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3話目 新しい世界でまず、

とにかく、考えた事を言葉にするのは難しいですね…


拙い文ではありますが読んでいただけると幸いです。


以上

さて、現状を再度把握しよう

俺は今草原に立っている。


はて、俺は彼女に指定された扉を開けたはずだが間違いなく草原に立っている…


夢ということはないだろう

風も草花の匂いも感じれる。


取り敢えず、呆けていても仕方がない。

"異世界"か…

扉を開けたら一面草原で開けた扉も霧のように消えた。


"異常"


その一言に尽きる。


彼女と出会ってから流れに流され気が付けば異世界でした…

笑えない冗談だな…


あの部屋で目覚めてから今に至るまでを思い返してみる。



喉を潰れているにも関わらず"痛みがない"、

彼女は扉もないのに後ろから現れた、

潰れていた喉を撫でるだけで治した、

気が付けば後ろに無かったはずの扉があった、



"異常"な出来事だらけだった。


しかし俺はあの時、"異常"を"異常"として感じられなくなっていた。



敵対するなら○すことを選択肢の一つにしていた。

しかし、彼女の笑顔に何故か警戒心解いた。



"普通"あれだけの事をした相手に警戒心は解かない。



"異常"と考えていた部屋についても途中から

"いくらお金を使ってるかわからないような部屋"と思い込んでいた。



あの部屋の"異常"はお金で解決できる問題ではなかった。



冷静になって考えてみればすぐわかるはずだった。

俺も"普通"にしていたつもりだったが実際は現実逃避していたのかもしれない…



しかし困った…

最早彼女が何者であっても構わない。

そんなことは、今の俺には些細な問題だ。

目下最大の問題は情報だ。

この世界の情報がほぼ全くない…

覚えている情報は彼女の作業中に覗いた、


"この世界は地球をモチーフにしている"


ということ、あとは俺も疑問だが全く記憶がない…

少し目を瞑って彼女の後ろから見ていた光景を思い返してみる。




そこには確かに"楽園"があった…



俺の向こうでしてきたことは確かに愚かだった…

しかし、決して間違いなどではなかった…



俺の頬に一筋の涙が流れ落ちた。



____________________




その後、彼女の後ろから見ていた"楽園"の記憶を十分堪能したあと彼女と少しの間眺めていた地図を思い出そうとした。



「ん?なんだこれ」



すると、頭の中に地図が表示された。

最大周囲5キロ最小20メートルほどの簡要な地図だ。

RPGっぽくマップと呼ぶか…

確認してみると面白いことがわかった。

そうしたいと頭の中で思えば思えば縮小、拡大が出来る。

縮小すればするほど正確なマップ表示される。

最大のマップでは自分の居場所すらわからないが範囲を100メートルぐらいまで縮小すると自分の位置が青い点で表示され、最小の20メートルにすると自分が青い点が三角形で表示され自分が向いている方向がわかる。

カーナビを連想してもらえるとわかりやすいだろうか、


ただし、問題点としてマップを開く場合は両目を閉じなければいけないらしい…

色々検証を行ってみたが片目もだめ半目もだめだった。

便利なのは便利なんだが、微妙だな…



「これが魔法…もしくはスキルか…なんか俺が思っていたほど便利じゃないな…」




でもまぁ、とにかく助かった。

恐らく5キロ北に進めば四角い白色のマークがある。

推測の域は出ないが町や村ではないかと考える。

根拠はゲーム風だからとしか言えないが他に行く当てはない。

このまま無計画に行動するのは有り得ない、



俺はとにかく一旦、マップを便りに白色のマークを目指した。






歩いては立ち止まりマップを確認して移動を続けていた俺だがいつの間にか白色のマークまであと50メートル程にまで迫っていた。


結果から簡潔に言うとそこは村"だった"。


村の規模は大きくはないようで縮小のマップで確認してみたところ

民家の数は20程度、民家以外が5、精々100人未満の規模だろう。

しかし、村の周囲にはそこそこ立派な田畑がある。

獣の侵入防止の為の木製の柵や鳥避けの案山子のようなものもある。

のどかそうで良さそうな村だ。



"ただし"


只今絶賛お取り込み中のようだった…



俺は面倒事の予感がしたので俺は畑に身を潜め村の入口付近をよく観察する。



村人と盗賊らしい男達が戦っていた。

数は村人15人、盗賊10人のようだ。

しかし、人数は村人の方が多いが劣勢のようだ。

それは周辺に転がる死体の数からもわかる。

服装から見て村人の物と思われる死体が5程転がっている。



盗賊は死者は無しか…


それもその筈だった。

数の優位があるにも関わらず村人は連携もとらず、各々が目の前の盗賊に向けて剣を振るっている。


…連携までいかなくても二人一組で斬りかかるぐらいは出来ないのか…


それに比べて盗賊は日常的に戦闘するだけあって戦闘慣れしているようで、村人が剣を振るった隙を付いて反撃したり、手の空いた盗賊は目の前の事しか見てない村人を後ろから刺し殺している。



俺は目の前の戦闘を眺めることを一旦止めてマップについての気になった点を検証を行った。



1.まず、俺以外の生物は表情されるのか?


