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ヴァルハラゲート  作者: taxi
4/17

真実


監禁部屋のすぐ前には階段があった。


50段程の長い階段を昇ると、扉があり、ヨシアキは

扉を開いた。


「あれ?ここは?」


見覚えのある部屋だった。

たくさんの本が敷き詰められた部屋。

そう、ヨシアキの父親の部屋だった。


「本棚の奥にこんな隠し扉があるなんて

 全然知らなかった。」


今までの現実が覆される出来事ばかりで、

ヨシアキは困惑しながらも、飽きれて笑いが出た。



ゆっくりと部屋を見渡したが、

いつもと違った様子はなかった。



部屋から出るとそこには、

目を腫らしたナツキさんとつむぎの姿があった。




「おにいちゃーーーん!!」



勢い良く走ってきたつむぎは、

ヨシアキの胸に飛びついた。


「大丈夫、大丈夫だから・・・ごめんね。」



「お兄ちゃんがいなくなっちゃうんじゃないかって、

 つむぎ怖かった。本当に怖かった。」


ヨシアキは優しくつむぎを抱きしめ、

頭を撫でてやった。


つむぎは甘く微笑み、安心した顔を見せた。



「えへへ、お兄ちゃんもっと、撫でて~」


頬を赤らめたつむぎをみて、ヨシアキは愛らしい気持ちになった。

体に残る痛みを忘れ、癒しを感じていた


「ヨシ君・・・大丈夫だった?」


ナツキさんは心配そうな顔でこちらに近づいてきた。



「大丈夫だったよ。ただいきなり現実離れしたことを

 たくさん聞かされて、頭が混乱してるよ。」


ヨシアキは引きつった笑いを浮かべ、ナツキを安心させようとした。



「私、、、またあの人たちが現れたのかと思って・・・

 怖くって・・・。」



「あの人たちって?」



「高校時代に私を襲った人達よ。」




「不良たちに絡まれてって話は聞いてるけど・・・」



ヨシアキは更に混乱し始めた。



「単刀直入に言ったらどうだ??」

背後から大男が現れそう言った。



「ジャック・・・!」



「ヨシアキ・・・手荒くして悪かった。

 時間がないとも言ったが、君の力も見たかったんだ。」



「テメェ・・・」


ヨシアキは混乱した苛立ちをジャックにぶつけるしかなかった。

強く握りしめ、振り上げた拳をみて、ナツキは大きな声で叫んだ。



「待って!!ジャックは敵じゃない!!」



「ナツキさん・・・どういうことなんだ?」



「彼はヴァルハラの研究者であり、信者なの!」




「ヴァルハラ・・・なぜその言葉を知っているんだ!?」


さっきジャックの口からも「ヴァルハラ」という言葉が出た。


嫌、それ以前に俺はその言葉を聞いたことがある・・・


夢・・・、そうだ、夢に出てきたあの言葉だ。


しかしヨシアキが夢を思い出そうとすると激しい頭痛に襲われた。



「ヴァルハラって一体何なんだ・・・。」



「ヴァルハラとは神の世界。選ばれた者のみ行ける世界だ。

 そして、今現世でヴァルハラの力を感じる現象が多発している。」

 


「何が起きてるんだ?」



「大型自然災害、テロ事件、若者の引きこもりなど

 そういったことのほとんどがヴァルハラの影響で起きている。

 最近は特に目立ってないか?」



「確かにそうだけど・・・じゃーなんだ、

 ヴァルハラに選ばれた人間が現世で暴れまわってるって言うのか!」



「そうだ。間違って力を手に入れたものが、

 欲望のまま暴れ回ってるんだ。

 ソイツの力には周期があり、今がその始まりにある。」



「もしかしてナツキさんが怖がってたあの人達って・・・」



「そう、ヴァルハラの力を悪用している人たちなの。」



「このままだと奴らはラグナロクを起こしかねん。

 時間がない。そこでヨシアキの力が必要なんだ。」



「こんな訳の分からない話、俺には関係ないじゃないか!」



「いいえ、あなたは選ばれた人なの。

 いえ、選ばれるべき人だったの。あの人達の力は

 本来あなたのものになるはずだった。」


「どうして俺に?」



「それは、私がヨシ君を愛していたから。

 でもあの人達が、高校生の私を襲いその力を手に入れた。」



「ナツキさんがヴァルハラと何の関係が??」



「私はヴァルハラと現世を結ぶヴァルハラゲートなの。

 あの人達によってその扉が無理やり開かれた。」

 


「・・・・・」

ヨシアキは言葉が出なかった。



「そしてその時出来た子供が、つむぎなの。

 あの人の子供でも、つむぎは大事な娘だし、

 そしてヴァルハラゲートの後継者になるの」



ヨシアキがつむぎを見ると、つむぎは苦笑いをしながら

こちらの顔を覗いていた。



「許せないな・・・。

 どうすればソイツに会える!?」


ヨシアキがジャックのほうへ振り向き問いかけた。





ドドドドドドドドドドドドドゥゥドドゥドズーーン


その瞬間に、地響きのような爆音が鳴り響いた。

全員が一斉に耳を塞ぎ、うずくまった。



「なんなんだ、この音!!」


ヨシアキがジャックの顔をみると、

ジャックはこちらを見て大きく目を見開いていた。

いや、ヨシアキの背後を見ているようだった。



「ユゥゥウキィィィ!!!ヨコシマァァァァ!!!」



ヨシアキが振り返ると、そこには、黒のロングコートを羽織った、

長い髪を伸ばした男が立っていた。


「ユウキ・ヨコシマ」と名乗ったその男は、

楽器のベースのような斧をもって、優しくつむぎを見つめていた。


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