外伝2 第二艦隊の異文化交流②
色々あったが、大まかな作戦計画(イベント内容)が出そろったことから、リーダーの伊達は、メンバーをイベント実行班と関係者調整班に分け、分担して作業にあたらせた。また、アイリス、デイジーをサブリーダーに任命して全体の進行管理をお願いした。そして、自身はというと…。
「私も頑張りますから、何でも申し付けてくださいね」
「はあ…。まあ、お願いします」
何故か無理やり実行委員会に参加してきたベアトリーチェとともに運営全般を見ることにしたのだった。
時は着々と進み、日を追って実行委員会は忙しくなってくる。イベントへの参加交渉、施工業者や準備物の手配、場所の配分、費用の確保と配分、イベント順番や時間配分の調整さらには来賓への招待状作成・送付と寝る間も惜しんで働いた。また、お祭り開催にかかる費用については市民からの募金や寄付が中心であったが、ベアトリーチェが王室を通じて財務省に折衝した結果、第二艦隊と国民の交流は最重要事項として、予備費から資金を提供されたのは大きかった。ただし、居酒屋での失態はフェリクス国王の耳に入っており、厳しく叱責されて涙目になったのは秘密である。
お祭りの前日、全ての準備を終えて市役所庁舎を後にした伊達は、会場となる市民広場に足を運んでいた。月明かりに照らされた市民広場にはイベントステージや屋台テント、フリマ用のシート等が整然と配置されている。ただ、時間は深夜とあって人気は全くない。ステージに近づくと猫に似たフェリスという名の動物が数匹ちょこんと座って伊達を見つめている。
「なんだ、お前達も出演したいのか?」
「みゃーん」
「そうか、明日になるとここは人で一杯になる。歌うなら今のうちだぞ。観客は俺1人しかいないがな」
「みゃーん。ごろごろ…にゃん!」
楽しそうにステージで遊ぶフェリスを眺める伊達は、明日の祭りは成功するという予感がするのであった。そして、空襲で死んだ妹を思い出す。
「俺が地球とは違う星でお祭りの段取りをしていると知ったら美沙はどんな顔をするだろうか。そういえば、あいつ綿菓子が大好きだったなぁ。縁日で浴衣を着て綿菓子を食べるあいつは可愛かったな。この世界にも綿菓子があるって聞いたし、明日買ってみるか…」
「にゃーん?」
1匹のフェリスが近づいてきた。見れば見るほど猫に似ている。
「なんだ、お前も綿菓子食べたいのか?」
「にゃーん!」
伊達は手を伸ばしてフェリスの頭を撫でた。フェリスは逃げもせず、伊達の手に頭をすりすりして来て気持ちよさそうだ。いつしか伊達は自分に甘えるフェリスと妹を重ね合わせていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
パン、パン、パン!
