愛深き故に 〜ハードゲ◯への目覚め?〜
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正彦の義妹目線ですね。
ーー佐藤真琴目線ーー
「あいつほんっと信じらんない!」
あれだけ釘を刺したのに、帰ってきた時のお母さんはボロボロ泣いてて見てられなかった。
パパがなだめてたけど全然効果なし。
当たり前だ、息子に心を開いてもらえない事を悲しまない親がどこにいるんだろう。
ましてや幼馴染の両親の方には心を開いてるというのだから、お母さんはどれだけ悔しさと恥ずかしい気持ちを味合わされたのかと思うと腹わたが煮えくりかえりそう。
どれだけあいつがクズでもお母さんにとっては大切な息子
だから一言、いいえ、一億言ぐらい文句が言いたくて事件のあった次の休日を利用してわざわざあいつの家まで来ている。
本当は無限ロケットランチャーかシカゴタイプライターくらいはブチこんでやりたいけど、ここはあくまでお母さんの家。
素直に呼び鈴を鳴らす。(真琴は最近R◯:4にハマってます)
呼び鈴を鳴らすと出てきたのは金髪でタンクトップでワイルドな印象の割に、流し目が涼やかなイケメンが現れた。
「あ、 あれ? すみません。 佐藤正彦の家ですよね……?」
「? ここは角田正彦くんの家ですよ? 俺はただの留守番です」
そうだった。
あのバカ自分の苗字すらちゃんと言えないんだった。
「いえ……でしたらここで合ってます。 わたしはあいつの義妹です。 ホントに自分の事、角田なんて名乗ってるんですね……どのくらいで戻りそうですか?」
「妹? うーん。 リンカちゃんのお婆さんに絡まれてるらしいけど時間にうるさい正彦くんは夕飯時には帰ってくると思いますよ。 中で待って行かれます?」
「あ……いえ……お構いなく……」
補助なしで家の中に入るのは一苦労だし、初めての人の前で這いずる所なんかも見られたくない。
とりあえず、どこかで時間を潰そうかと考えて車椅子を引き返そうするとイケメンに止められる。
「妹さんならここでは俺の方が部外者だ。 ぜひ上がって待っててよ」
「いえ……わたしその……補助がないと家に入るのも……」
元々玄関先で一億言文句を言ってやったら帰るつもりだったから完全に想定外。
最悪の場合、硝子ちゃんに助けを求めれば大丈夫かと思ってたし。(硝子とは結構会ってる。正彦は嫌いだけど硝子は好き)
わたしが言葉を探していると、イケメンが私を抱きかかえる。
「ひゃ……!?」
「悪いね。 突然俺なんかがいたから緊張させちゃったよな? 上がってジャンボフランクでも食べていきなよ」
「?……ひゃ、ひゃい」
そう言ってイケメンはわたしをお姫様だっこ状態でリビングのソファまで運んでくれる。
ちなみにわたしはお姫様だっこを軽々とやってくれるような人がタイプだ。
重っ! みたいな感じでやられたら減点一億。
今回のは……プラス一億ね……
ーーリビングにてーー
「何か飲み物飲むかい? コーヒーかお茶ならあるよ?」
「いえ……飲み物はあまり……」
飲み物を飲むと当たり前だけど排出も早くなる。
どうしても仰々しくトイレに向かわなきゃ行けなくなるのは初めての人には見られたくない。
ましてこんなイケメンには……
「そうかい? でも正彦くんにこんなかわいい妹がいたなんてまるで知らなかったな」
「ひゃい!? か、かわいいですか!?」
イケメンはスマートに社交辞令を実践してくる。
相当モテるだろうな。
その後の会話も気遣いが行き届いてて、わたしも変に緊張し過ぎる事はなかった。
「うん。 正彦くんとは全然似なくてよかったね」
「あ、 そっか。 血は繋がってないんです。 再婚相手の連れ子同士なだけで」
「正彦くんの親は再婚されてたのか。 お母さんと?」
「あいつにとってはお母さん、わたしのパパが、ですね。 あ、 ごめんなさい。 わたし佐藤真琴です。 今年中学三年なので認めたくないけどあいつの義妹です」
「あぁごめん。 俺こそ誰って感じだよな。 俺は渡辺郁男 イク男でいいよ。 正彦くんの親友だ」
親友と名乗るイケメンだけど、あいつの苗字すら知らない。
