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大海の蜃気楼 ートリアイナ王国海戦記ー  作者: 出羽育造
第1章 灼熱の世界大戦
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第10話 願い

 戦争が始まったといっても市井の人々の生活は普段通りと変わらない。王国本土が直接戦火の脅威に晒されている訳ではないし、エネルギーや食料等は平常時と変わらず供給されているため、国民生活に影響を及ぼしてはいないからだ。しかし、陸海軍とも戦時体制に移行した事を受け、予備役の召集も始まるなど、国に暗い影を落とし始めている。特に家族や親族に軍の関係者がいる家庭は日々のラジオニュースから流れる情報から耳を話せないでいた(国の方針で、国民の心理負担を和らげるよう、音楽番組やお笑い、生活情報番組も通常通り放送されている)。


 宣戦布告を受けた翌々日、学校が終わった放課後、グリーンベルはシャルロットとあおいちゃんを家に誘って、お守り作りをしていた。


「お母様から聞いたお話しですと、増派機甲部隊の出発は2日後に決まったらしいです」

「随分と急ね…」

「それだけ事態が切迫しているって事だと思います」

「お兄ちゃん、大丈夫かな…」

「あおいちゃん、そんな顔しないで。だからお守り作って届けるんでしょ。私達のお守り持っていたら絶対に大丈夫よ!」


 泣きそうな顔で手を動かすあおいを励ますシャルロットだったが、彼女の兄であるアドルもいずれ戦場に向かう。そう思うと気が気ではなかった。


(でも、ベルの方が辛いわよね。ユウキさんは増派機甲部隊に志願して最前線だし、アレックスさんが勤務する本国艦隊も出撃待機命令が出されたっていうし…)


「そういえば、ディアナ叔母様も菅谷様に手作りのお守りを渡したんだそうですね」

「うん。お父様は偵察機のパイロットだったでしょ。偵察機って敵に撃墜される危険性が高いんだって。だから、必ず帰ってきてほしいって願いを込めて作ったって言ってたわ。お父様は今でもそのお守りを大事にしてるのよ」

「へぇ~。御利益があったんですね」

「だからさ、私達も張り切って作ろうよ!」


 話題が少し前向きになったことで3人の顔が少し明るくなった。黙々と手を動かす事3時間。やっとお守り袋が完成した。


「出来ました。後は無事の願いを書いた紙を中に入れるだけです。これに書きましょう」


 グリーンベルが微かに花のにおいがする、和紙で出来た香り紙を2人に手渡した。袋と紙を交互に見ていたあおいちゃんが突然とんでもないことを言い出した。


「女の人が戦地に向かう大事な人に渡すお守りには、あの…うう…、ア…アソコの毛を入れるってお父さんが言ってたんですけど。あたし、まだ生えてなくて…。ベル様かシャル様、私の分くれませんか?」

「ええっ! そ、そうなの!? じ、じゃあお父様のお守りにはお母様の毛が入ってるのかしら…。やだぁ。でも、私のでいいなら…」

「やめなさいシャル」


 顔を赤らめながらパンツに手を入れようとしたシャルロットの頭を「ペン!」と叩いて止めたグリーンベルは、確かにそういう話はあるが単なる迷信であり、お守りに込めるのは作った人の気持ちだとあおいに話した。


「ああよかった。お父さんたら、後でとっちめてやるんだから」

「あはは、ほどほどにしてあげてね」


 プンスカするあおいを見て笑うグリーンベルとシャルロットだった。3人はそれぞれ無事の帰還を祈る言葉を紙に書いてお守り袋に入れた。出来上がったお守り袋を眺めながらシャルロットがグリーンベルに聞いた。


