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はい、あーん

感想、レビュー、ブクマ、評価、ぜひともお願い致します!!

励みになります。


今日も間に合いました!

 ーー昼休み、いつもの中庭でご飯中ーー


 非常に困った。

 マジで困った。

 何が困ったって。

 ……イバラが可愛いすぎるんだよ。


「正彦。 はい。 あーん」


 イバラがメバルの煮付けを俺の前に突き出してくる。(注:正彦はお魚全般が好き)

 

 俺はこういうのが好きじゃない。

 まずマナー的にみっともないから周囲に見られたくない。

 それになんで自分で出来る事なのに、人に食べさせてもらう必要があるんだ。

 マウント取られてるみたいで嫌なんだ。

 いや、リンちゃんにそう思っていつもあげてるわけじゃないよ?

 リンちゃんはかわいいから大体何してもオーケーなだけっていうか、かわいい。

 そんなん、親戚に小っちゃい超絶美少女がいたらかわいがるだろ普通。

 そんな感覚だ。

 でも、俺の場合、可愛いとかそういう要素皆無だからやりたくないんだよな。

 うん、イバラ。

 せっかくだけども、その煮付けはキチンとお弁当にしまってくれ。

 ちゃんと食べるから。

 

「おいしい?」


 小首を傾げながらイバラが聞いてくる。


「まだ食べてないよ。 せっかくイバラが作ってくれたんだ。 じっくり食べたいから置いといて」


「正彦。 おしょうゆ口についてる。 拭いてあげる」


「? 煮付けも食べてないのになんでだろ? 自分で拭くから大丈夫だよ」


「はい。 綺麗になった」


「? なんだ口の周りがいつのまにか綺麗になってるし、 口の中に広がってるけど、 なんだ? 煮付けを黄金比の煮汁で仕上げたような後味がする」


「……アンタ全然気づいてないの? イバラが煮付け食べさせて、口の周り拭いてくれた事に……」


「な!?」


 リンカに言われてようやく気づく。

 俺はイバラに『あーん』されて『口の周りフキフキ』されていた事に。

 

「バカな!? 一体どうやって!?」


「はいはいマサヒコは超バカだよー。 普通に食べさせられて拭いてもらってたじゃん」


 硝子が重箱をつつきながら、子供に言い聞かせるみたいに状況を説明してくる。


「俺が……? ありえない! 食やマナーを冒涜する行為だ!」


「はい。 正彦こっちも食べて?」


 急に口の中に広がる芽キャベツの甘さ。

 砂糖を使わずに野菜のみの甘さが煮汁と合わせられていて俺好みだ。


「? 芽キャベツ? 一体いつの間に俺の口に?」(もぐもぐ)


「ザコ彦……アンタ脳に重大な障害があるんじゃないの……? 普通にイバラに食べさせてもらってるじゃん」


「な!?」(もぐもぐ)


 一体さっきから何が起きてるんだ?

 あ、ありのまま起こった事を話すぜ。

 俺はイバラから煮付けを「あーん」してもらうのを拒否したらいつの間にか食べていた。

 超スピードとかそんなチャチなもんじゃ(以下略)


「マサヒコさっきからめっちゃニコニコであーんしてもらってるの気づいてないの?」


「……」(もぐもぐ)


 うん。

 硝子お前の言う通りだ。

 めっちゃニコニコしてる。

 だってさ……

 この前の遊園地デートが終わってからイバラがめっちゃ可愛いくて仕方ないんだよーーー!


 今までだって最高に綺麗と思ってたのに、そこに可愛さ入っちゃったらもう俺なんかの理性は崩壊しちゃって当然じゃん。

 男の理想を体現したような『高嶺の花(タカネイバラ)』の時点で、なんなら前世から好きだったんじゃね?ぐらいタイプだったのに(注:もちろん正彦は前世からイバラがタイプ)


 今みたいに近所に咲いている野バラくらいな感じの気安さが合わさると、向かう所敵ナシ。

『ほーんと、男ってタンジュン』なんですわ。(あ、これイバラに今やられたら死んじゃうかも)


「この煮付けイバラが作ってくれたのか? すげー美味いよ」


「よかった。 マサヒコに喜んで欲しくてお父様に頼んで三つ星レストランのシェフの方に教わったの」


「金持ちすぎてスケールはよくわかんないけど、 ありがとう」


 ほっと息を撫で下ろして胸に手を置くイバラ。

 絆創膏だらけの指が彼女の努力を示してる。

 こういう、さりげなく気づいて欲しいアピールは実は俺にとってはマイナスポイント高い。

 さりげなくってのは、もうホント気づくか気づかないかってのがポイント高いわけであって、こんなバレバレにされちゃーなんつーの見え透いてるていう感じでさ。

 あーハイハイ頑張ったねーみたいな感じで冷めて見ちゃうんだよなー。


 なんていうのはイバラ以外がやってきた場合だ。

 アイヤー。

 愛情たっぷりすぎてステレオタイプな中国人みたくなっちゃうヨー。

 とりあえず、俺の寿命削ってでもホンロンにケガ治してもらう事を提案してみるが拒否される。

 めっちゃいじらしくて可愛いよー。


「マサヒコずっとニチャニチャ笑ってて大分気持ちわるいねー遊園地二人で行ってから何かあったのかなー?」


「はぁ!? 二人で!? リンカそんなの聞いてない!? やだやだー置いてかないでよー! リンカも行きたかったー!」


「別に隠してはいなかったけど、そういえばリンちゃんには言ってないな」

  

