表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らの平和に忍び寄る影  作者: 逢沢 雪菜
起章 予兆
3/9

☆ 三話

 樹里の家は、僕の家からさほど遠くない位置に在るマンションの一室だ。セキュリティはかなりしっかりしていて、玄関ホールはオートロック。


 玄関ホールで、作り付けの公共のインターホンに樹里の家の部屋番号を押してチャイムを鳴らす。しばらくしてから、樹里の能天気な声がインターホンのスピーカーから聞こえた。


「僕だけど」

「ふいはーい。上がって〜♪」


 樹里がそう言うと、ガチャッという音をたててホールのドアが開いた。


 百弥を一瞬だけ見遣ってから中へと進む。後ろからのとてとてと足音を聞き、しっかりついて来ているのを把握しながら。


 樹里の家は3階の為、階段を上ろうとしたその時。


「え、階段で行くの?」


 後ろからついて来ていた百弥がそう言った。


「え、じゃないだろ、僕より体力有るくせに」

「運動出来るかと体力有るかは別問題なんだよ!!」

「つまりお前は僕より運動出来るくせに僕より体力無いと」


 二度目の“僕より”を心持ち強調して。


 すると案の定、百弥は表情を強張らせた。その表情に笑みは無い。

 しばらくしてから、百弥はわなわなと震えだし、


「絶対兄ちゃんより先に着いててやる!!」


 そう吐き捨てて階段を駆け登って行った。



 本当に単純な奴、と改めて思ってから、僕はのそのそと階段を上り始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