午前6時、イヴァレーア市の空に花火が打ち上がった。異世界交流祭りの開催合図だ。空はやや雲が多いものの晴れで風も穏やかなお祭り日和。市民広場外れに設置された事務局テントで伊達は実行委員全員の前で挨拶をした。
「おはようございます。皆の頑張りにより今日という日を迎えることができました。しかし、滞りなく祭りが進行できるよう、来場者が楽しく過ごせるようもうひと頑張りお願いします」
「はいっ!」
「7時からは出展者が荷物を搬入して準備が始まり、9時には来場者が来て祭りが動き始めます。人集まると不慮の出来事や事故が起こりやすい。皆さん、怪我の無いよう、十分に気を付けて運営に当たってください」
実行委員は与えられた役割を果たすため会場内に散った。最後に佐々木少尉とカリンさんが手をつないでテントから出て行くのに気が付いた伊達は、「早くも熱い交流が図られたか」と成果に頷くのであった。
伊達が椅子に腰かけ、1人でスケジュール表を見直していると自分の名が呼ばれた。顔を上げると声をかけてきたのは伊藤中将とウェイン市長、テイラー会頭だった。伊達はサッと起立して敬礼する。
「いよいよだな、伊達中尉」
「ハッ! 準備は万端です」
「準備期間が短かったにも関わらず、このように盛大な祭りとなったこと、市としても感謝いたしますぞ」
「これも市役所や商工会議所の皆様の協力の賜物であります」
「ヴァナヘイムの宣戦布告以降、町も人も活気というものがが失われてしまいました。久しぶりに活気が出た町を見て嬉しく思います。祭りを楽しみにしてます」
「ありがとうございます」
ウェイン市長とテイラー会頭は伊達と握手して礼を言った後、会場を見て回るため伊藤中将とともに事務局テントを後にした。ホッとする伊達に今度は女性の声がかけられた。
「伊達様!」
「ベアトリーチェ様。おはようございます」
ベアトリーチェは苦労して開催にこぎつけたことを労った後、周囲を見回して誰もいないことを確認すると急にもじもじしながら話しかけてきた。
「あの…、その…、あのですね。伊達様はお祭りを誰かと回るお約束とかは…その…」
「いえ、特にはありませんが」
「まあ、良かった! あのですね、もしお時間が取れるようでしたら一緒に回りませんか」
「そうですね。昼は交代で取ることにしていますので、その時なら」
「やった! 約束ですよ!」
ベアトリーチェは満面の笑みを浮かべると、ひらひらと手を振ってどこかに行ってしまった。伊達は「ふう」と息を吐くと腕時計を見た。時間は午前7時を回った。屋台や物販販売の準備のため、市民広場に人が集まってきた。伊達もまた準備のため動き出した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
午前9時を回り、花火が打ち上げられたくさんの風船が空に放たれた。入場口が開かれて待っていた大勢の市民が市民広場に入ってくる。第二艦隊も本日は全休として最低限の乗組員(と大和の艦内見学要員)を残して上陸が許されたことから、大勢の兵達も会場に訪れていた。
【物販テント】
物販テントではイヴァレーア市や周辺の町村の農家や畜産、漁業を営む方々が自慢の産品や加工品を持ち寄り市価の2割から3割安く販売している。このため、家庭の財布を預かる主婦だけでなく、艦隊の主計科兵も大勢来場してトゥーレ島の特産物や珍しい食材を買い求めていた。
「おばちゃん、この野菜、なんていう名なの? 食べ方は?」(ある艦の主計兵)
「おばちゃん…だって…?」
言葉をかけてきた主計兵をじろりと睨みつけるおばちゃん(推定50歳)。鋭い視線に主計兵の背筋に冷たいものが走る。彼は厳しい上官と故郷の母親と目の前のおばちゃんが重なり、間違った言動は命取りと瞬時に思考を巡らせた。彼はビシッと見事な敬礼をした。
「失礼いたしましたッ! 美しいお姉様を前に「おばちゃん」等と不敬極まりなく、誠に申し訳ありませんでしたッ! お姉様に置かれましては、この野菜の名称と調理法を教えていただければと存じます。よろしくお願いしますッ!」
