表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
舞う黒蝶は『謎』喰らうⅠ  作者: 夜暮橘花
9/10

動揺

しばらくして着いたのは、『取調室』とプレートのある部屋だった。


「中に入る前に、少し話をしようか」


アゲハがそう言った。


「話?」


俺が聞き返すと、アゲハが淡々と説明を始めた。


「これがら康弘には、武田の『謎』を見てもらうわけだが・・・何を診ればいいか分かっているか?」

「何をって?」

「一応言っておくぞ、何より診てほしいのは殺人の方法そして、その後家を出る方法だ」

「ああ、わかった」


キィィィィィ・・・という音とともに扉が開き、部屋の隅のデスクに女の警官が一人座っていて、部屋の中央にもデスクが一つと向き合う位置に椅子が二つ置いてあった。


――いかにも取調室といった感じの部屋だった。


そしてその片方には、あの男・・・武田信之が座っていた。

武田は前に見たあの時の状態と全く変わらず、放心状態だった。

しかし――突然暴れてもいいようにだろうか――手足は椅子につながれて身動きが取れないよう

になっていた。

さて・・・と三島が話し出した


「早速だけど、診てくれるかな、康弘君」


そういわれたところで気が付いた。


(そういえば俺・・・)


「どうやって『謎』を診ればいいのかわからない・・・」

「「「「「はぁぁぁ!?!?!?!?!?!?」」」」」

「あのっ、あまり大きな声は・・・!」


女の警官に注意された。


「「「「「すみません」」」」」

「とりあえず、一度出ようか」


そう、三島が言い、一度部屋を出た・・・とたん全員がこっちに目をやった。


そして、

「どうして」

と、アゲハ

「それを」

と、三島

「先に」

と、凱斗

「言わな」

と、紫

「いんですか」

と、美紀・・・が、順番にリズムよく言ってきた。


(おぉすげぇ、打ち合わせでもしてんのかな)


「だって一回見たんだろ?」

「そうは言ったって凱斗さん、意識的にじゃないんだよ」

「あぁ、そんなこと言ってたっけ」

「それはそうと、なぜ先に言わないんだ」


アゲハが会話に入ってきた。


「そう言われてもさ、俺も今の今まで気が付かなかったんだって」

「「「「「はぁ・・・・」」」」」


(全員同時にため息つきやがるし・・・ちょっと泣きそう)


「とにかく、初めて診たときを思い出してみろ」


アゲハに言われて、あの時のことを思い返してみた。


(そういえば・・・)


「頭痛に襲われる直前にあの男と目が合った」

「目が合った、か・・・とりあえずやってみろ」

「いや、そんな気がしたってだけで・・・」

「何も思い出さないよりはマシだろ」

「いやでも」

「いいからさっさとやれ」


ガシッ、と俺の頭鷲掴み・・・アイアンクローとか勘弁してくれませんかね、マジで。

その上、アゲハの切れ長の目に睨まれた、のでとりあえず試してみることにした。

だって怖いし!!

取調室に戻り、武田の正面に座った。

さっきまで座っていた女警官に武田の顔を上げさた。

武田の『謎』を見る前に俺は、


「診たら俺、多分っつーかほぼ確実に気絶すると思うから、よろしく」


と、伝えておいた。

前に目が覚めた時にたんこぶができたし、今もなくなっていない。

・・・痛いんだ。


「よし、それじゃああたしの胸で受け止めてあげる!」


紫が言ってきて、俺は苦笑いをしながら


「・・・お手柔らかに・・・」


と、自分でも訳のわからない返しをした。


(なんでこんな動揺してんだろ・・・)


一つ、放心状態の武田と目を合わせることは可能なのか、疑問に思ったが、ここでそんなことを言うとついにはアゲハにブッ飛ばされそうだから何も言わない。


「んじゃあ、診るぞ」


一度、二度、三度と深呼吸をして心を落ち着かせた俺は、武田の目に、自分の目を向けた。

すると武田は、今までどこにも焦点を合わせていなかった目で俺の目を見てきた。

それに驚く暇もなく、俺は頭痛に襲われる。


「ぐッ・・・!?」


激しい頭痛を受け取ると共に、俺の目には・・・笑った武田の顔と、その後ろに真っ黒なオーラのようなものが映った。

この、頭痛という『謎』を見るための代償を受け、

俺の脳にあの時と同じ・・・・・・・血だまりのイメージが流れ込み・・・・俺の・・・・・・視界は・・・・・・・・・黒く・・・・・・・・・・・・染まり・・・・・・・・意識を・・・・・・・・・・・・手放し・・・・・・・・・・・・・・・・た・・・・・・・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