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大開帳ー姿勢

 だけど、俺の中に()めた自分を見つけた。

 会議室の片隅(かたすみ)から、この状況を(なが)めているような冷たい目をしている。


 何をはしゃいでやがると斜に構(しゃにかま)えているんだ。会議室の隅だから体も(なな)めになっている。


 きっと〈まうよ〉がポジティブな正の感情を食べているせいだろう。


 俺は底辺で無能だと侮辱(ぶじょく)されていた。

 クズでは無かったが、カスだったと自分でも思う。


 カスだった俺は〈まうよ〉と出会い、大きく変わることが出来た。

 番というか、嫁が出来たんだ。愛されるってことは、全人格を認められることに等しい。

 そうなれば自信がつかないはずがない。俺は全てのことで前を向くことが出来ている。


 そして、社長まで登り詰(のぼりつ)めたんだ。

 もっと湧き上がるような喜びや、ざまぁみろと言うような爽快感も味わってみたいとの思いもある。


 しかし俺は社長なったんだ。指示や目標をこなせば良いだけの社員じゃない。

 一時の熱情に(とら)われるのは良い資質とは言えないよな。

 自分も会社も客観的に俯瞰(ふかん)で見ることが求められている。


 冷静でいられるのは〈まうよ〉のおかげだ。

 新社長としても感謝したい。




 

 【ちょっと、私に不満を持っているんじゃない? 】


 「そんなことは無いよ。 ただな。 俺はパンツの方が好きなんだ」


 【ちぇ、せっかくセクシーなボディスーツを着てあげたのにな】


 〈まうよ〉が今日着用しているのは、銀色に輝く光沢があるエナメルのボディスーツである。

 ぴっちりとフィットしているため、グラビアアイドルにも負けない〈まうよ〉の凹凸(おうとつ)をそのままうつし出している。


 セクシーさは充分あるとは思うが、俺はあまり燃えていない。

 やっぱり俺は感動パンツの方が良いんだ。


 だから俺はボディスーツを速攻でむき、全裸の〈まうよ〉を鑑賞しつつ手をセクシーボディに()わせた。

 ぴっちりとしたボディスーツは、脱がすのがとても大変だった。この点もよく無いと思う。


 【うふふっ、私の裸が一番ってことね】


 「それはその通りだ。 〈まうよ〉がはいているから、感動パンツになるんだ。 違う女がはいていても、それは感動パンツじゃない。 全く違うものだ」


 【はいはい、分かったわよ。 これからはパンツをはいてあげるわ。 それで満足でしょう? 】


 俺は返事の代りに〈まうよ〉の唇を自分の唇で(ふさ)いだ。


 感動パンツ、感動パンツと俺は何にこだわっているのだろう。

 かなり滑稽(こっけい)なことじゃないか。おっさんのキモさに発展する恐れすらある。


 自分でも良く分かっていないが、〈まうよ〉が俺に抱く気持ちが嬉しいのかも知れない。

 俺に抱かれるため、いやらしい下着をつけさせることで、〈まうよ〉を支配出来ていると感じているのだろう。

 所有欲とか承認欲的なものが満たされるだと思う。


 だったらセクシーなボディスーツと何が違うんだ。自分のことだけど理解不能だ。頭を抱えてしまう難題だよ。


 このまま〈まうよ〉の頭をガッチリと抱えてずっとキスをしていよう。

 そうすれば見てくるものもあるはずだ。見えなくても〈まうよ〉に没頭(ぼっとう)すれば良い。


 【もぉ、意地悪なんだから。 顔を(よだれ)だらけにしないで、他の場所をそうしてよ。 大きく足を開いて〈かっくん〉を待っているのよ】


 「本当に開いているのか。 〈まうよ〉は俺を必要としてくれているのか? 」


 足は見れば分かるから、俺は心のことを聞いているんだな。


 【あったりまえじゃない。 〈かっくん〉あっての私よ。 (くわ)えたり(はさ)んだり、何でもしてあげるから決して離さないでね】


 力強く〈まうよ〉は答えてくれた。これ以上の答えはこの世に存在しないだろう。


 俺はベロベロと涎をなすりつけながら、〈まうよ〉の顔から下がっていく。


 首、肩、胸、おへそ、腰、あそこ。


 〈まうよ〉が体をよじって逃げるのを両手で押さえつけながらだ。


 あそこに到達した途端、ガバッと〈まうよ〉に頭を挟まれてしまった。思ってたより挟む力が強くて抜け出せない。


 「フガ」「フガ」


 【ボディスーツを喜ばなかった罰よ。 はぁん、私の足の力が抜けるまで頑張りなさい】


 偉そうなことを言ったわりに、〈まうよ〉の足は直ぐに(ゆる)み、あとは自由にやらせてもらった。


 俺の誘導どおりに体の姿勢を変えてくれる。


 膝立(ひざたて)、体育座り、四つん(ばい)い、あぐら、後ろ向き、大開帳。


 最後の方は動かなくなってしまったけど。


 【あぁあん、もう無理なの。 グニュグニュになっちゃった。 はぁん、もう偉そうに言わないから。 うぅん、もう許してよ】





 〈NKUカンパニー〉の幹部会議に俺は出席している。


 パワハラの研修や経営戦略の研修を何回も受けさせられて、かなりヘトヘトになりつつもある。

 俺も疲れすぎてグニュグニュになってしまいそうだ。


 〈NKUカンパニー〉の組織理念の話は、かなり難しいものだった。社会貢献と利益追求の関係がどうしても分からない。

 俺はバカじゃないから、おかしいとか、矛盾しているとは反論しない。

 

 別個に存在している。これはそう言うものだと理解すれば良いんだ。突き詰めても誰も得をしない話だと思う。


 突いて詰めるのは、〈まうよ〉だけにしておこう。喜んでくれるからな。


 「我が社にいた時の〈うろ社長〉の武勇伝は、よーく聞いているよ。 もう伝説になっているんだぞ」


 〈NKU警備保障〉の社長である〈南岡さん〉が俺の肩をポンと叩いて、俺の緊張をほぐしてくれたらしい。

 この人は良い人なんだと単純に俺は思ってしまう。


 (だま)されてしまう恐れも、もちろんあるが、無暗(むやみ)に人を疑うよりはマシだと思う。

 騙すよりも騙される方が良いに決まっている。

 人を騙せば魂が(けが)れてしまうが、騙されても人に笑われるだけだ。

 

 笑われたところでそれがどうした。俺は底辺だとずっとあざ笑われていたんだ。

 笑われる耐性は普通の人よりかなりついている。


 「〈南岡社長さん〉、そう言っていただき、誠にありがとうございます。 〈NKU警備保障〉は本当に良い会社でした。 だから思う存分出来たのですよ。 まだ私は若輩者(じゃくはいもの)ですので、ご指導をよろしくお願いします」


 「はははっ、そう固くならずに少しずつ頑張りたまえ」

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