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後編05 那須与一①

 その日の昼頃。

 いつものように弓の稽古をしていると、家の小者(こもの)が俺を呼びに来た。


 なんでも俺の古い知り合いとやらが訪ねてきたらしい。名を訪ねても、「会えばわかる」と教えてくれないとか。

 とりあえず会ってみようということで、居間に通してもらった。


 若そうな二人組。

 身なりがよい方はかなりの美形だ。従者っぽいのは背が高く、どことなく愛嬌のある顔をした若い男だ。

 どちらも覚えがない。

 いや、美形の方は、昔どこかで見たことがあるような……。


「お久しぶりです。与一殿。」


「えっと、どなた様でしたっけ。」


「いや、覚えておられないのも無理はない。幼少のみぎり、与一殿に弓術をご指導いただいたきました。平経盛が六子、敦盛です。」


「敦盛……。え!あの若様!?……ですか?」


「はい、懐かしいですね。覚えていますか?」


「ああ、覚えておりますが……。なぜ、わざわざこんなところまで訪ねてこられたのです。」


「それは、こちらの者より説明させていただきます。」


 若い男が前に進み出てきた。


「私は信太朗と申すもの、敦盛様の従者でございます。この度は与一殿の命を助けに参りました。」


「命を助けに?」


「はい、私はこの先の未来のことがわかるのです。与一殿はこのままですと20歳で命をおとします。」


「はあ?いきなり何言ってんだお前!」


「与一殿はこの後大きな戦功をたて、恩賞として那須一帯を含めた領地を賜り、その後出家して4年後にお亡くなりになります。おそらくやまいで。」


「まじかよ。領地なんて欲しくはないが。そんなに早く死ぬのは嫌だな。何とかなんないのかい?」


「お任せください。私は未来から与一殿の命を救う物を持ってきています。与一殿の寿命を延ばして差し上げます。」


「おう、それは心強いな。で、俺はその見返りとして何をしたらいいんだ?」


 俺は若い男に尋ねた。


 俺は昔から、本当の事と嘘を見分けることができる。だから目の前の若様、平敦盛が本当は女であり、男とだと嘘をついていることも、実は昔からわかっていた。


 この男の言っていることは無茶苦茶だが、おそらく本当だ。


 じゃなきゃ平家の公達で、源義経様達と戦っているはずの平家の敦盛が、こんなとこまで来るはずがない。

 俺に何かを依頼しに来たんだ。おそらく弓を使っての仕事だろう。


 俺はこの男の話を詳しく聞いてみる気になった。


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