「ところで、お守りはどうやって渡すの?」

「はい。何でも、統合作戦本部の補給部に家族からの手紙や荷物を受付ける窓口があるそうで、そこに届ければ補給物資と一緒に届くんだそうです」

「じゃあ、早速明日届けに行こう!」

「でも学校帰りじゃ遅くないかしら」

「そうですね…。では、こうしたらどうでしょう。4時限目が終わったら早退するのです。あおいちゃんと待ち合わせてその足で補給部に行きましょう」

「あっ、それ賛成! あおいちゃんも大丈夫?」

「はい!」


 グリーンベルの提案で午前中で早退する事を決め、シャルロットとあおいは出来上がったお守りを大事に鞄に入れて帰って行った。2人が帰った後、グリーンベルは自室のドアの鍵を内側から閉めた。胸に手を当てて深呼吸をしてからパンツを下ろし、毛を3本抜いて用意した紙に1本ずつ挟んで折り畳み、兄2人とエドワードのお守り袋に入れた。


(そ、そうです。何事も信じる者は救われるのです。でも私ったら大胆過ぎかも…)


 ベッドの上にバタンと倒れ込み、恥かしさで身悶えるグリーンベルであった。


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


 グリーンベルとシャルロットは学校を4時限で早退すると、大通りで待ち合わせていたあおいと合流し、官庁街の一角にある陸海軍統合作戦本部が入っている、軍務省国防部の建物の前まで来た。

 建物には制服を着た軍関係者や官僚と思われるスーツ姿の人達が忙しそうに出入りしており、門脇の警備兵詰所では戦地にいる家族に荷物を送ると思われる人達が中に入るための受付をしている。


 列に並んで30分ほど待つとグリーンベル達の番になった。入館許可申込書に名前を書くと、受付の兵士がぎょっとした顔をして名前と顔を見比べた。グリーンベルとシャルロットは慌てて椅子から立ち上がろうとした兵士に向かって、口の前に人差し指を当てて「しーっ」と小さく言った。兵士はこくこく頷くと、入館許可証を渡して目的の場所の行き方を丁寧に教えてくれた。


 入館許可証を首から下げて中に入った3人は、受付の兵から行き方を教えてもらったにもかかわらず、直ぐに道に迷ってしまった。うろうろする内に自分の居場所も見失ってしまい、途方に暮れてしまう。制服姿の女子高生と女子中学生の姿に廊下を歩く兵達が不審な視線を送ってくるが、当の本人達はそれどころではない。とりあえず誰かに聞いてみようと辺りを見回していると、不意に声をかけられた。


「ベルとシャルじゃないか」

「キャッ!?」

「びっくりしたぁ~。エドワード様じゃん。もう、驚かせないでよ」

「ははは、悪かったな」


 声をかけたのはエドワード王子だった。何でも増派機甲部隊への転属に伴う事務引継ぎに来ていたとのこと。これは僥倖とグリーンベルは、「かくかくしかじか」とここに来た理由を話し、手作りのお守りをエドワードに手渡した。


「これをオレに?」

「はい。無事に帰ってくるよう願いを込めて作りました。どうしてもお渡ししたくて」

「そうか…。嬉しいよ。肌身離さず持つことにする」

「絶対ですよ。それと、ユウキ兄様とアレックス兄様の分もあるんです。できれば、お渡ししてくれませんか?」

「それは難しいな。こう見えてオレも忙しい身なんでな。窓口を案内させるからそこに行ってくれ」


 今更窓口に行くのは面倒くさい。このチャンスを逃すまいと考えたグリーンベルはエドワードに耳を貸すようにと手招きした。身を屈めたエドワードにグリーンベルは何かを囁く。すると彼は驚きで目を見開き、動揺したような声で聞き返した。


「マ、マジ…か?」


 グリーンベルはぽっと顔を赤らめてこくんと小さく頷いた。エドワードは小さくガッツポーズをすると満面の笑みで任せるように言った。


「考えてみりゃあ、届けるだけなら大した手間ではないな。わかった、俺が届けてやるよ。アドルにも会う用事があるし、シャルの分も預かるぜ」

「いいの!? ありがとう、エドワード様。よっ、お山の大将! さっすがぁ」


「なんだそりゃ。全然褒めてねぇじゃねえか。全くっと、そっちのお嬢ちゃんは?」

「ひゃっ!?(急にキタ!あわわ、何を言えばいいの!?) はっ、はいっ! あた…わたっ、わたしは青海あおいっていいます! 王子様におかれましては、いつもお元気で、お尻は痒くありませんか!?」


