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九想   幸せ者






あけましておめでとうございますっ

遅すぎるわこの野郎って感じですが一応

さてさて、今回のこの求ですが(略し方考えてみた)

最初ふんわり中どっしり後すっきりって感じです

なんのこっちゃい?

と思う人はぜひ“この求”をご賞味あれ

(今回は重めかもですがコメもあり)



ふぅっ、なんとか奏樺の助けもありなんとか課題の7分の1は終わった。

・・・・・・なに?なんでこの量を1日とたたず終わらせることができるの?


神様は不公平って言葉・・・本当なんじゃないかしら?

神様信仰宗教には悪いけれど


「ねぇ、もう今日はちょっとやめない?」

横に涼しげな顔をして座ってるムカつく天才イケメンに私は提案してみた。

「そうですね。亜衣・・・今日はよくがんばりましたね」


ん〜、1日で終わった人から言われてもなぁ

私の表情を読み取ったのかはしらないけど


「この調子で7日間やっていけば終わりますって」

と笑顔で言った。

スマイル0円どころじゃない。

100万ドルの夜景ならぬ100万ドルの笑顔だ。


「そっ、そうね。がんばらなくっちゃ」

そう言われたら何も言えないじゃない。


けど、こんなに早く宿題が終わったのは奏樺のおかげだということも事実だ。

一人だったら今日やった半分も行かないだろう。

ちょっと恥ずかしいけど・・・


「ねぇ、奏樺」

「はい?」

純粋そうな顔で私を見つめながら返事をしてくれた。


「・・・アリガト」

呆気に取られような顔を少しした後

少し笑って


「どういたしまして」

と彼は返した。


「では、夕食の支度がありますから僕はこれで・・・

あっ、今日も楽しみにしておいて下さいねっ?」

と言って部屋から出て行った。


楽しみに・・・ね

私は、親が海外へ行ってからあまり食事というものを楽しく感じたことはなかった。


一人で食べる朝食

友人と食べる昼食

一人で作る夕食


正直に言うと私は寂しかったのかもしれない。

両親の席のあいた食卓

家では話す人もいなくて・・・

話を聞いてくれる人もいなくて・・・

どこかにで辛い部分を無理に押し込んでいたのかもしれない。

それでも仕方がないって自分に嘘をついて

それでも“寂しい”って両親にわがままを言うこともしなくて・・・


私は・・・自分の話を聞いてほしい人が欲しかったのかもしれない


人と話す機会は学校と休日

家では宿題をしたりテレビを見たり・・・眠ったりするだけ

時折小さい頃の・・・まだ家族3人で食事をすることが当たり前だった頃の夢を見た。

夢を見た日の朝は必ず顔や枕に涙が伝った跡があった。


私は弱いのかもしれない。

でも、お父さんとお母さん、友達の前では虚勢を張って強がったり平気な振りをしてきた。


それなのになんでここにきてこの気持ちが揺らぐのだろう?

そして私はなんて・・・なんて自分勝手な人間なのだろう?

自分で決めたのに・・・自分が勝手に決めたのに最後まで“演技”ができない。


みんなで食事をする。

一緒に眠る。

人と話す。


たったそれだけなのに

たったそれだけのことなのに嬉しくて嬉しくてたまらない

そして思ってしまう。

もういいのかもって・・・

もう“ふり”なんてやめてしまってもいいのかもって・・・


そんなことを思う私と『絶対に続けなきゃって思う』意地っ張りな私がいて

“ふり”をやめたいと思っている私と“ふり”を続けなきゃっておもっている私がいて

思い悩んでる私がいる。


そして、悩んでる私に優しく微笑んでくれる彼がいて

優しくされて揺らぎそうになる。

涙が私の頬を伝い机やノートを静かに濡らしていく


奏樺・・・奏樺・・・


「奏樺っ」


「はい?」


・・・・・は?

誰もいないはずなのに返事が返ってきたのに私は驚いた。

彼が私に近づいているのがわかる。

「一応ノックはしたんですけど返事がなくて・・・すみません」


やっやだ!

