借金に変わるだけで、根本的な解決にはならない。

 一応、他にも案はある。試してみよう。





 僕はクラリスに頼んで、鉱山に案内してもらう。

 鉱山といえば狭くて暗い坑道をツルハシで掘り進む、って感じのものをイメージしてたんだけど、来てみると全然違った。大規模な露天掘りだ。


「うわぁ。大きい穴ね」


「こんなのは初めて見ます。壮観ですね」


 すり鉢状に掘られた巨大な穴は少し歪な円形で、差し渡しは数百メートルあるだろう。

 ただ、そこには作業をしている人の姿は全く見えなかった。


「おや、お嬢。今日はなんの用かな?」


 穴の縁にある作業小屋から、ずんぐりした体型の中年男性が出てきた。

 髭も立派だし、まるでドワーフみたいだな。……いや、ドワーフなのか?


「お疲れさま、ジョゼフ。この方たちに鉱山を案内してあげたいんですが、構いませんか?」


「ああ、構わんとも。今日の仕事はもう終わりだしな」


 そう言うとドワーフのような男、ジョゼフさんは、こっちだ、とスタスタ歩き始める。その先には、巨大な石造りの建物があった。

 ジョゼフさんの先導でそこに入ると、これまた大きな四輪馬車が何台か停められていた。


「まずコイツが〈ディグ〉の魔道具だ。これで地表から鉱床までの土砂を取り除く。鉱床まで掘り進んだら次はこの〈クラッシュ〉の魔道具で……」


 ジョゼフさんはそれらの大きな魔道具を一つずつ指し示しながら、採掘の手順を説明してくれた。

 どうやら僕の思う中世的な鉱山のイメージとは違い、相当に機械化……じゃなくて魔道具化が進んでいるみたいだ。頭数が必要なのは、砕いた鉱石を運んだり選別したりする工程だけらしい。



 そうして採掘され、破砕された鉱石はこの建物に運ばれ、選別炉という魔道具によって溶かされ、成分ごとに分けられる。

 その時点ではまだ純度が低いので、それをまた別の専用の炉を使って、職人が何日もかけて精錬するんだそうだ。


「どの魔道具も、動かすには大量の魔晶石がいる。だからここ数年は使っとらんな。その辺の事情は、お嬢から聞いとるか?」


 ジョゼフさんの問いに、僕たちは頷きで答える。

 聞いたのはクラリスからじゃなくフレデリックさんからだけど。


「おまけに職人もおらん。何もかもムラーノのせいだがな。今はワシが自前の土魔法と火魔法で細々とやっとるだけだ」


 そう言って作業台の上の黒鉄色の塊を手に取った。

 僕にとっては見慣れた素材、アダマンタイトだ。握り拳ほどの大きさがある。重さで言うと2キロくらいか。

 ジョゼフさんは、ワシ一人ではひと月かけてこれが限度だ、と苦笑した。





「ジョゼフさん、僕も採掘してみていいですか?」


「お嬢がいいと言うならワシは構わんが…… 素人に簡単にできることじゃあないぞ」


「とりあえず、できるかどうか試してみるだけですよ」


 胡散臭そうに僕を見るジョゼフさんだったが、クラリスの後押しもあって渋々ながら採掘場へと案内してくれた。

 そこは要するに、さっきのすり鉢状の大穴の底だ。


「ここの鉱床は優秀だが、それでもどこを掘っても同じと言うわけにはいかん。いいか坊主、まずは鉱石の見定め方だが……」


「この辺の石にはアダマンタイトが多そうですね」


「……何で分かった?」


 そりゃもう、アダマンタイトは扱い慣れてますからね。

 魔力を流した時の反応というか、気配みたいなもので何となく分かる。


「「ふふん」」


 そして後ろの方ではパトリシアが腕を組み、アナベルは腰に手を当ててそれぞれ得意げに胸を張っていた。

 クラリスはそんな二人を見てちょっと引き気味だ。なんかごめん。



ゴーレム作成(クリエイトゴーレム)


 岩盤に手を当ててゴーレムを作り出し、命令を書き込む。

 できあがったのは、僕の作れるゴーレムの最大サイズである1辺1メートルの立方体ゴーレムだ。

 底に申し訳程度の短い脚が4本ついていて、それをちょこちょこ動かして前に出てくる。


 目を点にしてその様子を見つめているジョゼフさんとクラリスの前で、立方体ゴーレムは力むようにぶるぶる震えると、地面にぽたりと3つの小さな塊を落とした。

 ひとつは金色、もうひとつは銀色。そしてさらにもうひとつは黒鉄色。


 僕がそれを拾おうとすると、その前にジョゼフさんがすごい勢いで地面に座り込み、その塊を手に取った。

 彼はしばらくそれを検分したあと、呻くように呟く。


「金にミスリル、アダマンタイト…… このまま出荷したって問題ないくらいの純度だ…… こりゃあ驚いた……」


 僕がゴーレムに書き込んだ命令は、体内にあるこの3種類の不純物(・・・)を固めて排出しろ、というものだ。

 我ながら、僕のゴーレムたちの融通の効き具合が恐ろしい。


 そして後ろの方ではパトリシアが以下略。



「それだけで、どのくらいの価値がありますか?」


「……へっ? ……あ、ああ。そうだな、全部で10万ディルは下らんだろうな」


 なるほど。10万ディル、つまり100万円か。

 この方法で50億円分を稼ぐには、これを5000回繰り返せばいいってことだな。



 ……5000回かぁ。さて、何日かかるかな?

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