「いや、尻は痒くないが…。何なんだ、この子」

「アハハ。あおいちゃん、落ち着いて。ハイ深呼吸」


 一般庶民のあおいからしたら、天上の人物である王子様に出会ったことで完全に舞い上がってしまっていた。シャルロットが苦笑いしながら落ち着かせ、グリーンベルがあおいとの仲を説明した。


「あおいちゃんは、私達の行き付けの食堂の娘さんでお友達です。アレックス兄さんやアドルさんとも仲がいいんですよ」

「エドワード様、あおいちゃんのお兄さんは第2師団にいるのよ。あおいちゃんのお守りもお願いできないかしら」

「第2師団か…。そりゃ心配だな。第2師団ならオレの新たな任務地だ。全然かまわないぞ。むしろ新たな戦友に会える切っ掛けになりそうだ。喜んで届けるよ」


「ありがとうございます、エドワード王子様! 王子様のご無事もお祈りします!!」

「おお…年頃のロリ系美少女から励ましの言葉を貰っちまった。おいベル、シャル。なんだこの子、めちゃくちゃいい子じゃねぇか。妹のレイラにこの子の爪の垢でも飲ませてやりてぇぜ」

「ああ…。レイラ…ね」


 レイラはアーサー国王の末子でグリーンベル、シャルロットと同い年の16歳。美形揃いの王族にあって彼女も中々の美人だが、性格はキツく傲慢不遜の貴族絶対主義者で庶民派のエドワードにベアトリーチェ一家やディアナ一家とは絶対的に合わないのであった。当然グリーンベルやシャルロットとは水と油。顔を合わせればケンカが始まるといった具合なのだ。


「あの野郎、最前線に志願した事を父上に報告したら何と言ったと思う。「お兄様、お国のために立派に死んでください。そうなったら私の王位継承順位もあがりますわ」だとよ。思わず殴りたくなったぜ」

「うわぁ…」

「あのクソ女…」


「(ベル様からクソって聞くとは…)そんな顔しないでください王子様。あたし、王子様のご活躍を信じてます。必ずこの国を守ってください! そして、無事に帰ってきて、あたしンちの食堂に食べに来てください。絶対にですよ。あとこれ…」


 あおいはバッグをごそごそしてお守りをひとつ取り出し、エドワードの手にそっと置いてギュッと手を握り、にっこりといい笑顔で笑った。


「これ、お守りです。ちょっと失敗したんで自分用にしようかと持っていたものです。縫い目が変ですけど、気持ちだけは込めてます。よかったら、持って行ってくれませんか」

「あおいちゃん…。ああ、よろこんで頂くよ。なんて可愛いんだ、君は!」

「キャッ!?」


 エドワードは感激のあまり、あおいをギュッと抱きしめた。驚いて小さく悲鳴を上げ、恥かしさで真っ赤になったあおいの華奢な体を堪能したエドワードは彼女を放すと、ちらとシャルロットを見た。


「ところで、シャルはオレに何かないのか?」

「無いです」

「即答かよ!」


 シャルロットの断言に思わず笑ってしまうエドワードであった。そして、何としてもこの子達の笑顔を守るのだと心に誓うのであった。


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


 トゥーレ島、イヴァレーア市の港湾公園に係留されている戦艦大和の清掃やメンテナンスを行っているコーゼル達ボランティアメンバー。戦争が始まっても退役し、高齢となった自分らが出来ることはないと日々の日課を黙々とこなしていた。アトリアもまた、学校帰りに大和に寄って、艦橋の長官席に座り、不安な心の内を大和に語りかけるのであった。


