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大海の蜃気楼 ートリアイナ王国海戦記ー  作者: 出羽育造
序章 戦艦大和 異世界に現る
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外伝2 第二艦隊の異文化交流①

 第二艦隊がトゥーレ島のイヴァレーア港に入港し、ここを補給整備・訓練基地としてから2週間が過ぎた。現在、国中の土木・建築・港湾企業や労働者が集められ、急ピッチで軍港化が進められ、王国産業省と農務省を始めとする政府機関や企業・大学の研究者等が集まって異世界の機械技術について研究を始めるとともに、これら作業員の宿舎、研究施設、生産工場等が郊外の広い原野に次々と建設され始めていた。


 トゥーレ島はトリアイナ4島の内、本島であるトリアイナに次いで大きな島で、開発の手が余り入っていない自然豊かな島である。島の中央部から東海岸にかけて大火山帯が連なり、千から二千メートル級の火山が美しい景観を見せている。また、この地域では硫黄、鉄、銅、鉛、金銀を含む鉱石を始めとした様々な金属鉱石が豊富に産出され、鉱工業が盛んである。

 一方、島の北部から西にかけては大きな河川が流れ、これらが運んだ肥沃な土砂が広大な沖積平野を形作り、大規模農業や牧畜業が盛んに行われている。さらに、この世界では利用価値がないとされる石炭や石油も豊富に存在している(石油は第二艦隊のお陰で利用価値が見直されている)。


 イヴァレーア市はトゥーレ島で最も大きい都市で人口約23万人(現在は上記理由で25万人に増加)。農林水産物の集積地であり、これらの加工業のほか、商業、軽工業も盛んで、産出物を国内流通のほか、外国貿易で国内外に向けて運航される輸送船が数多く行き来する港湾都市としての姿のほか、トゥーレ島で唯一、大学もある学園都市としての側面もある。そして現在は第二艦隊の基地として軍港整備と滑走路の建設が行われている。(同時に王国海軍及び警備のための陸軍部隊も派遣されている)。


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


 そんなある日、第二艦隊司令長官伊藤整一中将は、イヴァレーア市庁舎にアンソニー・ウェイン市長と面会するため1人訪れていた。イヴァレーア商工会議所のザカリー・テイラー会頭にも声をかけて同席してもらっている。2人の前で伊藤中将はにこやかに笑みを浮かべ、ある提案をしてきた。市長と会頭は驚きの声を上げる。


「ええっ、お…お祭りですか?」

「そうです」


「思ってもみない提案で驚いています。なぜ急にそのような事を?」

「提督には申し訳ないのですが、ヴァナヘイムが攻めてくるという時にお祭りとか、難しいのでは…」


「確かにヴァナヘイムはマルティア島を占領し、橋頭保となる軍港化を進めていますが、現在も補給を行いながら施設整備を行っている段階であり、王国に攻めて来るにはまだ1か月以上の時間がかかるでしょう。警戒を続ける必要はありますが、まだ時間の猶予はあると判断しています」


「そうなのですか?」

「はい。それもあるのですが、この提案にはもっと大きな理由があるのです」

「理由…ですか?」

「そうです。理由です。私としては是非トリアイナの…特にイヴァレーアの市民の皆様と交流することが必要と考えています」


 伊藤中将は、ここを拠点と決めた自分達が最大限の力を発揮し、万難を排してヴァナヘイムと対峙するには、王国軍のみならずイヴァレーア市民の協力が不可欠である。しかし、自分達はこの世界とは別の世界、地球と言う惑星の日本という場所から時空を超えて来た異質の存在のため、薄気味悪さを感じている人々も多く、実際所要のため市内に出かけた水兵を見た子供や女性が怯えて逃げ出したとの話も聞こえている。このため、我々の事を知ってもらい、安心して協力してもらえるよう、交流を図りたいのだと説明した。


