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舞う黒蝶は『謎』喰らうⅠ  作者: 夜暮橘花
8/10

~詳細~


「『謎』診れるって・・・やっすんそんな力持ってんの!?」

「や、やっすん・・・!?」


凱斗がいきなり変な呼び方をしてきた。


「康弘だから、やっすん」

「な、なるほど・・・」


(もう一人の個性的なやつは凱斗さんか・・・疲れるな)


この手の人間は何を言おうとやめてくれないものだ。諦めよう。


「って、そうじゃなくて!やっすん『謎』が見れるの!?」


すごい勢いで凱斗が問いかけてくる


「そうみたい・・・だけど」

「マジか~、スゲーな」

「スゲェですね」


凱斗とそんな会話をしていると後ろから


「それで今回、武田信之でその程度を見るというわけですね?三島さん」


と、美紀が納得して三島に確認をとった。


「その通り。まあ、康弘君は酷い頭痛に襲われるらしいけどね」


そう言って「気絶するぐらい」と付け足した


「気絶!?康弘君の代償は大変そうだねぇ・・・頑張って!」


紫がねぎらってくれたので、俺はとりあえず「ありがとう・・・」と返しておいた。

そこでふと思った。


「武田信之って・・・誰?」


と、アゲハに聞いてみるも、


「私も知らん。誰だそれは?」


そう答えた、アゲハも知らないらしい。


「今回三島さんと黒井さんが確保した例の男性ですよ。覚えてますか?」


美紀が説明してくれたので思い出した。


「あぁ、あの男か・・・でも、一回見たからなぁ・・・」


俺がそうつぶやくと


「もう見てんの!?」


凱斗が驚いたように言うと


「無意識的に、だけどね」

「今度は康弘の意思で見てもらう。見ようとした時に使えないのでは困るからな」


三島とアゲハが、俺が答える前にこたえやがった。


(まあ確かに、その通りなんだけどさ)


「それに、見たと言っても、『謎』を解くカギは何も見つけてないし」

「いきなり連れてこられたのに、そこまで理解できてるなんて、康弘君って意外と頭いいんだね・・・!」


紫が言った。きっと、少しの悪気もなく。

すると美紀が


「N大なんてそれなりに頭がよくないと入れませんよ」


そう紫に言った。


紫は「あぁそっか」とつぶやいてた。


「とにかく!早めに試したいんだけど」


このままだとループしそうなのでちょいキレ気味に言うと、凱斗がおちゃらけたように


「ハハハ!やっすんそうカッカしなさんなって」


そう言ってきた


(別にそうゆうわけじゃないんだけどなぁ・・・)


「秋月さんは少し黙っててください」


と、美紀が単調な声で言って、


「へいへ~い」


凱斗は調子を変えず返事をしてに黙った。


「それでは、武田信之について詳しく説明していきますね」


美紀は、凱斗が黙ったのが合図化のようにごく自然に、それぞれ椅子に座り頷いた。

それを確認した美紀は立ち上がり、コホン・・・と咳払いをして話を始めた


「改めまして、男の名前は武田信之、年齢は五六歳。職業は、大手企業の一つであるKLMの営業部長。それなりにストレスの溜まる仕事を受け持っていたようです。」


ここまで話したところで、アゲハが


「仕事でのストレスが『謎』に寄生される原因だったわけか?」


そう、美紀に質問すると、


「はい、主に仕事の所為であるところが大きいかもしれませんが、娘の武田唯が生まれてから、家にいてもストレスがたまることが多かったらしいです。近所の住民が武田信之の怒鳴り声をよく耳にしていたようですので」


ザックリだが、わかりやすく答えた。


「なるほど。会社でも家でも常にストレスに襲われてきたのか」


俺が呟くと、美紀が「その通りです」と返してくれた。


「続いて、武田信之の交友関係ですが、」


美紀が再び話し始めると、横から


「ああ、とりあえず今は交友関係はいいよ」


三島が割って入ってきた


「いや、しかし・・・」

「まぁまぁ、いつもは黒井に犯人を推理してもらうために色々と話してたけど、今回はその必要ないからさ、犯人分かってるし」

「それは、黒井さんにも聞いてみないことには・・・」


美紀が三島に返すと、アゲハは


「私は一向にかまわないよ」


難なく了承した。


「黒井の了承も得たことだし、現場のその時の状況について話してもらってもいいかな?」

「分かりました」


美紀は仕方がなさそうに説明を始めた


「被害者の二人は、武田信之の妻の武田清子さん、娘の唯さんです。この二名の死因は喉を切られたことでの失血性ショック死です。武田信之の衣服に着いた血液、手にしていた凶器の形状、ついていた血液がこの二名のものと一致したので、犯人と断定。」


そう話して、続けて「そこで」と言い


「現場の状態ですが犯人は武田信之ということで断定なのですが・・・・」


美紀が口ごもった


「え、どうしたんです?」


俺が質問すると


「家の玄関、窓、すべてのカギが閉まっていました。」

「それってつまり・・・」

「つまり、密室状態でした」

「いやでも、玄関のカギは?武田は持ってなかったんですか?」

「持っていませんでした。庭にも、家から武田を確保したあの場所までの道のりにも落ちてはいませんでした。そして、カギは家の中、一つはリビングの棚の中に、一つはリビングの中央付近に落ちていました。言い忘れましたが、リビングの通気窓だけが開いていました。」

「それじゃあ、家を出て鍵を閉めて、その通気窓から投げ入れたんじゃ?」

「それが、通気窓と鍵の場所の直線状にはソファがあり、少しは隙間はありましたが投げ込めるようには思えません。」

「そうですか・・・あの、部屋の見取り図みたいなのとかってありますか」

「ありますげ、拝見しますか?」

「できれば」

「分かりました」


そういって資料棚から紙を取り出し


「こちらです、どうぞ」


見取り図をくれた。


http://mitemin.net/imagemanage/top/icode/205412/


(確かに、通気窓の真ん前にソファが置いてあって投げ込むのは無理そうだ)


「あ、もう大丈夫です。ありがとうございました」


一度見てだいたい覚えたので美紀に返した。


「分かりました。ではみなさんついてきてください」


美紀に案内されて俺たちは部屋を出た。


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