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★☆ 七話
「全てを理解したって…ホントに?」
樹里が僕の事を訝しげに見つめながらそう言ったのに対して、僕は静かに頷いた。
「じゃあ、何で…何で綺来は殺され――」
「“殺された”んじゃないぞ」
僕は樹里の言葉を遮るようにそう言った。
そう、“殺された”のではないのだ。
「千那…それ……どういう意味…?」
「そのままの意味だよ。他殺じゃないんだ」
「それって……」
「そう――自殺だよ」
自分でもびっくりする程冷静な声で、僕は樹里と百弥にそう告げた。
他殺でなければ、自殺しか無いだろう。
「トリックとかって……」
「トリックも何も無いさ。まぁ、とりあえず……」
僕は綺来ちゃんの遺体を一瞥してから続けた。
「彼女には失礼だけど、あんまりこの部屋に居たくない。ちゃんと説明するから、ちょっと移動しないか?」
樹里は寂しそうに綺来ちゃんだったモノを見つめてから無言で頷いた。