「なるほど。それでお祭りを…」

「そうです。異世界文化交流祭りです。協力を戴けないでしょうか」


「貴艦隊が来てからと言うもの、イヴァレーアの経済が活性化したのも事実です。商工会議所としても感謝はしているので協力はやぶさかではありませんが…」

「確かに市民の大多数は国を防衛すると約束してくれた貴艦隊に好意を持って接しておりますが、不気味さを感じて市役所に苦情を入れる市民もいる事も事実です。市としては将来を見据えて日本の方々と友好を結びたいと、市に多くの日本人の方が住んでもらいたいと思っております。分かりました提督。しましょう、お祭りを! 市は全面的に協力しますぞ」

「そういう事であれば、商工会議所も全力で取組みましょう。どうせなら最高に盛り上げましょうではありませんか」


「感謝いたします」


 伊藤中将は市長と会頭に感謝の言葉を述べた。その後の話し合いによって、祭りの名称は「異世界文化交流際」とすること、市と商工会議所、第二艦隊から人を出して実行委員会を組織する事、本日から3週間後5月の最終日曜日に開催する事、会場はイヴァレーア市民広場とすることが決定された。


 打ち合わせの終了後、市庁舎を後にした伊藤中将はフッと笑みを漏らした。


「トリアイナで半舷上陸して発散したとはいえ、我が艦隊の兵達も迫りくる戦いの陰で緊張が続いている。この祭りで精神的な重圧から解放してあげなければ勝てる戦いも勝てないからな。それに、市民の協力を得るためにも異文化交流は友好な手段だ。私としても無用な軋轢は避けたい。そのためにも楽しい祭りに出来ればいいのだが」


 その足で会場となる市民広場に足を運んだ。公園では穏やかな時間を楽しむ親子連れや恋人達がそれぞれの時間を過ごしている。中将の姿に気付いた子供達が笑顔で手を振って来たので、手を振り返すと母親らしい女性が頭を下げた。


「子供は可愛らしいものだ。あの笑顔を何としても守ってあげなければ。この国を祖国のようにさせたくはないからな」


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


 祭り開催を決めた翌日、市庁舎の会議室に集まった面々は顔を合わせると大きくため息をついて声を揃えて呟いた。


「時間がない…」

「どうしよう…」


 集まった面々は第二艦隊から伊達中尉を筆頭に大和通信科の佐々木少尉ほか各艦から1名ずつ選抜された計12名、イヴァレーア市役所から観光課のアイリス主査を筆頭に各課から集められた男女半々計8名、商工会議所からは地域振興課からデイジーさんほか10名。しかも商工会議所は全員女の子という思い切った布陣である。全体で30名と言う大所帯だが、全員の顔は暗い。


 それもそのはず、長官&参謀長、市長、会頭から下された命令は「祭りを開催して交流を図り大いに盛り上げる事」という漠然とした内容であり、期間も僅か3週間しかない。しかも、誰がリーダーになるかも決まってもいない。


 とりあえず集まったメンバーの自己紹介は済ませたものの、その後は会話も無く沈黙が会議室を支配している。特に見慣れぬ海軍の制服を着た潮焼けした肌の異世界のむさくるしい男達にイヴァレーア側の参集者は戸惑い…もとい、ビビりまくっているのである。伊達はその様子に思い切りため息をついた。


(なんで私が…。長官の直接命令だから断れず、陽気な佐々木君を巻き込んだものの彼も沈黙するとは計算外だ。一体どうすれば良いのか…。突然集められた市役所や商工会の方々も困惑している。このままでは成功なんて夢のまた夢だ。仕方ない、このような事は苦手なのだが、まずはこの方々と意思疎通しない事には始まらん…)