「ふん…。今更おべっかを使っても遅いよ。でも仕方ないね、教えてあげるよ。ただし、必ず買い上げること。いいね、拒否権はないよ」
「感謝の極みッ!」
農産物販売のおばちゃんと異世界の兵士のやりとりに周りで見ていたイヴァレーアの市民達から笑いが起きた。彼らも自分らと同じ人間だと理解した市民達は物販店の前で売ってる商品が何か分からず、うろうろする異世界の兵士達に声をかけ、案内してあげるのであった。
【フリーマーケット】
フリマスペースでは市民が色々な物を持ち寄って販売をしている。客達も通路を歩き回って並べられた服や小物等を手に取り、販売者から説明を受けたりしている。時間の経過と共に人が増えてきたが、ある一角で何人もの人々が足を止めて、1人の男が奇声を上げながら激しく全身を使って何かをしているのを不思議そうに眺めていた。
「フンッ! ハアッ!!」
「ハァアアアッ! ホァタアーッ!」
その男は空母葛城甲板員の大雪山荒神一等水兵。召集前は名の知れた書道家とのこと(自称)。彼は密かに私物として持ち込んだ羽織袴を着用し、愛用の習字道具を使って公衆の面前で書道を行っていたのだ。書道をするのに何故奇声を上げるかはわからない。彼は心に思い浮かんだ言葉を墨に乗せ、勢いそのままに筆を紙に叩きつける。飛び散る墨汁、初めて見る異世界の文字(日本語)に、集まった人々は目を離せない。
「出来申した! 天上天下唯我独尊!!」
「あ、あの…それはどういう意味ですか?」
集まったギャラリーから1人の美人女性が質問した。大雪山はじろりと女性に視線を向ける。坊主頭で頬がこけた痩身の修行僧みたいな男に質問した女性はビビる。しかし、大雪山は静かに筆を置いて言った。
「…この言葉は「この世で自分こそが尊い」という意味だが、「この世の全てが尊い」とも解釈される。つまり、この大地が尊く、そこに住まう人々…特に貴女を始めとする全ての美しい女性達は尊いという意味である!」
「どうですお嬢さん、1,000ギルダー(約千円)で購入めさらぬか」
「う~ん。要りません」
「残念である。では、これはどうかな。乳輪火山。やっぱり1,000ギルダー」
「…一応聞くけど、意味は?」
「あなたのような美女子の豊乳先端の蕾が興奮して起立する様を火山に見立てて表現した…とでも申そうか」
女性はスッと目を細めると乳輪火山と書かれた紙を奪い取り、ビリビリと破り捨てた。
「おわあああーーっ! 吾輩の会心作がッ!」
「死ね、スケベ野郎!」
このやりとりに周囲がどっと笑いに包まれる。その場に集まっていた人々は女性にゲシゲシと足蹴にされて身もだえ、呻き声を上げながらスカートの中をチラ見するのを忘れない怪しげな風体の異世界人に親近感を覚えるのであった。
【ステージイベント】
ステージ前に並べられた数百人程度座れるテーブル席は家族連れでほぼいっぱい。屋台で買った食べ物を頬張りながら、様々な出し物を楽しんでいた。午前中に行われた市民楽団の演奏会や子供達の合唱には大きな拍手が送られ、艦隊乗組員による手品(三浦審二郎二等水兵)、暴露漫談(牧ひろき水兵長)、山本祐二大佐と駆逐隊司令3人による安来節に大爆笑した。
「なんで我々が…」(山本大佐)
「長官の直接命令とはいえ…」(小滝大佐)
「異世界でどじょうすくい…。家族に見られなくて良かった」(新谷大佐)
「よく衣装があったな」(吉田大佐)
「伊達中尉の手配で各隊の主計科で作ったそうだ。かなり気合を入れたらしい」(山本大佐)
「伊達か…」(小滝、新谷、吉田)
歓声と拍手に送られて、とぼとぼとステージを降りる4人の幹部を見て、次の順番で寸劇(参謀長指示)を披露するため、ぼろぼろの貧農衣装を着てステージ下で待機していた各艦から選抜された出演者は血の気が引いた顔を見合わせた。
【お昼時】
「伊達様ぁー! こっち、こっちですよぉー!」
