始まり
異能力バトルものは初めてなので、ご指摘などがあればドシドシください。それでは、本編をどうぞ!
ある日突然、世界中で超能力に目覚めた者たちが現れた。その数は世界人口の一%らしい。世界は超能力者を放ってはおかなかった。超能力者は一ヵ所に集めされ、世界中から集められた研究者たちによって超能力の研究をさせられていた。超能力者が集められた場所は、太平洋の上に位置する水上都市「アクエリアス」であった。
水上都市「アクエリアス」は超能力者と一部の研究者によって成り立っており、その生活には超能力が組み込まれていた。「アクエリアス」に存在する四つの学園でも授業の中に超能力を使ったものもあった。
四つの学園、サン学園、ムーン学園、スター学園、ユニバース学園では、その学園内ごとに順位が存在していた。学力による順位とは別に超能力を取り入れた戦いによって付けられた順位であった。
アクエリアスでは、一年に一度だけ四校合同の大会が行われる。その大会で優勝したものはどんな願いでも叶えてもらえると言われている。そのため、多くの学生たちは超能力を取り入れた戦いに魅入られ、頂点を目指した。この男もまたそんな戦いに魅入られたのであった。
◇ ◇ ◇
寒すぎる冬も過ぎ、やっと過ごしやすくなる春になった。春と言えば、故人曰く出会いと別れの季節だと言う。本当にそうだろうか?だいたい出会いも別れもない奴にとっては、どんな季節でも同じに見えてしまうのしょうがないのだろう。詰まるところ、故人が言った春という季節は出会いと別れの季節ではなく、暖かく昼寝がしやすい季節に訂正すべきである……違うか?違うな。
何が言いたいのかというと、つい一月前に中学校を卒業した俺はユニバース学園に入学し、高校生になったわけだが、入学式を終えて一週間が経った今でも友達が出来ていないのである。つまり、簡単に言えばクラスで孤立している、浮いている、まあ所謂ところのボッチということだ。
いや、まあ別に友達とか要らないんですけどね?いや、ホントホント。う、羨ましいなんて思ってなんかいないんだからねッ!
入学してから一週間が経ったということで一年生たちは今日が初めての順位戦するということになっているのである。
順位戦というのは、自分よりも上の順位である生徒に挑み、その勝敗によって順位が変わったり変わらなかったりする。
そういうわけで、うちのクラスである一年二組の連中はめちゃくちゃ騒いでいる。つか、うるせぇ!静かにしろよ。
順位戦が行われるユニバース学園の闘技場に着いた速見たちの前に一人の先生が立った。
「君たち一年生には今から順位戦に参加することになるが、事前に志望してもらった順位の者と戦ってもらうぞ。それでは早速始めていこう。最初の試合は、一年二組速見煉対学園順位第一位佐藤燐だ」
えっ……俺からですか?いや、順位戦とか面倒だから適当に一位の人を志望したら、まさかの一番最初に試合することになるとは。まあ、いいか。どうせ、遅かれ早かれやらないといけないからな……
そんな憂鬱になっていた速見の耳に周りからの陰口が届く。
「うわっ、アイツ学園順位第一位の先輩とするとか自殺行為だろ」
「ぜってぇー調子乗ってるだろ」
「どうせカス能力だろ」
周りから速見に届くのは人をバカにしたような声や速見を嘲笑う声であった。
まぁ、クラスで孤立しているやつなんてそう思われて当然ちゃ、当然か。これは甘んじて受け入れておこう。とりあえず、目の前のことに集中だな。
速見が会場に降りると、すでに佐藤は来ており、速見を待っていたようだ。速見の姿を確認すると佐藤は話しかけてきた。
「一年生で俺に挑む人がいるとはね……よろしくね、速見くん」
佐藤のキラキラリア充オーラに一瞬立ち竦んでしまったが、佐藤の目を見てしっかりと挨拶を返す。
「こ、こちらこしょ、よろしくお願いします」
……だぁぁぁぁ!かんでしまったぁぁぁぁ!何故だ!何故なんだー!やはり一週間ぶりに人と話したのがいけなかったのか!?佐藤さんも笑っちゃってるし、最悪だ……
落ち込んでいる速見を置いて、先生は試合を始めようとする。
「二人とも位置について。………それではこれより一年二組速見煉と学園順位第一位佐藤燐による順位戦を行う。戦闘開始ッ!」
「速見くんには悪いけど、最初から少し本気で行かせてもらうよ。強化開始」
瞬間、佐藤の体が赤く光り一瞬で速見の真上に移動していた。
「なっ!はええよ!」
速見の真上から垂直に落ちながら、拳を振り下ろしてくるのをなんとかして避ける。しかし、佐藤が落ちた衝撃により、地面にはクレーターができてしまった。
ばかでしょ!あんなのまともに食らったら
死ぬに決まってんじゃん!
佐藤は追撃をやめず、絶えず速見に攻撃を繰り出してくる。その度に速見は必死の思いで避ける。五回目の攻撃を避けたあと、佐藤は追撃をしてこなかった。速見が不思議に思っていると佐藤は速見に話しかけた。
「何故君は能力を使わない。舐めているのか」
佐藤さんの声には少し怒気が含まれており、少し、いや結構怖かったです。
「いや、避けるのに夢中で忘れてました。俺もここからは本気でいかせてもらいますよ。トップギアで飛ばすぜ」
速見が能力を発動させるのを確認すると同時に攻撃を繰り出してきた。しかも、さっきまでの攻撃が温く見えるほどのスピードでだった。誰もが避けれずに終わってしまうと思ったのだが、佐藤が拳を振り下ろしたところには何もなかった。つまり、攻撃を避けられたのである。
「なっ!どこに行った!?」
「そう叫ばないでくださいよ」
「後ろだとッ!?」
速見は佐藤の攻撃を避けたあと、超高速で佐藤の背後に回り込んだ。しかし、さすが第一位と言うべきか、反応が遅れたのにも関わらず速見の攻撃を後ろ飛んでから避けてしまった。
佐藤が速見を見る目は明らかに最初のような優しい目では無くなっていた。今はまるで野生の獣のように速見を敵として認め、全くの油断も無い状態であった。
「驚いたな……まさか、攻撃をかわされるだけでなく、背後まで取られるなんて……正直舐めていたよ」
「そりゃ、どうも」
「けれど、もう油断はしない。ここから先は本気でいかせてもらうよ」
「お手柔らかに……」
再び佐藤が速見に攻撃を開始するが、次からは速見を攻撃を流し、そして反撃をしていた。この二人のスピードは明かに常人の視覚では認知できずにいた。
「あれが学園順位第一位の力か……」
「それよりもアイツは何者だよ!学園順位第一位の人と渡り合えるとか、ホントに同じ一年かよ……」
佐藤の能力は強化。自身の身体能力を強化する能力である。シンプルが故に最強。だからこその学園順位第一位である。
だが、しかし彼速見煉の能力は一体何なのだろうか?学園順位第一位である佐藤と渡り合える能力なんてどんなものなのだろうか。
「一体君の能力は何なんだい?」
佐藤は速見に攻撃を繰り出しながら、質問をする。速見はその攻撃を避けながら、質問に答える。律儀である。
「別に隠すもんでもないんで、教えてもいいッスよ」
一度速見は佐藤からの攻撃を避けきってから、距離をとる。
「俺の能力は高速化ですよ」
そう答えた速見煉の顔は不気味に笑って見えていた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。次回、「決着」速見と佐藤の勝負の決着!