「あの、よろしいですか?」


 伊達は意を決して手を上げた。皆訝し気に注目してくる。どんな時でも冷静沈着な伊達も流石に気後れしてしまうが、そうもいっていられない。


「飲み会、しませんか?」

「えっ!」


 全員驚いたような顔を向け、佐々木は急に目を輝かせた。思いがけない提案にアイリスが恐る恐る聞いて来た。


「急に飲み会とか言われても…。何か理由がおありなのですか?」

「ここに集められた皆さんは、上司からの無茶な指示と初めて顔を合わせる我々に困惑されているご様子。実はこれについては我々も同じなのです」

「確かに…。いきなり異世界の海軍の方と一緒に祭りを開けと、訳の分からない指示で戸惑ってしまってます」


 伊達は「さもありなん」と頷く。アイリスとデイジーは顔を見合わせた。


「アイリス殿がおっしゃった様にあなた方にとって我々は得体の知れない輩も同然です。このままではお互いの意思疎通もままならず、指示された大任も上手くいかないでしょう」


「なので、まずはお互いを知ることから始めませんか? 酒を飲んで美味いものを食べてお喋りして、親交を深めた方が物事が上手く進むのではと思った次第です。もちろん費用は我々が負担します」

「なるほど…。いわゆる飲みニュケーションってやつですね。確かに今必要なのはそれかも知れません」


 アイリスの言葉に他の参加者も同意とばかりに頷いた。意見交換の結果、善は急げということでその日の夕方、市内の居酒屋を会場に懇親会が開催されることになった(佐々木少尉は、どうせなら大和の後部甲板で盛り上がりましょうと主張したが、女性に飢えた輩が乱入してくるのが目に見えているため、伊達中尉は断固拒否した)。


 飲み会の話題で急に盛り上がる会議室。その出入口の扉の影からそっと中の様子を伺う人物がいた。その人物の名はベアトリーチェ。トリアイナ王国の第1王女である。


(伊達様が伊藤提督から新たな任務を受けたと聞いて、お手伝いでもと思って来てみれば…。なんなんです、あの女の群れは! しかも、みんな若くて可愛い子ばかりではないですか! こら、そこの女、伊達様に近づくんじゃない! 伊達様もなんですか鼻の下を伸ばして。飲み会~? 飲み会で伊達様がお持ち帰りでもされたらコトじゃないですか。ハッ、まさか飲み会を提案したのは伊達様がお気に入りの女をお持ち帰りをするため…。ダメダメ、伊達様が持ち帰っていいのは私だけなんです! 他の女なんて絶対に許しませんよ!)


 あらぬ妄想でギリギリと歯を食いしばり、柱に爪を立てる嫉妬の鬼と化したベアトリーチェ(全て彼女の妄想)。その姿は不審者そのもの。通りがかった市役所の職員が足を止め、訝し気に視線を向けるが本人は全く気付いていないのであった。


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


 繁華街にある比較的大きな1軒の居酒屋。美味しい料理と豊富な酒の種類、それと明るい雰囲気で女性も安心して飲めるとあってイヴァレーアでは人気の店である。その店の奥のテーブル席に参集したお祭り実行委員会のメンバー。まずは言い出しっぺの伊達の乾杯で宴会が始まり、まずは目の前の相手と歓談に入った。


 最初はぎこちなかったが、酒が入ると段々会話が出る様になる。となると、やはり異世界の話に興味が移る。イヴァレーア市役所と商工会議所から参加の女子たちは日本の事を聞きたがった。お調子者の佐々木少尉を筆頭に日本の話(戦争の事は伏せて、自然風景、普段の生活や食事等々)を聞かせると大いにみんなの興味を引いた。逆に日本から来た者たちはトリアイナ王国やこの世界の技術や文化を教えてもらい、元の世界と比較して感心することしきりだった。


(大分会話が進んできたな。よし、もう一押し必要だな。ここで出すか)