今のカッコ悪い姿を見られたくない


「いっ、今はこっ、来ないひぇ!」

強く叫んだつもりだったけど泣いてるせいか変な声になってしまった。


彼が私の横に来た。

「どうなされまし・・・っ」

彼が息をのんだ。

多分・・・いや、絶対泣いている私を見て驚いたのだと思う。


私は急いで袖で目をこすって言う

「ああこれね?ちょっと目にゴミがはいっちゃって・・・」

自分でも苦しい言い訳だと思う

ゴミが目に入ったくらいでこんなに泣くわけがない


目をしきりにこする私の腕を彼が押さえつけた。

そして・・・微笑みながら私に言った


「良いじゃないですか・・・泣きたいときには泣くで何が悪いんです?」

そして私の腕を解放した彼の腕が、私の頭を優しく抱きしめる。


「あなたがつらい涙を流すなら・・・一人ではつらいのなら僕も一緒に泣きましょう」


その言葉が閉ざされた私の心の鍵を解き放ったのかもしれない。

歯止めがきかなくなり小さな子供のようにしゃっくりをあげて泣いてしまった。


「うっ・・うっ・・・うわぁぁぁっ!」

「いいんですよ。我慢しなくても・・・泣きたいだけ泣けばいいんです」


20分・・・いや、30分だろうか

涙が枯れ始めたとき彼の手が私の頭をなでてくれた。


ようやく頭を上げるようになって上を見上げることができるようになったので彼の・・・奏樺の顔を見たら


彼も泣いてた・・・


え?

一緒に・・・一緒に彼は泣いてくれたの?

そう思った時、枯れ始めたと思った涙が再びあふれてきた。

これは、つらい涙なんかじゃない

こみあげてくる思い


これは・・この思いは、しばらく感じたことのない感情


うれしいって感情だ


そう思ったら自然に笑いが出てきた。

「ふふっ。あははっ」

いきなり笑いだした私をぼうぜんと見ていた奏樺も次第に私につられて笑いだした。


今まで泣き声であふれていた部屋が今度は笑い声に満ちていった。

「あはっ。もういいよ。放して」


今度は自然にお礼を言うことができた。

「何かすっきりしちゃった。ありがと」

そう言うと彼は

「もう大丈夫そうですね?はい、どうぞ」

そう言ってハンカチを差し出した。


「ありがと。でも奏樺も」

受け取ったハンカチで彼の涙を拭く

彼の涙のしずくが一瞬でハンカチに吸収される。


そして、私も彼のハンカチでちょっぴりしょっぱいしずくを拭き取る。

「こうするとなんか奏樺の涙と私の涙・・・キスしてるみたいじゃない?」ってちょっと上目づかいで彼を見上げてみる


「えっ?ちょっと・・・へっ?それって」

どんどん赤くなっていく彼はなんだか・・・とっても可愛く見えた。


「あははっ・・・冗談よ」と笑ってると見せかけ彼の頭を抱きしめ・・・


彼の頬にチュッとキスをして急いで立ち上がり彼の目の前に立ってみる。

「えっ!」

と彼は私にキスされたところを手で押さえて狼狽している。


ここでトドメっ


「今・・・奏樺の手、唇に持っていってもいいよ?間接キスになるからっ」


できるだけ可愛く言ってみたら

さっきよりもひどくうろたえて

「え?えぇー?」

とか言ってる。


「さっ、奏樺が腕によりをかけて作ったおいしいごはん食べにいこっか」

と言って背を向けたら後ろから

「へっ?」

と驚いた声が聞こえた・・・


どうしたの?って訊く前に彼が驚いたわけがわかってしまった

ドアの隙間から


「ねっ、年頃の男女が二人っきりで何もないわけがないでしょ?」

「う〜む、嬢ちゃんがこんなに積極的だとは・・・」

「奏樺があんなにうろたえたの初めてですね」

と聞こえてきた。


「しっ〜静かにっ!気づかれるわよっ」

「おおっ、すまねぇ」

「気づかれたらおしまいですね」


私は、ゆっくりとドアを開けてみる。

そこには


麻島夫婦とミキ

3人はギョッとした顔をして


「は、は〜い♪亜衣。ご機嫌いかが?」

と言った。

その答えとして私は


「きゃーーーーーーーーーっ!」

と顔を赤くして屋敷どころか近所にまで聞こえるかと思うような声で叫んだ。


「いっ、いひゅから?」

ろれつの回らない舌で尋ねてみる


「い、いつからって・・・奏樺がハンカチを亜衣に差し出したところから?」

よ、よりによっていっちばん・・・いっちばん恥ずかしいところから?


「え、え〜と」

後ろでは奏樺が頬をかいている


「とっ、とりあえずご飯・・・ご飯食べましょ?ねっ?」

「おおっそうだな!飯だ飯!」

「ご飯・・・食べに行きましょ」


そそくさと“トリオ”が逃げていく

奏樺に目を向けてみると

「とっ、とりあえずご飯食べにいきましょう・・・か?」


私もうれしいのか怒っているのかそれとも恥ずかしいのか自分でも分からなくなり


「いっぱい食べるんだからっ」

と叫んでみた。


ただ、前のようにもやもやとした気持ではなかったということは確かだ。











 

いかかでしたか?

ちょっと、今回は書いてて自分でもぽろっと

是非感想を


本当に励みになります。

ではでは、またこの世界でお会いしましょう

2009年2月22日 


クロカラス 


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