 なぜ自分も誘わなかったとリンカが暴れ始める。


 全然リンカとも遊園地行きたいし、なんならみんなで行くなら大賛成だ。

 このメンバーだったら俺にとってはなんの気兼ねもないからな。(劣情は催すだろうけど)

 リンカがこれ以上駄々をこねる前に予定を合わせてようと提案ようと思った矢先にイバラが静止してくる。


「ショウちゃん。 燐火も聞いて」


「どうしたのー?」


「な、何よ急に改まって! ていうか最近普通にしゃべってない?」


 切れ長の目が真剣な様子で硝子とリンカを捉えている。

 そういえばイバラ普通にしゃべってるな。

 全然気づかなかった。(注:普段より親近感のあるトーンのため。 ちなみにリンカも今気づきました)


「私……正彦に好きって伝えた」


「おおー」


「な!?」


 イバラからの言を受けて、二人とも別々の反応を示す。

 硝子は感嘆の声を漏らし、リンカは理解が追いついていないといった様子だ。


「二人にはちゃんと言いたかったから。 事後報告でごめんね」


 謝罪を口にはしていてもイバラは二人の目を見据えたままだ。

 

「二人は付き合ったのー?」


「つ、付き合う!!? はわ! はわわわ!」


 硝子の問いを受けて、リンちゃんは興奮の余りキツネの尻尾がスカートから飛びでて震えている。

 その反応にイバラは首を振って返す。


「正彦は私と同じくらいやっぱり二人が大事みたい。 答えはもらえていないわ」


 少しだけ目を伏せてはいても、その目には諦めを感じさせない光のようなものを感じる。


 リンちゃんがはわはわと震えている中で、硝子は真っ向からイバラに言葉を返す。


「そっか。 いっちゃん。 りんちゃん。 言うのが遅くなってごめん! 私もマサヒコのいちばんを目指す事にしたから!」


「ショウちゃん……」


「はわわ! しょ、ショウ子まで! はわ!はわわわわ!」


 イバラだけでなく、硝子の宣言を受けてオーバーヒートを起こしてしまったのか、リンちゃんは「ボンっ」と煙をあげるとキツネの姿になって俺の膝の上に乗ってきた。


「はわわわわ! ま、マサ! イバラもショウ子もはわわわわだわ!」


 正直、ド修羅場な展開になっていると思うが、とりあえずリンちゃんがかわいいからモフモフした。


 ーー放課後、屋上に続く階段にてーー


 イク男に呼び出されて、屋上を目指す。

 昼休みの事もあるので、また喧嘩になるんじゃないかと憂鬱な気持ちになりながら階段を登る。


 正直、最近イバラが可愛いすぎて目を合わせるだけで平静を保てない(元々である事に気づけません)

 一体今までどうやって普通に会話してだんだっけ?(劣情を催しながらがんばって会話してました)


 硝子は硝子であのタイミングで切り出してくるわで意味わからんし。

 ただの負けず嫌いってわけじゃないのかな?

 あーでも硝子ならありえるかぁ?

 

 リンカはきっとびっくりしちゃったよなぁ。

 あの後、しばらくキツネから戻れなくなってたもんなぁ(かわよ)

 というかリンちゃんだって今まで色々耐えてたはずなんだよなぁ。


(はぁ……喧嘩になってもいいから、相談に乗ってくれないかなイク男)


(でも、あいつのパンチ痛いし、とりあえず殺られる前に殺っとくか(?))


 相談しようとする相手に対して、胸中では如何に空中殺法を決めるかイメトレしている。

 なにせ相手はイク男だ、こちらも命を刈り取るくらいの覚悟で臨まねばなるまい(?)

 殴られると顔が二倍くらいに腫れ上がるし。

 まぁ寿命が縮むけどホンロンが治してくれるだろ。


 色々悩みは尽きないが屋上のドアを開けて待っていたのはイク男と副会長だった。

 イク男はフェンス柵の前で立ってるけど、副会長はベンチに座って足をパタパタとさせてるからスカートの中身が見える。

 紫だ。

 本人に興味はなくとも男の性なのか見えるもんはつい見てしまう。


「角田くんは相変わらず恥じらいがないねぇ。 そんなに堂々と見る子は少ないよぉ?」


「……堂々と見せる方も少ないと思いますよ。 俺だって訴えられたら嫌だからアンタのじゃなかったら見ない」(注:正彦は欲望に素直なだけなんです。普通は誰のも見ちゃダメです)


「あはは。 理屈はわかんないけど私だったら角田くんを訴えないっていうくらいには信頼あるんだぁ?」


「……俺はアンタのオモチャみたいだからな(ん? じゃ訴えた方がこの人面白がるんじゃ)」


「ふぅん。 まぁ、 そうかもねぇ」


 相変わらず人を食ったように笑う人だ。

 どうにも、VRではいいが実際にギャルに絡まれるというのはそこそこ疲れるものらしい。

 

 知らない人がいる以上、胸の内を明かす場を失ったと口惜しく思っているとイク男が両手を合わせて懇願してくる。

 

「正彦くん! 頼む俺とデートしてくれ!」


 イク男からの突然のデートの誘い。

 TSアリならオーケーと俺は心中では即答していた。

イク男の真意とは!?


今日は途中本当に間に合わないと思いましたー。

毎日更新を年単位で続けられてる方ってすごいと思います。


次回更新もtwwiterで配信いたしますので良ければフォローお願いします。

https://twitter.com/kazuyurichihi


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