「皆さん、これを飲んでみてください」


 伊達が持ち込んだ荷物袋からででん!と出したのは日本酒一升瓶(大和の酒保からこっそり持ってきた秋田と新潟の銘酒)と英国産高級ブランデー&ウィスキー(伊藤長官からの差し入れ)だった(持ち込みは店には了解済み)。見たこともない異世界の酒に、特にデイジーを始めとする商工会議所の女子たちは興味津々。早速飲んで見ると日本酒のフルーティでコクのある味わい、ブランデーやウィスキーの奥深い味に感動するのだった。


「お、美味しい~っ!」

「甘くて喉越しがよくて、いくらでも飲めちゃう」

「本当だ。こんな味わい初めて…ぐびぐび」

「実に美味しッ!」


 初めて味わう異世界の酒で一層アルコールが回る。話してみると日本やトリアイナの若者達も本質は変わらないということが分かり、上司上官の無茶振りに参っていることも共感を呼んで会話も進む。いつしか話は祭りの内容になって盛り上がってきた。その様子に伊達は飲み会作戦は成功だなと満足して頷いた。


 場の盛り上がりに安堵し、日本酒を口にした伊達を挟んでアイリスとデイジーがすとんと腰を下ろした。二人とも顔は真っ赤で相当酒を飲んでいるようだ。


「伊達さん。流石です。飲んで食べて異文化交流…。これ、祭りのテーマにしても良いのではと思うのでありましゅ!」

「アイリスさんと話したのですけど、伊達さんが実行委員会のリーダーになってもらえませんか?」

「ええっ、私がですか?」


「はいっ! 伊達さんは人を上手くまとめる才能があると思うんです。それに、何と言いますか、普通の軍人?とはちょっと違う雰囲気で話しやすい感じがして…。それに、艦隊の補給全般の調整をされているとか。そのような方なら私達を引っ張ってくれると思うんです」

「伊達さん、お願いします!」

「わ、わかりました。微力ですが力を尽くします」


  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


「伊達様の魅力に気付くとは…、あの女ども侮れません。それにしても、楽しそうで羨ましすぎます。私も伊達様の隣でお酒を飲みながら談笑したいのにぃ~。タイミングを見計らって乱入してやるわ。ぐぬぬ…」


 伊達たちが宴会しているテーブル席から通路を挟んだカウンター席に1人座り、背中越しに様子を伺っているのは、目立たぬ地味な服装を着て、カツラを被り、サングラスを掛けた怪しげな変装をしたベアトリーチェ。時折酒を呷ってツマミを食べる。店員が不審な視線を送るが気にしない。伊達の周囲に陣取る女性達の挙動を逐一注視している。


「あのアイリスという女…。間違いなく伊達様に色目を使ってるわね。油断ならない女だわ。デイジーという名の女もヤバいわ。胸の谷間を伊達様に見せつける様に迫りやがって。わ、私だって大きさは負けてないんだからねっ!」


 アイリスもデイジーもそんなつもりは全く無く、単に会話を楽しんでいるだけなのだが恋という妄想に取り付かれたベアトリーチェには伊達に近づく女は全て敵に見えるのであった。


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


 ベアトリーチェの妄想はさて置いて、飲み会の席では祭りの出し物で話が盛り上がってきた。


【伊達・アイリス・デイジー】


「大和には軍楽隊も乗艦しておられるのですか!?」

「はい。元の世界では戦況が厳しくなって出番は無くなってしまいましたが、楽器とかは倉庫に積まれたままです」

「では、ステージイベントで演奏会とかしませんか?」

「なるほど…演奏会ですか。いいかもしれませんね。元の世界ではクラシック音楽というものがあって、様々な名曲があります。文化を知ってもらうには音楽は良い手段と思います。山本大佐に相談してみましょう」