これは俺の視界に入ったもの限定で表示される。

実際、俺がこの村につくまで俺以外の青い点は表示されていなかった。



2.他の生物はどのように表示されるのか?


村人は緑色の点、

盗賊は赤色の点、

死体は灰色の点、


敵対無しで緑色、

敵対すると赤色の点になるのだろうか…

まだ検証が必要かな…



……

………

…………

……………



検証もあらかた終わり自分の世界から帰還を果たすと既に村人はほぼ全滅していた。


状況としては村人一人が盗賊に半円状に囲まれている。

その後ろには傷付いた村人といつ出てきたのかわからないが、天色の髪をした女性がいる。


ここからでは良く見えないがその女性の手が淡く光っている。


あれは回復魔法ってやつか…

だが、一人を回復させたところでどうにもなるまい…

あの戦いの状況は最悪だ。



盗賊は全員生きている。

このまま放置すれば戦っていた残った男達は全滅、その後村は略奪されて無茶苦茶になるだろう…

正直この村がどうなっていようと知ったことではない。

俺は今自分一人のことで精一杯だ。



しかし、ようやく人の住む場所についたのにその村は滅びて情報どころか水も食料も手に入らないではまずい。


俺は本当に今着ている衣類しか持っていない…


それに、ここまでモンスターには出会わなかったが、もし放置して村が滅び結果野宿中に出くわして襲われましたじゃ洒落にもならない。




仕方ない…





"殺す"か



そう結論すると急に心が冷えていくのがわかる。

どちらにしてもあの盗賊は邪魔だ。

あの盗賊達も他人を殺して生きているのならば俺が生きる為にあの物達を殺しても文句は無いだろう。


結論付けると後は行動するだけだ。


先程は彼女のことを散々"普通ではない"と思っていたことを思いだし、

俺も大概だな、と感情の乏しくなった顔で少し微笑みながら俺は今から殺すことにした物達に向けて畑を飛び出し走り出した。



________________________



久しぶり勢い良く疾走しているわけだが、以外に体は軽い。

仕事を始めてから運動をしなくなったというのにやけに軽い。

これなら大丈夫か。



残り30メートル…


盗賊達の背を走っているのでまだ誰も気が付いていない。

生き残った一人の村人も盗賊達の攻撃を防ぐことで手一杯のようだ。

盗賊達も村人をなぶり殺すつもりなのか一斉に襲いかからず左右から腕や足を狙って斬りかかっている。




残り20メートル…


盗賊は気が付いていなかったが、天色の髪をした女性が気が付いたようで俺と目が合った。

彼女のその瞳には絶望しか写っていなかった。

俺も賊の一人に見えているのだろうか…

彼女が気が付いてしまった以上、盗賊もすぐに気が付くだろう。

俺は更に脚に力を入れた。



残り10メートル…

一番後ろ、俺に一番近い盗賊が一人が彼女の目線に気が付いて振り返り俺の姿を見て驚き一瞬硬直している。


全くもって度し難いな…

村人をなぶり殺すのが楽しかったのか知らんがお前ら全員が周囲を全く警戒してないからそういう間抜けな顔を晒すんだよ。

見張りでも置いとけば俺もこんな強引に距離を積めて強襲する選択肢は使えなかっただろうに。


まぁ、もうどちらにしても手遅れだ。



その一瞬は死に繋がるぞ。



___________________________



「なにもん…」


「うるせえ、死ね」


三下丸出しの発言なんぞ聞くに絶えない。

俺は一番後ろにいた盗賊の懐に入り込み思い切り右腕を振りかぶって盗賊の側頭部に掌底を食らわせた。



ゴキリ



と、嫌に大きな音をたてて首の骨が折れた盗賊は白目になり倒れこんだ。


その光景を他の盗賊や村人達もただ呆然として眺めていた。



勿論そんな隙を逃す訳もなく

盗賊が倒れる前に腰に吊るしてあった剣を頂戴し思い切り盗賊目掛けて投擲した。

盗賊は皮の鎧をしていたようだが難なく後方の2人を纏めて串刺して吹き飛ばしたした。



この世界の基準ではわからないが中々良い剣だ。



「……………………………」



ここまでされてもまだ放心状態から立ち直れていない盗賊達は串刺しになった仲間を振り返り眺めていた。

結果、俺の一番近くにいた盗賊2人も俺の掌底をくらい首を折られた。


ここで、ようやく我に帰ったのか俺から遠い位置にいた残りの5人は一斉に叫びながら斬りかかってきた。



やれやれ…ようやくお目覚めか。

しかし、まぁ半分殺られても恐れず向かって来るのはまだ人数的に有利だと思ってるからか?


………


いや、狂乱してるのか。

完全に目が逝ってやがる。

というか、あいつら涎垂らしながら走って来てないか?

おいおい…良い年したおっさんが涎垂らしながら走って来るとか生理的に受付ねーわ。



「危ない!逃げて!」



………


俺と彼女の温度差は凄まじい。

彼女には助けに入った俺が5対1でさぞ絶望的な状況に見えているのだろう。

しかし、俺は別段そこは気にしていない。

何故なら、盗賊達は狂乱して何も考えられないのか連携も取らず5人とも距離を開けて走って来ている。

これでは1対1を5回繰り返すだけだ。

剣を力任せに振っている盗賊達が連携も取らず来るのであれば何人いても正直問題ない。



俺の問題はあのおっさん共の面だ。


さっさと片付けるか。

正直見るに耐えない。



余計な思考をストップし残りを始末する事に集中する。




「死ねええぇええええ!!」



「……」



…やはり問題ない。

目の前盗賊は思い切り振りかぶり剣を振り下ろす気らしい。

集中している為か盗賊の動きがスローモーションの様にゆっくり見える。



俺は斬り下ろしの斬撃を半身でかわし膝蹴りで手首を砕いた。




「いっ!ぎゃあああ!!!」



手首を砕かれ、痛みにのたうち回る盗賊を尻目に先程の斬撃で地面に刺さった剣を手に取り残り4人の斬撃を斬り下ろしは半身で避け、横薙ぎは後に半歩下がって回避し

、お返しに首をはねた。


残るは一人…

手首を砕いてのたうち回っていた盗賊に振り返ると盗賊は尻餅をつきながら後ずさっていた。



「ひぃっ、ひぃ…まて、待ってくれ!命だけは助けてくれ!」



…何を言っているんだこいつは?



「そ、そうだ!金、金をやる!お頭が溜め込んでいた金を全てあんたにやる!だから命だけは助けてくれ!」



これだけ村人の命を奪っておきながら金をやるから助けてくれ…か…

見苦しい…見苦しい"物"だな…

俺は相当不快な顔をしていたのだろう…

盗賊は青い顔でまだ話を続けようとする…



「それに、俺を助けてくれたら…」



「殺すつもりなら自分も殺される覚悟はしっかり持っとけ」



盗賊の言葉を遮り死刑宣告を行ってから俺は盗賊の首を剣ではね飛ばした。



_______________________




…ふぅー

空を見上げて深呼吸をする。


落ち着いてきた。

あのおっさん共の面が脳裏にこびり付いてしまい吐きそうだった。


そんな状態で村の人達と話をする事は出来ず、5分程深呼吸に時間を費やして落ち着きを取り戻した。



そうして俺は振り返って助けた村人達に近付く。


村の人達はまだ呆け俺を見つめている。



あれ?もしかして俺やり過ぎた?

盗賊達を殺した事は問題ないはずだ。

殺さなければ村は好き放題されていただろうし…


……

………


大丈夫だよな?




気持ちを切り替え魔法を使っていた女性を観察してみると、

天色の髪、同じく天色の瞳をした美しい女だ。

年齢は20~22ぐらいだろうか…

白い修道服のようなものを着ている。

修道服ぽいが俺の記憶にある修道服と違いヒラヒラしたのがいっぱい付いている。



最初は打算的な考えありありで盗賊達を殺したが、こんな女がいるなら助けて良かった…




少し良い気分になった。




…ん?確か修道服ってボディーラインが出にくいようになってるんじゃなかったっけ…




確かに見にくいが俺には直感でわかった。


ソコに2度、失なわれた"楽園"があると…


素晴らしい…


俺はとても気分が良くなった。



「あの!助けて頂きありがとうございました!」



気付けば彼女はそこにいた誰よりも一番早く我に帰って俺に礼を言っていた。


いかんな…彼女の"楽園"の影に目を奪われていた…

彼女が盗賊の仲間だったら今俺は殺されていた…

俺の目線を釘付けにするとは彼女…以外とやれるのかもしれん…



「いや、偶然この村に立ち寄っただけだし気にしなくてもいいよ」


「いえ、貴方様がここに来られなければこの村は略奪され村の皆さんは殺されるか奴隷にされていたかもしれません…本当に、本当にありがとうございます!」



律儀に"ぺこり"とお辞儀をする彼女を見てあの盗賊の物にされなくて本当に良かったと心から思えた。



「気持ちだけ貰っておくよ、とりあえずこの格好をなんとかしたいのだけどどこかで水を貰える場所はないかな?」



血塗れの俺をなぜか"ぽーっ"とした顔で見つめていた彼女に質問してみた。

質問を聞いた彼女は"はっ"とした顔をして慌てて俺の質問に答えてくれた。



「あっ、はい!でしたら宿屋の女将さんに事情を説明して水を頂きましょう!」


「悪いけど、場所を教えてもらってもいいかな?」


「いえ、私がご案内致します。申し遅れました、私はソフィアと申します。よろしければ貴方様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


「ああ、ご丁寧に悪いね、俺は樹…いや、俺は"ジン"と呼んでくれ」



本名を名乗らなかったのは大した理由はない。

強いて言えばこの新しい世界に合わせてまずは自分の名前を付けようと思ったのだ。




「ジン様ですね!よろしくお願いします!」



また"ぺこり"と頭を下げる彼女…素直なソフィアさんを見て俺は本名を偽ったことに少し…ほんの少しの罪悪感を覚えた…




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