魔術師のお客さん
「しかし、アメリアの嬢ちゃんしばらく見ない間にずいぶん大きくなったな。おらぁびっくりしたぜ」
巨漢の男とアメリアは仲良さそうにキッチンでお茶を飲んでいる。
ちなみに私もお茶の味や暖かさは感じている。これぞ毎晩の練習の成果だ。
あー美味しい。
おじさんは太い眉に細い目、長いもみあげに髪は短く切ってあって。
後ろに立っちゃいけない13な殺し屋みたいな見た目をしていた。
声が大きくて表情豊かだから顔以外はあまり似てないけれど。
「四年会ってませんでしたからね。私だって大きくもなりますよゴルドさん」
ゴルド!しかも名前がゴルドだなんてもう運命としか思えないねこりゃ。
「昔は人見知りで先生の後ろについて回ってばっかりだったのになあ」
「いつの話してるんですか、私が初めてお茶会に行ったときだから六歳とかじゃないですか?それは」
「はっはっは。懐かしいな〜」
楽しそうに二人が話しているのを見ると若干の疎外感を感じる。
私のこと知られるとめんどくさいことになりそうだから静かにしてなくちゃいけないんだけれど、それでも一人だけっていうのは寂しいね。
「ところでゴルドさんはなんでこんなところに来たのですか?」
「ああ、すまんすまん忘れていた。アメリアの嬢ちゃん今年はお茶会、来てくれるんだろうな?」
その言葉を聞いた瞬間アメリアが目を見開き驚いたような表情をした。
「あ、お茶会。僕すっかり忘れてました!もうそんな時期ですね、最近研究が忙しくって。お茶会ですか、今年も行かないわけにはいきませんか?」
「さすがに四年も顔出してないわけだしな。行かないとみんな心配するしまずいだろ」
「は~、ですよね。さすがにもう行かないと怒りますよね皆さん」
アメリアは憂鬱そうにため息をつく
お茶会ってなんだろ?四年も行ってないとかなんの話だろ?
「アメリアの嬢ちゃん、ちょっと話し変わるんだが質問いいかい?」
「なんですか」
ゴルドさんの細い目がより一層細められアメリアのことを怪しそうに見つめる。
「禁術かそれとも悪魔と契約でもしたかい?嬢ちゃんそんなに魔力量多くなかったろ昔は。さすがに四年たってもそこまで増えやしないはずだがな」
やばいかも私がアメリアの中にいることバレバレなのかな?
これ大丈夫なのかな。戦いになったりしないよね?
「流石にアヤメほどの魔力だとゴルドさんほどになればバレちゃいますか。これは早めにアヤメに魔力の操作を教えないといけませんね」
観念したように両手を広げ肩をすくめるアメリア。
「大丈夫なのアメリア?」
「心配しないでいいですよアヤメ、話せばわかってくれますから。ゴルドさん心配しないでも禁術なんかに手は出しませんし悪魔とも契約しません。実はですね・・・」
「ほ~異世界からの召喚ね。アメリアの嬢ちゃんも突飛なことをするもんだね〜。プフッしかしイライラして息抜きに術発動しちゃうとか、案外まだまだ子供なんだな。嬢ちゃんも召喚されたアヤメだっけか?あんたの方も災難だな」
ゴルドさんはアメリアの話を聞いてくっくっくと笑っていた。つくづく陽気なおじさんだ。
「いやー、笑った笑った」
ゴルドさんはひとしきり笑い終え出されていたお茶を飲み干すと、話し始めた。
「今の話を聞いたらなおさらだ、アメリアの嬢ちゃんお茶会に来な。アヤメの嬢ちゃんほどの魔力量なら俺でなくともある程度の魔術師なら感じ取れちまう。しかもその量だ悪用されかねねえぜそりゃあ」
「そうですね、早めに対処しないといけませんよね。行くしかありませんねお茶会」
「ちょ、ちょっとまってくれないかな。私なんのことやらさっぱりなんだけど」
二人で話を進められて私だけ置いてけぼりなんだけど。
勝手に何かわからないのに行くことになってるし。
私にも説明プリーズ。
「ああ、すいません。なんの説明もなしに」
「ん?どうしたアメリアの嬢ちゃん」
「いえ、アヤメに何も話してなかったもので私にも説明してくれと言ってきまして」
「あーすっかり忘れてたな、すまん俺が説明しよう」
ゴルドさんはゴホンとわざとらしく咳を一つして説明を始めた。
「さっきから言ってるお茶会とはただみんなで集まって楽しくお茶をって言うようなやつじゃねえ魔術師のお茶会だ。魔術師同士が年に一度集まってお互いの一年の成果を話し合ったり、お互いの無事を確認し合ったりっていうのが主な目的だな」
まあ、魔術師同士が集まって自慢しあうわけだ。なんて笑いながらゴルドさんは言ってくる。
「魔術師の術っていうんは貴重なものだったり危険なものが多いからな、たまに狙われたりするんだよ。だから、年に一度お茶会で顔を合わせて生きてるか見るわけだ。死ぬやつなんかめったにいねえけどな。ちなみに開催場所はアメリアの嬢ちゃんの実家」
アメリアの実家、確かアメリアって家族との間で何かあって一人で森で暮らしてるんだよね。
実家に帰るの大丈夫なんだろうか。
今も実家って聞いてちょっと目を下にそらしてたし。
「アメリアの嬢ちゃんは一人で森に住むようになってからお茶会に来なくなってな。さすがに四年も姿を見てないからって言うことでアメリアの両親、先生って俺は呼んでるけど先生から言われて迎えに来たわけだ」
なるほどねだいたい理解できたつまりは年に一度の発表会みたいな感じなのかな。
楽しそうじゃん。
そういやサラッと流してたけれど、四年前から一人暮らし始めたってことはアメリアって9歳から一人暮らししてるのか。
どおりでたくましいわけだ
「でも、アメリアいいの?家族には会いたくないんじゃなかったっけ」
「いいんですよ。いい加減行かないとと思っていましたしいい機会です。それにアヤメの魔力は早めになんとかしないといけませんし」
そんなに私の魔力って大変なことになってるの?
いずれ邪眼に目覚めたりしないよね?
「話はついたかい?お茶会の開催は二週間後だ、ここから先生の家までは大体十日くらい。明日には出発しておきたいな。いいかい?アメリアの嬢ちゃん」
「ええ、了解しました。早速荷物の準備をして明日出発ですね」
「ちなみにアメリアの家ってどこらへんにあるの?」
「私の家ですか?王都にあります」
え・・・異世界召喚ものでいきなり王都ですか。
次回、やっと家を離れます。




