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第1話 授業だけでは終わらない
ある日の放課後。
僕が帰り仕度をしていると、クラスメイトの女の子に声をかけられた。
「ねぇ、一緒に帰ろうよ」
「ごめん。今日は生徒会があるんだ」
僕は遠回しに断る。
「そっか。でも大変じゃない?あの面子だと進むものも進まないんじゃない?」
ごもっともで。
「そうだね」僕は苦笑する「だけど行かないでいると、それはそれであとが厄介だから。行っておいた方が楽だよ」
「それもそっか」
彼女は退いてくれた。
「ごめんね。せっかく誘ってくれたのに」
「いいよ。都合があるんだもん。無理には言わないよ」
「ありがと。代わりにと言ってはなんだけど、今度の休みとかに埋め合わせって言うのはどうかな?」
「ほんとっ?」
「うん。休日なら生徒会の仕事もないし。わりと僕暇だしね」
「やった。じゃ、またね」
彼女と手を振ってわかれた。
さて、と。
「……いつもの場所へ行くか」
僕の足は思ったよりと軽かった。