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ハーレムエンドでは終わらない  作者: 宛 幸
イベントが始まる前の準備期間のようなもの
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第13話 出撃だけでは終わらない

 とある空き教室の一角、僕と迷彩服の少年は隠れていた。

「えっと……にゃむ君?なんで隠れてるのかな?」

「敵を倒すにはまず、拠点となる場所を確保せねばならない。そして、相手の頭を、()る」

 銃を構えにゃむ君は落ち着いて整然とした声色で説明してくれた。

 が、理解には及ばなかった。

「ただ、水着コンテストで出場する生徒を集める為、風紀取締委員に許可申請を出しに行くだけなのに……何故にこうなる」

「その説明口調……役者の素質ありますね。時峰先輩」

「……ありがとうね」

 僕はあまり嬉しくない誉め言葉にお礼を言う。

「では、行きます」

 にゃむ君が先頭を切って教室を出る。

 僕も仕方なく、着いて行くことにした。



 出向いた場所は1年3組。

 放課後なだけあって、来る途中は閑散としていた。

 一人だけど、残っている人がいた。

 というか知っている子だった。

「では、突撃します」

 扉を潜めてた身を乗り出すように開け、読書をする生徒に銃を向けた。

 ――て、いやいやいやっ。

「無条件で言うことを聞け」

「にゃ、にゃむ君っ、危ないよっ?!」

「はい。わかりました」

「なんでそれでわかるのっ!?」

 本を閉じて優しい笑顔で答えてくれる。

「だって時峰先輩が相手ですから」

 とにゃむ君。

「なんでにゃむ君が答えるのさっ」

「そうですね。悠人先輩だからです」

「えーっ」

 まさか同意するとは思わなかった。

「日和さん、いいの?」

「はい。内容によりますけど、悠人先輩なら大抵は言うこと聞きますよ」

 彼女、日笠日和さんは嫌そうな顔をせず、むしろ嬉々として返事してくれた。

 日和さんとは面識があっただけに引き受けてくれたのだと思っておこう。うん。

「要件は一つ。風紀取締委員委員長、西田紅燗(くらん)女史に水着コンテストの開催許可申請を通るように根回しをしてほしい。以上」

 え、その為にここに来たの?

「はい。わかりました。非力ながらやってみます」

 引き受けちゃったよっ?。

「て、あれ、なんで日和さんなの?ただ頼み込むだけなら、副委員長とかでもいいんじゃないの?」

「それだと効力が薄いので、信頼が高く、期待をされてる風紀取締委員次期委員長候補を日笠日和女史がよかったと思われたので、こういう処置を取らせていただきました」

「え、日和さん、風紀取締委員だったの?」

「はい。そうなのですよ」

 ふふ。と柔らかく微笑む日和さん。

「平委員ですけど」

 副委員長より信頼度が高い平委員ってのもなんかあれだけど。

「あれ、そういえば、えっと……」

 辺りを見渡すが、いつも一緒にいるもう一人の子が見当たらない。

「コラムなら部活でいませんよ」

「あ、月島さん部活やってるんだ」

「はい。意外でしたか?」

「いや、まぁ…。というか、二人共いつも一緒だからね。あまり別の行動をしているっていう印象を抱かないというか……」

 仲のいい二人が別々なんてあまり考えられないな。正直。

「ふふ。そうですね。でも私のコラムは少し特殊、ですから。そう思われても仕方ないと思います」

 特殊を強調する日和さん。

 まぁ、ずっと一緒なんて、ほとんどないか。確かに、二人には何か特別な縁とか鎖があるのかな。

「では先輩、次に行きましょう。我々はまだ行くところがあるのです」

「まだ?」

「スポンサー契約の為に、乃代(のしろ)商店街に行くのです」

 僕とにゃむ君はその場をあとにし、長く感じる一日を過ごしたのだった。主に僕が。

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