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ハーレムエンドでは終わらない  作者: 宛 幸
閑話のようなもの
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第8話 顔合わせでは終わらない

 放課のチャイムが鳴り、僕は学園長室へと向かう。

 会長である朱月先輩にそこに来るように呼ばれたからだ。

「……はぁ」

 自然と溜め息が出た。疲れがあるのだろうか。

 大体は会長のおかげでフラストレーションが溜まる一方だが。

「……おっと」

 あれこれ考えている内に扉が見えた。

「…ふぅ」

 呼吸して落ち着かせる。

 ――すぅ……はぁ

 ん、よし。

「失礼します」

 コンコン、と小気味よくノックして入る。

「んにゃ?ようこそだよはるとくん」

 入ると現学園長である、夢前(ゆめさき)のえるさんがお出迎えが待っていた。

「ふふん♪」

 しかも飛びっきりの笑顔で。

「おひさしぶりです。のえ――学園長」

 いつぶりだろ?たぶん、数週間ぶりかな?

「のえるでいいよ~はるとくん。にゃはは」

小柄な体躯とその口調から学園長とは思えないその人は明るい笑顔で応対する。

「わかりました。のえるさん」

 こう見えても成人しているらしく、いい大人なのだそうだ。

 とてもそうは見えないけども。

「えっと……それで、会長……朱月先輩は?」

「あ、さえちゃんならちょっと用事を申し付けちゃった☆」

 付けちゃった☆、て。

「だから今は私と二人きりだよん」

 いつもテンション高いなー……常々思ってはいるけど。

「それで、僕に用事があるのはのえるさんなんですか?」

 でなければわざわざ会長に用事なんて頼まない。

「そうそう。ちょっとばかしはるとくんに頼みたいことがあるんだ」


 ――おいで


 のえるさんがそう言うと、この部屋の扉が開く。

 出て来たのは学園長に劣るとも勝らない、小さな少女だった。

「紹介するね。この子は明日から転校生としてこの学園の生徒となる嵐咲ユリア(らんざきゆりあ)ちゃん」

 金色ブロンドのかわいらしい女の子は綺麗にお辞儀をした。

「ちなみにちなみに、一年生なんだよっ」

 そこを強調するのか。

 金髪の理由とかは言わないのね。

「それで、僕にこの子の面倒を見ろと?」

「あったり~~♪」

 大袈裟にバンザイで表現してみせるのえるさん。

「よろしくおねがいします。悠人先輩」

 鈴の音のような小さくも聞き心地のよい、かわいい声だった。

「あ、うん。よろしくね。ええと……」

「ユリアでいいですよ。みぃも先輩のこと、悠人先輩と呼びますから」

「えっと……ユリア、ちゃん」

「はい」

 かわいらしい笑顔で返事をしてくれるユリアちゃん。

 ……い、

「いい子過ぎる…」

 最近は会長率いる生徒会やらで感覚が麻痺してきてるが……やっぱこういうのが僕にとって癒しになるのだろう。

 思わず口に出してしまう程、僕は癒されてしまった。

「だしょだしょ~」

 のえるさんも同意する。

「ちっちゃくてかわいいし、礼儀正しいし、もうね、すっごくいい子なのっ」

のえるさんが絶賛する。

「そ、それほどでもないですよ。私なんてまだまだです」

「そんな謙虚なところもラブリ~なのぉ~♪」

 頬に手をあて、くねくねと身体を揺らす。

 のえるさんがキャラ崩壊してきた。

 相も変わらず僕の回りは変わり者ばかりだ。

「それで、僕はこれからどうすればよろしいので?」

「うんうん。ユリアちゃんこっちに来たばかりでよくわかんないと思うから、案内を頼もうかな。ね、はるとくん」

「それはいいですけど」

「うん?」

 のえるさんが首を傾げる。

「なんで僕なんですか?僕以外にも適任はいるでしょうに」

 会長……は微妙だけど、宮永先輩とかなら結構うまくやると思うのだけど。

「だってはるとくんがいいと思ったから!」

 ……はい。具体性のない説明をありがとうございました。

「そうですか。なら、僕はもう行きますね」

「うん。じゃあよろしくねっ。ユリアちゃん。このおにぃちゃんの言うことをきちんと聞いてね」

「はい。お世話になりました」

 丁寧にお辞儀をするユリアちゃん。

「行こうか」

「はい。よろしくおねがいします」

 僕とユリアちゃんはその場をあとにした。

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