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前編02 弘子②

 昼過ぎ。


 私はタクシーから飛び降りた。


 私の名前は弘子。某国立大学の、物理学研究所に勤めている。


 病院の自動ドアをくぐると、メガネをかけた、若く背の高い青年がロビーでひとり待ち構えていた。

 私を発見すると、犬のように駆け寄ってきた。


「姉ちゃん!姉ちゃん。来てくれてありがとう。仕事中に電話して悪かった。どうしていいかわからなくて……」


 わが弟、信太朗はひどく取り乱している。


「落ち着け信太朗、それで、相手の方は命に別状はないんだな?」


「命?ああ、大丈夫だ、頭を強く打ったらしく、目を覚まさないんだ」


「わかった。でどこで事故ったんだ?」


「事故?えっと……ああ、信号待ちしてたらグラグラ揺れて、すごく光って、そしたら海岸にいて」


「海岸?」


「そう、見たことない海岸。武士が凄く沢山いて戦っていた」


「武士?」


「そう、ひげもじゃの武士と女の子が戦ってたんだ」


「女の子?」


「そう、その子を車に乗せて、また周りが光って、気がついたら信号はまだ赤だった」


「さっぱり要領を得ない。信太朗、お前交通事故を起こしたんじゃないのか?お前が頭を打ったのか?」


「交通事故?違うよ。それに頭を打ったのは女の子のほうで……。姉ちゃん、僕からも聞きたいことがあるぞ。あの車のボタンはいったいなんだ?そのせいでこんな……。」


「ボタン?お前、あの車のボタンを押したのか?」


「うん……押した……」


「使ったら殺すって言ってよな!」


「え……?う……ごめんなさい……」


「まあいい。信太朗、まずはその女の子の病室へ行こう。そして、朝からお前に起こったことを、もう一度落ち着いて説明してくれ」


 信太郎は少し落ち着きを取り戻した。


 私は、信太朗から話を聞きながら、その女の子が眠る病室へ急いだ。


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