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ヴァルハラゲート  作者: taxi
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ヨコシマの過去①

ふと、何のために生きているのかわからなくなる。


人間っていうのは、当たり前のように

毎日を過ごしているが、それは人生を消費しているってことだ。

時間っていうのは無限にはないし、今という時間は二度と巻き戻すことはできない。

それでもほとんどの人間は、ただただ人生を無駄に消費をしている。

ふとした瞬間に、それに気が付くかもしれないが、

結局は何もしないまま、後悔だけが大きくなっていき、

それが腐って、諦めや妥協をするようになる。



横島ユウキは、そんなことを考えながらタバコの煙を

肺に押し込んだ。

体に溜まった鬱憤となるべく暇を潰せるように、

長い時間をかけて、煙を体外へ吐き出した。




「・・・面倒くせぇ。」



まだ平日の昼間だというのにユウキは、

学校の部室であろう部屋で、大胆にサボっていた。



中学生時代は、音楽活動に励み、エレキベースを弾かせれば

右に出るものは居なかったユウキだが、目立つ人物には、

良い人間も悪い人間も近付いてくる。

多くの女性がユウキの演奏や容姿に魅力を感じ近付いてきた。

中学生とはいえ、一通り女を抱いたユウキには、

SEXとは呼吸と同じようなもので、もはや心躍らせる行為ではなかった。

それに引きつられ、ユウキのおこぼれに肖ろうと不良が周りに集まってきた。

ユウキが高校生になった今、その集まりは一つの大きな勢力になっていた。



”和田雷撃連合(WADA THUNDER'z)"と書かれた大きな旗と

特攻服が部室に堂々と飾られていた。



ユウキはイライラしながら、その旗を眺めていた。



「まったく、ダサい名前だよな」


そう言い、2本目のタバコに手が伸びたときに、

ドアが開く音がした。



ユウキが開いたドアの方をみると、

1人の男がズカズカと中へ入って来た。



「どうしたの~~ユウキちゃ~~ん、

 こんな時間からこんな所にいて~~。

 暇があるんだったら、仕事してきてよ~~。」


そう言いながら派手な私服を着た男はユウキに近付いてきた。

ユウキのその男に対する嫌悪感は表情に顕著に表れていた。


「・・・そんなの俺の勝手だろ、和田・・・」



ユウキがそういうと男は笑みを崩すことはなかったが、

眉毛が少し吊り上がった。



「ユウキちゃ~ん、和田じゃないよ~、

 和田さんだよ~。言葉使いには気を付けないとねぇ~。」


和田は、ユウキの肩を掴み、優しくそう言い聞かせた。



「チッ・・・」


ユウキは下を向き舌打ちをしたが、和田は気にも留めてなかった。



「そんなことよりさ、今日のイベント!

 女の子たくさん集めてくれた~~??

 今日のイベントは面白いゲストが来るから、

 綺麗な女の子連れてきて欲しいんだ~~。

 まぁユウキちゃんなら10人でも20人でも余裕だよねぇ~。」


そう言って、和田はユウキの顔を覗き込んだ。


ユウキは和田と目線を合わせることができず、顔には焦りが出ていた。




「和田、、、さん、、、アンタにはたくさん女を紹介したつもりだ。

 それにもう変な噂が広がってて、俺まで敬遠されてる。

 今の俺に女を呼ぶのは、無理だ。」



ユウキがそういうと和田は取り乱し始めた。

ユウキの胸倉を掴み、体を大きく揺さぶった。



「お前の意見なんて聞いてないんだよ!!

 言われたとおりにやれ!この役立たず!!

 クズ!!虫けら!!!

 イベントに失敗したら、お前の命だけじゃ足りないんだぞ!!」



和田が荒々しく叫び、ユウキの顔は唾まみれになった。



「アンタが何と言おうと俺にはもう・・・」



ピピピピピピピピピッ



最後まで言葉を発する前に、和田のポケットから電子音が聴こえた。




「ちょうど良い、呼び出しだ。ユウキお前も来い。」



下に転がされたユウキは、気怠そうに立ち上がり、

和田と共に部室を後にした。



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