☆★ 九話
あの悪夢のような日から、数日が過ぎた。
あの後すぐに警察その他が樹里の家まで来た。
僕はすぐにでもお暇したかったのだが、何せ連れが第一発見者だったもんだから付き添いで最寄りの警察署まで一緒に行く羽目になった。
百弥があれこれ聞かれているであろう間、僕は別の部屋で待ちぼうけだった。
その後も何回か呼び出しを食らって、その内のごく僅かは僕も質問を受けた。事件の真実の推理をしたのが僕だから、と質問をしてきた警察官さんは言っていたけど。
樹里はしばらくの間、学校を休んだ。
久しぶりにアイツが来たのは、あの事件が“記憶”になる頃だった。
「おはよう」
「学校に来たのが久々な揚句3時間遅刻の末の第一声がそれか。挨拶が“おはよう”の時間は終わってると思うぞ」
「あはは、そうだね」
そう言う笑顔もどこかぎこちない。
よく見れば、目の下には薄いながらも隈が有り、若干やつれたようにも見える。
「あれから寝れてないんだ……」
樹里は僕の心を読んだようにそう言った。
「当たり前だろ…これで寝れたらどんだけ図太い神経してるんだ……」
「そういえば、ほとんど合ってるってさ、千那の推理。刑事さん言ってたよ」
「今そんな事言われても嬉しくねーよ……」
本当に、嬉しくなんかない。
あんな推理モドキが当たった所で、何になるというのだろう。あんなんじゃ探偵ごっこにすらならない。
こんな、
歪んでて、
曲がってて、
捩れてる話。
これを戯言と言うには、少し度が過ぎてるかもしれない。
これにて、僕らの心に深い傷を残し、この事件は解決した。
綺来ちゃんの首の傷のような、深く抉ったような傷を残して――
こんな駄作を最後の最後まで読んでいただきまして、本当ありがとうございました。