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胸元は大きくV字型ー同級生

 性的な欲求を〈まうよ〉で昇華させた俺は、〈木本さん〉と〈優香〉に過度のお色気で客を()るのは、危険を(ともな)うので(ひか)えるように忠告してみた。

 二人ともかなり可愛いのだから、ストカーになるヤツが現れる危険性が高いと思うんだ。


 「えぇー、お色気なんて、私達はちょっぴり短いスカートにしただけです。 足を組み替えるなんてしません。 〈うろ部長さん〉だけですよ」


 「飲む誘いじゃないんだ。 はぁー、残念。 見せパンは万が一の(そな)えだよ。 太ももはいつもピッタリ閉じています。 そんなの当たり前でしょう」


 「そ、そうなのか。 それなら良いんだ。 変な男もいるから気をつけるんだぞ」


 「はい。〈うろ部長さん〉のお気づかいに感謝しますわ。 うふっ」


 「はーい、分かったよ。 〈うろ部長〉は私達が心配なんだね。 えへへっ」


 アダルトビデオの訪問販売ものを9年前に見たせいで、俺の心はそれ以後(ゆが)んでしまったのか。

 アダルトビデオは虚構(きょこう)の世界だ。

 妄想の産物だから、現実世界と混同しちゃいけないな。




 〈まうよ〉の服とかを買うために、俺はデパートを二つもハシゴしている。

 かなりあったボーナスは、デパートに吸いとられて、とても減ってしまった。

 悲しいことなんか無い。〈まうよ〉が楽しければそれで良いんだ。


 俺は無の境地に入ろう。


 【〈かっくん〉はどんな下着が好きなの? こっちへ来て選んでほしいな】


 「それは断る。 俺は脱がした時に感動をしたいんだ。 俺がまだ見ぬ、感動パンツを選んでほしい」


 【なるほどね。 エッチな〈かっくん〉らしい考えね。 うんと感動するものを選んであげるわ】


 あぁー、パンツで感動か。


 ひょっとしたら、俺と〈まうよ〉はバカカップルかもしれない。

 やることだけを考えている。

 性欲モンスターカップルなのか。

 その割に持続時間が短いことは笑ってくれ。


 無の境地へ入れそうにない。

 無地のパンツは選びそうにない。


 【私の服は一杯買ったけど、〈かっくん〉のは何にも無いよ。 私が選んであげるね】


 「おぉ、頼むよ」


 本心では〈デパートは高いよ、もっと安い店で良いのに、と思ったが、口には出さなかった。

 俺はバカでは無いんだ。


 「えぇぇ、どういうことだ。 この女性はまさか〈うろ〉の奥さんじゃないよな」


 デパートの店員のくせに、店中に響くような声を出しているのは、中学の時の同級生だ。


 名前は、…… 忘れた。

 二十年以上も前のことだから、しょうがないと思う。


 【夫がお世話になったようですね。 妻の〈まうよ〉と言います。 よろしくお願いしますわ】


 おぉ、お上品な奥様って感じだな。いつもより知性があるようにも思える。

 誰もバカカップルの片方とは気づかないだろう。


 「は、初めまして、紳士服売場の主任をやっています〈麻布〉です。 本当にお綺麗だ。 デパートに17年勤めておりますが、これほどの美人を初めて見ました。 女神様じゃないですよね」


 〈麻布〉という名前らしいが、同級生だった男がベラベラと、うわずった大きな声でしゃべりやがるから、他の客が集まってきてしまったぞ。


 〈まうよ〉がどれだけ美しいか、確かめたいからだ。

 好奇心を刺激されたんだろう。

 十人以上がこっちに来ようとしているな。

 こんな状況では服を選ぶどころじゃないよ。


 「〈まうよ〉、これじゃ買い物にならない。 今日はもう帰ろうよ」


 【はい、分かりました。 このデパートは出ましょう。 違うお店で買えば良いわ】


 「ちょっと〈まうよ〉様、お待ちください。 これは同窓会の招待状です。 会費はもちろん無料にしますから、ぜひとも来てください。 お待ちしています」


 俺の同級生らしい男は、〈まうよ〉が持っていた小さな紙袋に、招待状らしき紙を強引に入れやがった。


 〈まうよ〉の機嫌がみるみるうちに悪くなっていく。

 こんなところでトラブルは起こしたくはないな。

 それでなくても注目されているんだ。


 俺は強引に〈まうよ〉手を引っ張って、この場を去ることにする。

 美人すぎるのも大変だ。

 紙袋の中の紙はトイレにゴミ箱にでも、捨てれば良いだろう。


 【〈かっくん〉は腹が立たないの。 あいつから完全に無視されたのよ。 同窓会だったら、〈かっくん〉に渡すべきだわ】


 「俺には来てほしくないんだよ。 同窓会の話は聞いてもいなかったな。 まぁ、俺は友達が一人もいないし」


 【そうなんだ。 それならなおさらよ。 絶対に許しちゃいけないわ。 目にものを見せてあげましょうね】


 〈まうよ〉は何か(たくら)んでいるらしい。

 機嫌がみるみるうちに回復して、ちょっと悪い顔に変わっていくぞ。

 美人なのは変わらないから、悪の世界組織の美人幹部のようにも見えてしまう。


 俺のために怒ってくれたのは、感謝しかないから、俺の機嫌もみるみるうちに良くなっていく。


 機嫌が直った〈まうよ〉に、別の店で俺は服を選んでもらった。

 同窓会に着ていく服は、相当高価なものだったようだ。


 下着も〈まうよ〉が買ってくれるのだが、〈まうよ〉は俺がはくパンツに感動を求めていないようだ。

 ポンポンとリズミかるに濃いグレーのトランクスを沢山買っていたよ。

 男物のパンツを平気で買うってことは、〈まうよ〉はすでに妻となっているんだな。

 俺がトランクス派なのを知っているだけで、ちょっぴり感動してしまった。

 

 「〈まうよ〉は俺の素敵な奥さんだ。 愛してるよ」


 【番って最初から言ってるでしょう。 ずっと前から私は奥さんですよ。 そうじゃないのに、口で(くわ)えたりしないわよ。 でも、愛していると言葉で伝えてくれたのは、本当に嬉しいな。 私も心から愛しています】


 そして大量の紙袋を持たされた俺は、ヨタヨタとアヒルのように歩き、汗だくでマンションまで何とか帰りつくことが出来た。


 その夜の〈まうよ〉は、いつもの青いパジャマでは無く、ピンク色のルームウェアで俺を楽しませてくれたんだ。

 いつもは白い肌をしているけど、ほほも足も胸の谷間もピンクに染まっていた。

 ルームウェアには濃いピンクの小さな花が散っているから、ベッドの上はピンク一色に華やいでいる。


 光沢感のあるサラサラの生地で、胸元は大きくV字型に空いているんだ。

 レースの縁取(ふちど)りの間から、胸の谷間がモロ見えになっている。

 ショートパンツはとても短くて、スカートと間違うくらいに(すそ)が開いている。

 ツヤツヤの太ももがムキ出し状態だ。


 全体のデザインが、フェミニン&セクシーな印象を(あた)えてくれる。

 お家でのリラックスタイムでも、気分を上げてくれること間違いなし。

 

 ラララララ、ラララ。

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