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悪魔人間ヒキコモリ―

作者: 八七月

長編にするにはアイディアが足りず短編となりました。よろしくお願いします

 何故こうなってしまったのだと俺は問いたい。

 目の前には神々しいほどに光り輝く天使の姿。男とも女とも言えない中性立ちな顔立ちで、厳かに笑みを浮かべるその姿は俺のカンに触る。

対する俺は只の黒ボディースーツ。変態丸出しの雑魚スタイルで、顔には鬼のお面がつけられていた。

 傍から見れば哀れな雑魚兵でしかない俺だが、これでも立派な正義の味方らしいのです。


 俺はつい先日まで引きこもりだ。親の脛を齧り、家に閉じこもることを主な業務にしている。

 割りと快適に日がな一日過ごしていたある日のことだ、目が覚めたら俺は台の上に張り付けにされていた。

 意味が分からず困惑していると背中を曲げた爺と若い金髪の少女が此方を見て言ったのだ。


 改造に成功した、君は今日から悪魔人間だって。


 正直今も意味は分かっていない。何故天使と戦わされているのか、悪魔人間とはなんなのか、この恥ずかしい恰好は何とかならなかったのか。正義の味方という定義だが、それも胡散臭い二人からの発言なので信用はない。

 謎は解けない。どんな凄腕の名探偵であろうと迷宮入り間違いなしだろう。

 だから敢えてこの言葉を言おう。この世界はクソであると!


『何をしておる!敵がひるんでおる今がチャンスじゃぞい!』


『いけーカケルくん!そんな悪党なんてやつけちゃえ!』


 無線で無責任に捲し上げる小悪党はかせとじょしゅ

 背中の冷や汗はすっかり冷えてしまっている。寒い、早くお家に帰りたいと切実にそう思った。

 天使の方も困惑の色が見える。

 えっなにこの弱そうな奴?聞いてたのと違うんやけどとか言いそうな顔だ。

 ていうかさっき現実にそう言っていた。その通りだと俺自身そう思うので、特に訂正はしないでおく。

 

 薄生地のボディースーツは寒さに弱い。

 太陽は真上にあるのに、風が容赦なく俺の体温を奪っていく。

 寒いよ、ひもじいよ。そう思ったところで何が変わるでもなく、天使とのにらめっこは続いた。


『ええい何をもたもたしておるか!ベルトのスマホをタッチすれば変身できるじゃろうて』


『そうですカケルくん。ベルトに装着されたスマホを使うのです!』


 外野がうるさい。耳が破裂してしまいそうなほどの音量に俺は目を細める。

 二人の指示に渋々従い、大きめのベルトの真ん中にあるバックル(もといスマホ)を俺は取り外し、上のボタンを押して電源を入れた。

 すると画面には一つのアイコンが表示される。野暮ったい狐のイラストが妙に憎たらしい。

これがなんだと二人は言うのだろうか。 


『今回は特別に最強装備を入れておいたのだぞい。』


『イラストをタッチした後に変身!と言ったら君もラ○ダーの一員だよ?猿でもわかるねカケルくん!』


 一々ムカつく答えしか返さない外野。あと俺の名前は天田惡あまたわるであり、断じてカケルではない。


「…あぁもう、どうでもいいや。へんしーん」


 やる気などあるはずもなく、ボソッと呟き、画面をタッチ。

 すると一瞬風景が見えなくなり、次の瞬間には飛んでいる天使との目線が近くなった気がした。

 体が急に重くなった感じ。一歩踏み出そうにも中々足が言うことを聞かない。

 何でだろうと視線を下に落とすとそこにあったのは、見知った僕の足ではなかった。


「ナニコレ?イミワカンナイ」


 そこにあったのは某竜依頼の石像を模した金塊。ゴールドに輝くうごくせきぞう。

 それが今の俺の姿。きっと倒したらお金沢山貰えそうな畜生そのものである。


『七つの大罪マモン。よくぞその身に纏うことが出来たのぅ流石儂天才じゃ!』


『さすがですはかせ!これで社会のゴミを有能な戦士にすることが出来たのですね!ワタシ感無量です。』


 俺は再起不能です。もうお婿にいけないかもしれん。

 デザインダサすぎ、動きづらくて扱いづらい。これでどう戦えというのだろうか。

 最早曲芸でも見ているような天使に、これ以上どんな笑いを取れば許されるんですかねぇ…


『マモンは運極上げタイプじゃ!何もしなくてもなんか勝ってしまうぞい!』


 そんなこと言われてもなと思っていたら、天使が苦しみだした。

 まるでノートに名前を書かれてしまった人のように胸を強く抱いて、しまいには消えてしまう。

 戸惑う俺、静まり返る住宅街。真上の太陽が俺の心を照らすことはなかった。


『如何やらあの天使、お昼に食べたびーふすとろがのふに当たって亡くなったみたいです。』


『何びーふすとろがのふじゃと!?流石はマモンじゃ。相手の運気まで吸い取って自分の力にしてしまうのか!』


 いやそれ天使おバカなだけだから。天使が食中毒とか死因恥ずかしすぎるだろう!?


 そして一難去ってまた一難。次はスマホからキャッチ―な効果音が流れて、新たな項目が追加された。

 赤いボタンで『ガチャ』と書かれたものと画面端に小さく300ptと表示されている。何かの暗示か何かだろうか。


『あっ天使を倒したことでガチャポイントが溜まったみたいです。これにより新たな武装が追加できますよ。』


 その機能に意味はあるのか?取りあえず一回引くには100pt必要みたいなので、無難に二回引いてみた。

 一度目は銀、その次は金の武装がコミカルに描かれる。

 ステータスを眺めて見たが、あまりいい武装ではないらしい。直でボックスの肥やしと二つの武装はなってしまう。

 運カンスト武装が強すぎるからね、仕方ないね。


『まあ地道にやっていけば他の大罪も出るじゃろうて。狙い目は月一回行われるサタンフェスじゃぞ?』


 そろそろ怒られるからやめろ。止め時を誤ると大変なことになるんだからな!

 

『頑張ってください』


 いや何も頑張りませんよ俺。何が何でもこれ以上やりませんからね俺!?





 後日天使を刈りまくり大罪シリーズを完成させ、奇声を発して無双する姿を俺はこの時知る由もなかった。


  




※続きません

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