昼時に時間が取れた伊達を誘ったベアトリーチェは屋台テントが並ぶ区画に来ていた。テント前には異世界の料理を食べようと大勢の人が並んでいる。
「凄い人出ですね。皆さん、日本の食事に興味津々て感じです。それに、凄く美味しそうな匂い。うう、お腹が空いてきました…」
「ははは。お腹の音が凄いですね。さて、何を食べますか?」
「えーと、えーとですね、どれも美味しそうで迷ってしまいます」
「そうですね。各艦の出しものは、ビーフシチュー(大和)、カレーライス(葛城)、うどん(矢矧)、焼き鳥(磯風)、支那そば(天城)等々。おっ、お好み焼きを出しているのは涼月か」
「見たことも聞いたことも無い料理がいっぱい。どれも美味しそう~」
「ははは。ベアトリーチェ様は意外と食いしん坊なのですね。じゃあ、全部回りましょうか。最初はどのテントに行きますか?」
「もちろん天城の支那そば(ラーメン)です!」
「ディ、ディアナ!?」
声をかけてきたのは小山兵曹と田上一飛を引き連れたディアナ王女だった。彼女らはドンブリを抱え、麺をずるずると器用に啜って両頬を目いっぱい膨らませている。
麺を食べ終えて残ったスープをごくごくと飲み終え「プハーッ!」と息を吐いたディアナはビシッとVサインを出した。小山兵曹と田上一飛も倣って同じポーズをとる。
「天城の志那そばは絶品です。志那そばしか勝たん!!」
「志那そばしか勝たん!!」
と言ってどこかに去って行った。ポカーンとするベアトリーチェの顔が可笑しくて伊達は笑ってしまった。
「いや、ディアナ様は本当に天城押しなんですね。一緒にいたのは彩雲の搭乗員でしたか。じゃあ我々はベアトリーチェ様押しである大和のビーフシチューでもいただきますか」
「え…ええ」
ベアトリーチェと伊達は大和の屋台に並んでビーフシチューを購入すると、広場の飲食スペースの空いてる席に座って食べ始めた。容器からスプーンで掬って口に入れる。
「美味しい!」
「流石大和の司厨員ですね。彼らの中には一流ホテルで修業を積んだ者もいるのです。本当に美味い」
お腹が空いていたベアトリーチェの容器はあっという間に空になった。ベアトリーチェは向かいの席でビーフシチューを食べる伊達をチラ見した。
(これって、ちょっとしたデートよね。うふふっ、楽しいな)
急に頬が熱くなった。ビーフシチューの温かさなのか、伊達と一緒にいるからなのか、きっと両方だとベアトリーチェは思った。
(さ、さあ…次は何を食べようかしら。私が食べ続けている間は伊達様は一緒にいるはず。だって、これはデ…デートだもん)
【大和乗船見学会】
見学会は午前2回、午後2回の計4回開かれる。午前の2回目の見学会を終えた市民数百人が、運搬役を買って出た魔導砲艦プロテウスに乗って岸壁に戻って行く。
「いやぁ~、皆さん一様に驚かれていましたねぇ」
「まあ、これだけの戦艦はこの国にはないからな」
「それに、誰もが我々と大和。艦隊に期待しているのがわかります。重責を感じますね」
「そうだな…」
有賀艦長と能村副長がプロテウスを見送っていると、案内役の黒田砲術長と茂木航海長が苦笑いしながら近づいてきた。
「いやぁ、見学対応は大変ですけど、案内係になってよかったですよ」
「どうしてだ?」
「体験乗船に来た市民の方に聞いたのですが、山本大佐らの安来節、大爆笑だったらしいです。アンコールの声もあって2回も演技したみたいですよ」
「そ…そうか。なんというか…」
「お気の毒としか言いようがないな」
異世界の人々の前で宴会芸を披露する艦隊幹部の姿を想像して、何とも言えない気持ちとなる有賀艦長と能村副長だった。
【祭りの終り】
午後になって更に人出が多くなった。祭りも終盤に近くなり、ステージイベント最後の演目である、大和軍楽隊による演奏会が始まった。始めにトリアイナ王国の国歌を演奏し、続いて日本帝国海軍の行進曲「軍艦マーチ」の演奏が始まった。同時に会場上空を紫電改ニ2個中隊18機、彗星艦爆16機、天山艦攻9機の計43機による編隊を組んでの展示飛行が行われ、見たこともない異世界の飛行機械の力強い雄姿に、会場を訪れていた大勢の人々は大歓声を上げた。