 開戦が告げられてから3日後の平日の放課後、アトリアがいつものように大和に乗船しようとタラップに近づいた時、背後から声がかけられた。


「ねえ、君」

「キャッ!?」


 アトリアが振り返ると、声をかけてきたのは同い年くらいの男女だった。アトリアと同じ中学の制服を着ているが、褐色の肌をした美男美女で、明らかにトリアイナ人でも日本人とのハーフでもない。アトリアは暫く前に隣のクラスに亡命してきたスケリア王族の兄妹が転入してきたのを思い出した。王国政府によって支援を受け、安全なイヴァレーアで生活しているとの話だった。


「君は同じ中学の子で、アトリアっていうんだろ?」

「ど…どうして、わたしの名前を知ってるんです?」


「クラスメイトに大和について訊ねたら、いつも学校帰りに大和に寄ってるアトリアって子がいるからその子に聞いた方がいいって教えてくれたんだ。だから来てみたら、大和に乗ろうとしている子がいたから声をかけてみた」


「そうだったんですか…」

「僕はカイン。こっちは妹のアリア」


 アリアはぺこっと頭を下げた。カインは大和を見上げてアトリアに話しかけた。


「これが噂の戦艦大和か…。30年前、1隻で帝国の魔導戦艦を4隻も沈めた異世界の戦艦…。一度じっくりと見てみたいと思ってたんだ」

「休日は一般公開されてます…。その時なら甲板に上がれます。中は見れないけど…」

「私達、あまり公の場に行かないよう言われてるの。立場が立場だからって。ねえ、あなたは中に入れるんでしょ、見せてもらえないかしら」


「…………(どうしよう…)」

「……。僕の国にもアグニとインドラっていう魔導戦艦があった。スケリアの盾と言われて僕たち国民の誇りだったんだ。でも、その盾もヴァナヘイムの前に負け、国は奪われ、父上も兄上も処刑されてしまった…。スケリアの誇りは全てヴァナヘイムに奪われてしまったんだ…」

「うう…ぐすっ…。私達兄妹とお母様だけがこの国に逃げてきたの…」


 俯いたカインが暗い声でぼそっと呟いた。アリアはぽろっと涙を流し、嗚咽を漏らす。アトリアは何も言えず黙っていると、カインが大和を見上げて行った。


「戦争が始まっても僕達には何もできない。だから、ヴァナヘイムに勝利した異世界の大戦艦をどうしてもこの目で見てみたかったんだ。大和は世界を救った艦としてスケリアでも知られた存在だったからね」

「私達にとって、トリアイナは希望なの。この国に住んでみてよくわかったわ。トリアイナの持つ異世界技術は、私達が利用してきた魔導技術とは全く違う想像外の力。その力をもたらした大和をぜひ見てみたいの」


 アトリアはカインとアリアの気持ちが理解できた。アトリアにとっても大和は心の支えであり、自分に勇気をもたらす存在だからだ。しかし、一般公開日以外に大和に入れるのはボランティアメンバーだけと決められている。しかし、2人の気持ちを考えると無下に断ることもできない。アトリアは悩んだ末、大和を案内することにした。


(おじいちゃん達なら許してくれるはず。多分…)