なのにこうして留守番を任せられる間柄って不思議な関係ね。
「……真琴ちゃんが佐藤って事は正彦くんって苗字が本当は角田じゃないのか?」
さりげない『ちゃん』呼びの破壊力に身悶えながら、それは出さずに返答してみる。
「戸籍は佐藤ですよ。 わたしのパパの苗字ですから、 あいつ苗字すらだましてイク男さんと親友なんですか?」
苗字すら偽って生活している、あいつに対して「……すごいな」と感嘆詞のようなものを漏らしながらイク男さんが答えてくれる。
「正彦くん自分の事を話すのあんまり好きじゃないからね。 苗字もきっとだます気があってとかじゃないと思うな」
「でも、 再婚した事とか家族構成やわたしの事も周囲に話してないって事ですよね? お母さんの事とかも……ずっと避けてて、 初めからいないかのように振るまってるなんて異常ですよ」
「話さないからっていない人のように扱ってるわけじゃないんだと思うよ。 正彦くん周囲から勘違いされやすくて浮いちゃってるしね」
「やっぱり! あいつ異常ですもん! あんな奴でも寄りそおうとして傷つくお母さんが可哀想!」
わたし自身の考えや判断に疑いの余地がなくなったと確信に思えて声を荒げてしまう。
親友と名乗るイク男さんが言うなら間違いない。
周囲からもその異常性で浮いちゃうような奴のためにお母さんが必死になってあげる必要なんてないのに。
そんなわたしに対して苦笑いを浮かべながらイク男さんが答えてくれる。
「正彦くんはホントにわかりづらい所があるよね」
「そうです!」
ほら見たことか。
親友ですらあいつそんな風に思われてんのよ。
「支離滅裂してるし、思いこんだら中々信念を曲げないし、っていうか曲げたとこ見たことないし、そのくせ表だって主張してこないからわかりづらいし」
「そうです! この前だってお母さんにずっと無言だったらしいですよ! 酷すぎます!」
信じらんない。
なんでそんな酷い事できるのかしら。
「やきもきさせられて、見ていられなくて、めちゃくちゃ喧嘩しちゃった事もあるしね」
「ええ!? きっとあいつが悪いんですよ! イク男さんが可哀想!」
ちょっと媚びてる感じになっちゃったかな?
でもきっとあいつがおかしいに決まってる。
あいつを悪者にしたい一心で自分でも凝り固まった考え方してしまってる事はわかってる。
それでもお母さんを傷つけたあいつを許したくないから同調してるフリして自分の意見をイク男さんに押し付ける。
イク男さんはそんな私の心情を察してるかのように優しい笑顔を浮かべて「でもね」と、返してくれる。
「俺はあんなに素直に愛せる人を見たことがない」
「……え?」
素直?
その異常性でお母さんをあれだけ傷つけておいて?
「正彦くんはね、一度好きになると脇目も振らないでその人達に全力なんだ」
「三人もいる幼馴染に夢中なんでしょ? この家だって硝子ちゃん達と絶対に離れたくないってわがまま言って……」
「すごいよね。 俺だったら親の再婚に巻き込まれたらとっくに側にいるのを諦めてると思う」
「……そんなの……」
わがままなだけ、と言いたいけど言葉が詰まる。
そこまでの強い意志を持って親の再婚に抵抗を自分ができるかわからなかったから。
「あれだけ執念深く人を愛する正彦くんが幼馴染ちゃんたちとどういう結論を出していくのか、俺はそれが知りたいんだ」
口元をやや緩ませながら語るイク男さん。
執念深い、という憎まれ口のようなものを叩いていても、あいつに対して静かな敬意を感じさせる。
「でも……だとしたら愛されなかったお母さんは可哀想……あんなに息子を大事にしようと必死なのに……」
「正彦くんは執念深いからね。 普段寛大な分、一度許せないと思うと簡単に許せないんだろうね」
「やっぱり……異常……ですよ」
愛憎入り混じってなんて、言うくらい愛と憎しみは近い感情だと聞くけど、それを実の母親に向けるなんてどうかしてる。
でも、そこまでの感情で人を愛するってどんなモノなんだろう。
考えたくもないけど、あいつの事を考えてしまう。
表情の固くなっていたわたしに、とつぜん更に固い表情を浮かべたイク男さんが語りかけてくる。
「……ふと、 思ったんだけど真琴ちