1話目 俺と女の子とRPG
初めましておはようございます。
初投稿になります。
拙い文だとは思いますが読んでいただけると幸いです。
心赴くまま適度に書いていきたいと思います。
以上
何で俺はここにいるのだろう…
頭がぼーっとする。
また体もだるく考えがまとまらない…
俺はソファーに座っているらしい…
目もピントがあっておらず視界全体が霞んで見える。
体感だが5分ほどぼーっとしていると視界が戻ってきた。
良かった…目が見えなくなったとかでは無さそうだ…
ここは場所はわからないが事務所の一室のようだ。
かなり億劫ではあるが首を動かして周囲を確認する。
部屋は明るくゆっくりとだがほぼ全体が見渡せた。
そこまで広くはないようだ。
一室は白い壁紙で覆われ俺が座っている黒色のソファー、木製のテーブル、その奥には黒色のデスクとパソコン用だろうか、モニターだけがある。
空調が効いているのか真夏にもかかわらずこの部屋は快適だ。
微かに涼しい風が前髪を揺らしている。
自店舗でもこれぐらい快適なら仕事もはかどるのだが…
いかんいかん、余計なことを考えるな俺、今は現状把握に勤めるべきだ…
俺は、自分の服装を確認したが記憶にある最後の服装スーツではなく家でよく着るジャージにスニーカーという服装に着替えていた。
携帯、財布等は何も持っていない。
おかしいな…俺は仕事から帰ってそのままベッドでスマートフォン用のゲームをしていたが過酷な業務の疲れからそのまま意識を手放している…はず…。
周囲を確認を終え俺はまだ少しぼんやりする頭で考える。
ここは何処だ?
俺はさっきまで自宅で寝てたはずだ。
それにこんな場所は俺は知らない。
職場でもこんな事務所みたいな場所は入ったことはない。
なら連れ去られた?
しかし俺みたいな男を連れ去って何の意味がある?
自慢じゃないが俺は貯金はほとんどしておらず、
両親も既に他界し親族もいない。
また職場でも仕事上話をするぐらいの関係しかまだ築けてない。
つまり、金銭目的で連れ去られたと仮定するなら俺は全く価値はない。
うん、俺が犯人なら人質の事を調べて上記内容が判明したならば間違いなく面倒事になる前に始末するね。
まてまて、状況把握も出来ていないのに俺は何を考えてるんだ。
とりあえず、部屋には俺以外だれいない。
何故なら周囲に人影も無ければ気配のないし音もない。
待て、音もない?
全く?
風を受けて前髪が揺れているのに肝心の空調の音が聞こえない?
待て、それどころか
ソファー、テーブル、デスク、パソコン用モニター以外何もない?
これだけ明るいのに照明器具の類いが一切見当たらない…
いや、それどころか…
そこで俺の意識は覚醒した。
「っ…がっ!!」
声が出せない!!
声を上げようとしたが何度試しても掠れた声が出るだけだ。
痛みは無い
しかし、この感じだと喉が潰れているのではないかと推察する。
異常事態だ。
寝ていた…と思う、そのあと気が付いたらこの部屋にいて着替えた記憶もないのに着替えていて更には喉を潰れ声が出せなくなっている。
極めつけにはこの部屋だ。
何処から風が出ているのかもわからない。
何がこの部屋を明るくしているのかもわからない。
そして、何処から入ってきたのかもわからない。
何故なら、
空調器具も照明器具も"窓も扉も何もない"
「あー起きたんだね、おはよー」
「っ!!」
後ろからの突然の声に反射的に俺はだるさを無視し真正面のデスクまで飛び退いた。
「あちゃー、ごめんねー驚かせるつもりはなかったんだけど流石に焦ってるタイミングに声かけるのは失敗だったかなぁー」
反射的に飛び退いたが俺は別段そこまで動揺はなかった。
喉が潰れ声が出ないことには流石に動揺したが…
とにかく俺は声の主を観察する。
女だ。
いや、正確には女の子だろうか…
見た目で判断するなら中学生か高校生ぐらいの年齢だろうか
髪は金髪、ストレートヘアで顔立ちも整っている
身長は目測だが155㎝ぐらいだろうか
俺はファッションにはかなり疎いから何だかわからないが今風?の小綺麗な格好をしている。
しかし、でかいな…
いや何、みなまで言うまい…
総合的に見て可愛らしいと思う。
大学の友人達からは女の好みが変わってるとよくからかわれていたから自信はないが…
あははーと笑っている女の子を観察を終え次の行動をどうするか考える。
この目の前の女の子が協力的なら問題はない。
しかし、非協力的または敵対するようなことになるなら"○す"ことも視野に入れて行動すべきかな…
油断せず俺は目の前の女の子の目を見ながら考えるが女の子は特に何もせずニコニコこちらを見ているだけだ。
やる気が逸れたな…
敵かどうかもはっきりしていないが少なくとも今は俺に危害を加える気は無いらしい。
俺はやれやれと首を左右に振りソファーに座り直した。
いつから、何処から俺の後ろにいた(来た?)のかはわからないが普通に喋りかけてくる辺りこの子にはこの部屋は異常ではないらしい。
希望的な意見を言わせて貰えるならこの子はこの部屋の関係者で俺に敵対せず、尚且状況説明を行ってくれると最高に助かるんだが…
「さて、それじゃあ君も起きたことだし話をしようか?」
どうやら移動しテーブルを挟んで立ったこの女の子は俺と話をする為にこの部屋にいた(入ってきた?)らしい。
何でもいいから俺の状況がわかるような有意義な話をして欲しいものだ。
しかし、俺は喉が潰れ声を出せないので聞くだけなら可能だが会話は出来ない。紙と筆記用具を貸して貰わないと正真正銘お話にならない。
そこで俺は声が出せないことを女の子に伝わるように口をパクパクさせながら喉を指でトントンと叩き最後に指で×を作った。
「ん?あぁ、こっちに呼んだときに喉が潰れちゃったのかなーちょっとまってねすぐ治すから」
「?」
何でここに呼ばれたら喉が潰れるんだ?しかも、治す?どうやって?
俺の疑問もよそに女の子は俺の隣に座り喉を指で撫でる。
優しく撫でられているので正直くすぐったい。
止めてほしいのだがこちらを、正確に言えば俺の喉を見上げてくる女の子の上目遣いは破壊的に可愛らしく、またその顔の下にちらつく"物の間"に俺は目線が釘付けになり引き剥がせなくなっていた。
んむ、最近の若者は全くもってけしからん。
「んー、はい!オッケー治ったよ!」
女の子が離れると同時に俺の楽園は終焉を迎えた。
「無念だ…おっ、声が出せる様になってる…」
俺の喉は本気で女の子が撫でただけで治ったようだ。
「治すって言ってたでしょ?信じてもらえないと寂しいなぁ…」
女の子は少し声のトーン下がり悲しそうにこちらを見ている。
どうやら喜怒哀楽が激しく、顔にも出やすいようだ。
「いやいや、俺と君初対面だよね…"普通の人は"こんな状態でこんな場所で出会ったら警戒するし撫でるだけで怪我が治るとか"普通は"信じないでしょ…」
何だかこの子と話をすると疲れる。
何で俺はこんな中高生ぐらいの女の子に"普通"について語っているのだろうか?
こんな馬鹿げた話は"普通の"中高生ならわかるだろうに…
まぁ、こんな"普通"じゃない場所に居るんだしこの女の子も"普通"じゃないのだろうな…
「まあまあ、業況もわからなくて混乱してるだろうけど、その辺もきちんと後で説明するからまずは単刀直入に本題から入ってもいいかな?」
女の子は先程の悲しそうな表情が嘘かのようにもうニコニコしている。
本当に読めない女の子だ。
とにかく、話を聞いてみないことには始まらない…
俺は軽く頷いて話の続きを促した。
女の子は俺の態度に気を良くしたようだ。
女の子…いやもう面倒だな、彼女は大きく頷いて大きな声でこう俺に宣言した。
「私と異世界でRPGをしよう!!」