「お願いします。そうであれば、イヴァレーア市民楽団にも声をかけてみようかしら」

「いいですね。私は市内の学校関係で参加希望を募ってみます」


【佐々木他艦隊選抜・市役所&商工会議所メンバー】


「佐々木少尉、伊達中尉達はステージイベントがどうのとか言ってますね」

「なら大演芸大会の開催、これしかないッ!」

「わあ、面白そう! 具体的には何を?」


 商工会議所No.1の美人職員カリンがパチパチと拍手しながら佐々木少尉を褒める。佐々木はキリっと真顔を作るとニヒルな笑みを浮かべて喜びを現した。


「カリンさんに笑顔で言っていただけると嬉しいです! そうですね…我々にこんな無茶振りをした艦隊の幹部連中にかくし芸をしてもらいましょう!」

「あははっ、楽しそう。でも、大丈夫なの? 引き受けてもらえるかしら」

「大丈夫、大丈夫。面倒な交渉事は伊達中尉に押し付けますから。怒られるのは中尉ですし、中尉なら何とかするでしょう!」

「自分で交渉するわけじゃないのね…。でも、それなら私達の方でも市民の皆さんに参加を募ろうかしら」

「いいっすね!」


 その後もワイワイとアイデアが出てきた。中にはイヴァレーア美少女コンテストというキワモノもあったが(却下)、空母艦載機による編隊展示飛行や大和の乗船体験など、市民に艦隊を知ってもらうイベントのほか、市側からフリーマーケットや小中高校生による音楽パレード、花火打ち上げ等の提案があった。

 さらに、伊達は各艦の烹炊員による屋台を出すのもよいのではと話をした。異世界の料理と聞いて市役所や商工会議所のメンバーは「わっ!」と声を上げた。理由について伊達が説明する。


「元の世界では艦ごとに得意料理が確立され、艦隊ごとに得意料理を競うコンテストがありました。我々の料理を知って味わってもらうのも文化交流になるかと考えた次第です。それに、各艦の烹炊員の励みにもなりましょう」

「ステキな提案です! お祭りと言ったらやはり「食」です。よーし、私の方では商店街にも声をかけてみますね!」(デイジー)

「色々な提案が出ましたね。伊達さん、飲みニュケーション大成功でしたね。絶対に盛り上げましょう!」(アイリス)


 なお、伊達を除く艦隊及び市役所からの男性実行委員メンバーは再三にわたってイヴァレーア美少女コンテストを主張したが女性メンバーに却下され、怒りを買ってしゅんとなってしまった。しかし、懲りない男共は直ぐに復活、日本とトリアイナの女の子の話題で盛り上がる。


 一方、伊達はアイリスとデイジーの両手に花状態で、酔った2人の女性に寄りかかられて困惑しながらも満更でもない表情を浮かべている。伊達と楽しそうに談笑する美人女性にとうとうベアトリーチェの怒りが爆発した。


「もう我慢できない!!」


 変装グッズ(カツラと眼鏡)をかなぐり捨てて懇親会場に乱入し、アイリス、デイジーを伊達から無理やり引きはがし始めた。


「伊達様から離れなさい! 離れろっての!!」

「わああっ!」

「い、痛たっ。あなた、誰ですか!? 痛いから押さないで!」

「は・な・れ・ろ~~っ!」


 ガシャガシャガシャーン!


 突然現れたベアトリーチェが暴れるものだから、テーブル上のお酒が入ったグラスや料理皿が吹っ飛んで床に落ち、割れるわ散乱するわで混乱の極致。伊達はベアトリーチェに押し倒されて床に飛び散った料理塗れになり、アイリスとデイジーは頭から酒をかぶって床に座り込んで何が起こったのか理解できずに呆然としている。当のベアトリーチェは床に大の字になった伊達に覆いかぶさって「がるる」と女性達に威嚇している。


 結局、店が呼んだ警察が事態を収拾するとともに、原因となったベアトリーチェは警察署に連行され(翌日、ディアナ王女とアルゲンティ大将が身元引受人となって釈放された)、店が被った被害は大和の会計から弁償することになって、伊達は主計長からしこたま怒られたのだった。

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