 タラップを上って甲板に出ると巨大な46センチ3連装主砲塔が3人を出迎えた。その圧倒的大きさ、魔導砲とは異なる重厚な迫力に、カインとアリアは圧倒されてしまう。


「す、凄い…」

「これが噂に聞いた46センチ砲。なんて大きいのかしら…」


 砲塔を見上げていたアトリア達に気付いたコーゼル達、ボランティアメンバーが集まって声をかけてきた。


「アトリア、ダメじゃないか、公開日以外に友人達を連れてきては」

「そうだぞ、ルールは守らにゃいかん」

「あ、おじいちゃん。黒田さん。これには訳があって…」


 突然現れた老人達を訝ったカインはアトリアに訊ねた。


「アトリア、この方々は?」

「大和の手入れをしてくれているボランティアメンバーだよ。この人はわたしのおじいちゃん。元は帝国海軍の軍人で戦艦ヨルムンガンドの艦長だったの」

「えっ!?」

「今は晩酌大好きなただのおじいちゃん。こっちの人は黒田さんと清水さん。元大和の乗組員で黒田さんは砲術長だったんだって。大和では偉い人だったそうだけど、今はわたしのお尻を狙ってくる、とってもエッチなおじいちゃん」

「ひでぇ紹介だな」


 アトリアは2人に全員を紹介した。ボランティアメンバーは大和のほか、空母や駆逐艦の乗組員などその道のエキスパートとして戦争に参加した人達で構成されていて、15人いると話した(各人紹介の最後に余計な一言を付け加えるのも忘れなかった)。


「15人? 13人しかいないようだけど…」

「残りの2人はあたい達だよ」

「あ、美咲ミサキお姉ちゃん!」


 数を数えていたアリアが13人しかいないことに疑問を呈すると、残りの2人が現れた。1人は赤茶色の髪をした大柄な女性で、年の頃は20歳前後。半袖シャツから伸びる腕は筋肉が張っていて、カインの腕より太い。もう一人は白髪で口髭を生やした、70半ば位の気難しそうな老人だった。女性は油で汚れた手袋を脱ぎながらニカッと笑った。


「あたいは美咲・ネルソンって言うんだ。こっちはあたいの祖父で川崎源三ってんだ。よろしくな」

「…………ふん」

「源三さんは大和の元機関科員で、今も機関を見てくれているの。美咲お姉ちゃんはそのお手伝いしてるんだ。ちなみに歳は20歳で、年齢=彼氏無しなの」

「い、いいじゃんか彼氏なんかいなくたって。っていうか、簡単に個人情報をバラすなよ」


 真っ赤になって怒る美咲にメンバーが大爆笑して冷やかし始めた。カインとアリアは少々圧倒されてしまっている。そんな2人にコーゼルが話しかけた。


「今日は公開日じゃないから一般は立ち入りできんのだ。何か理由があるのか?」


 カインとアリアは顔を曇らせると、先程アトリアに話したことをもう一度話した。コーゼルや黒田達は黙って話を聞く。ややあって、コーゼルが口を開いた。


「そうか、お二人はスケリア王族の方なのですな。さぞかし辛い思いをされたでしょう。自国の誇りを失った気持ちはよくわかります。儂もそうでしたからな。どうでしょう、儂からの提案なのですが、お二方もボランティアに参加してみませんか」

「ボランティア?」

「そうです。儂らは記念艦としてこの国の行く末を見守っている戦艦大和を手入れして状態を維持する有志の会なのです。もちろん、市から委託も受けたれっきとした団体です。手入れを通じて大和と語り合うのもよいでしょう。さすれば、自ずと己が生き方も見えてくるというものです」


 カインとアリアは暫く考えて話し合った後、参加すると答えた。アトリアは大和に助けを求めるこの2人に何となく自分と同じものを感じ、共感を覚えるのだった。

 アトリアは友達になりたくて一緒に清掃をしないかと声をかけようとしたその時、一瞬の差で源三に先を越された。


「よし、いくぞ小僧」

「えっ!?」


 源三がカインの腕を取った。察した美咲が笑顔でカインの背中を押し、どこかに連れて行ってしまった。兄が連れ去られて「あっ」と声を出したアリアに黒田と清水が近づき、ガッと両脇を取ると問答無用で連れ去ってしまった。出遅れてしまったアトリアはがっかりして呟いた。


「は~あ…。もう…折角友達になろうと思ったのになぁ」


 側でコーゼルが笑っている。アトリアはムッとしながら大和の艦橋を見上げた。何となく大和も笑っているような気がした。

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