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「いつもここで飲んでるの?」

 

 このバーに似つかわしくない女の声が鳴り響くセカンドシーズン。

 俺の隣に腰かけた少女が妖艶っぽく微笑む。

 細い目に細い顎、華奢な肩に薄っぺらい胸板にふっくらとしたおっぱいがぶら下がっている。

 先ほど助けた少女だ。今はパニックになっていないので、少し大人びて見える。

 とはいえ30代にもなって女子高生に劣情を抱くことはしない。貴重なタバコも消してやる。


「ここは小娘の来るようなとこじゃねぇぞ」

「あのバブル、A級相当だったでしょ。あれを単騎破壊できるって、なんのジョブを選んだの?」

「教えねぇ」

「ジローはS級、邪龍剣士のジョブだよ」


 言うなよクリン。

 恥ずかしいんだよ30代にもなって邪龍剣士て。

 若い頃は良いと思っていたものが恥部になる感覚。家庭科のドラゴン裁縫箱現象だ。


「S級!じゃあ、10億ローン級ね」

「まぁ、そうだな」

「ジローは借金返済できなくて金利跳ね上がりまくって、今はもう30億越えてるらしいよ」

「おいクリン、余計な情報を与えるな」


 他人のローン額教えるのはプライバシー侵害だぞ。


「そうなの?」

「おい小娘、敬語はどうした敬語は」

「え、この流れで敬意を払ってほしいんだ。見栄っ張り~」


 くすくすと少女に笑われる。なんだこのメスガキ。


「なんの用だよ。愛しのダーリンの元にさっさと戻れよ」

「ああ、彼?彼はB級剣士よ。手堅い神畑信農連のね」

「神畑か。いいとこじゃん。あそこの剣士は低ランクでもスキル周りが優秀だから優良株だぞ」

「今はあなたを見ているの」

「え、キモ」


 え、キモ。

 おっさん好きの女子って、おっさんという生き物が好きなんじゃなくて、おっさんに付随している金が好きってだけじゃん。


「え、ひどーい。疑ってるの?」

「金が好きって言えばいいのに、あえてそれに付随するものが好きと宣言するその精神構造はキモい以外何者でもないだろ」

「小難しいこと言うわね。純粋な私のキモチなのに」

「ムチムチ美少女ゲーでストーリーが好きって言うのと同じくらいキツい言い訳だぞ」


 俺がそう言うと、少女は、すん、と急にすましたした表情になった。


「じゃあ、金の話ね。アリスタ・ジロー」

「あ?」

「アークティック債権回収株式会社のスズカよ。仕事を依頼するわ」

「…は、仕事かよ」

「安心して、ちゃんとこなしてくれたらこのバブルのことは上には報告しないわ」


 その言葉を信じるも信じないも不安でしかないが、今は話を合わせるしかない。

 この場所には、カネ以上の価値がある。


「まあ、内容くらいは聞いてやるよ」

「お友達には聞かせられないわ」


 スズカはクリンとムサシを顎でしゃくるように示す。

 お行儀悪いな。

 まあ、そいつらにも人権はないけど。


「なんだ、おっさんと散歩したいってのか」

「お前みたいなおっさんと好き好んで散歩するわけないだろが」

「はっ、おっさん好きの設定ガバガバかよ」


 先ほどの熱っぽい目とは打って変わって冷たい目を向ける少女スズカ。

 うら若い彼女でさえ、こうも二面性を見せつけられると、なんだかぞっとしないが。

 二面性があるというのもまた、AB型っぽいなあなどと思った。


ぜんぜん関係ない話なんですけど、AIに競馬動画の知識を食わせて自分だけの必勝マニュアルを作り、それをまたAIに読み込ませることで最強の穴馬狙いの相棒を作り出しました。

2万負けました。

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