展示飛行が終わると軍楽隊はショパンやモーツァルト等のクラシックの名曲を演奏し、ドヴォルザークの新世界第3楽章、第4楽章で締めくくった。異世界の音楽に感動した人々は盛大な拍手を送るのであった。この様子を見ていた伊達とアイリスとデイジーは、祭りの成功を喜び、日本人とトリアイナ人の交流と信頼構築が成った事を確信したのだった。
「お祭り、成功してよかったですね」(アイリス)
「最初はどうなるかと思いましたけど、終わってみればステキな祭りになって嬉しいです」(デイジー)
「我々も皆さんと交流が図られて嬉しいです。祭りが盛り上がったことで、伊藤長官も喜んでいるでしょう」(伊達)
3人は祭りの成功をお互いの協力の成果と称え、しっかりと握手した。その後、伊達は2人に用事があると告げて1人である場所に向かった。その場所とは救護テント。伊達は奥の簡易寝台に寝かされている人物に声をかけた。
「ベアトリーチェ様。どうですか、お具合の方は? まだ苦しいですか?」
「…伊達様…。はい…お薬のお陰で大分よくなりました…」
ベアトリーチェは伊達の手を借りて体を起こして寝台に腰かけた。顔色は悪く、何となく元気がない。それもそのはず、ベアトリーチェは今、猛烈な自己嫌悪に陥っているからだった。
(うう…リーチェのバカバカ、オタンコナス。伊達様と長い時間一緒にいたいからって屋台を全制覇するって何を考えているのよぉ~。食べ過ぎで具合悪くして救護テントで休むなんて、本当に無様です。伊達様も呆れているに違いないわ。くすん…まともに顔が見れない…)
気の毒なほど落ち込むベアトリーチェを不憫に思った伊達は、ふむと考えてから声をかけた。
「ベアトリーチェ様。実は私の仕事はほとんど終わり、この後は自由時間なのです。とはいっても祭りもほぼ終り、後は花火を残すのみですが、ベアトリーチェ様さえよろしければ、一緒に花火を見ませんか?」
「…えっ!?}
「もしかして、ご迷惑だったでしょうか」
「いっ、いえっ。お誘い嬉しいです! ぜひお願いします!!」
一瞬驚いた表情をした後、ぴょこんと立ち上がって礼をするベアトリーチェ。先程までの死人のような顔から明るい笑顔になった彼女の表情の変化に思わず伊達は笑ってしまった。ベアトリーチェは伊達の手を取り、ニコニコ笑顔で先に立って歩き出した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
祭りによってイヴァレーアの人々と絆を深めた日本人達。異世界という得体の知れない場所から来た彼らに不気味さを感じていた市民も彼らも同じ人間であることが分かり、心に感じていた懸念が払拭されて積極的に交流をしようとする姿も見られるようになった。
しかし、1週間が経ち、祭りの余韻がまだ残る中、ヴァナヘイム帝国の機動艦隊とトリアイナ攻略部隊がマルティア島基地から出撃したとの知らせを受け、日本帝国海軍第一航空戦隊及び第二水雷戦隊からなる第二艦隊は出港のため錨を上げた。
イヴァレーア港には第二艦隊の勝利と乗組員の無事を祈る市民が、大人も子供も大勢見送りに来て、声を上げて手を振っている。その姿に各艦の乗組員は必ず勝って帰ってくると手を振り返し、大和は汽笛を上げて答える。
「行ってしまいましたね…」
「ええ。私達の…この国の命運を背負って彼らは港を出て行った。私達は見送ることしか出来ないけれど、せめて無事に帰って来ることを神に祈りましょう」
「そうですね。帰ってきたら、彼らと一緒にまたお祭りをしたいです」
見送りの群衆の中で、アイリスとデイジーは大和を始めとする艦隊が水平線の向こうに消えるまで手を振り続けたのであった。
申し訳ありません。本編の開始まで少しの間お待ちください。




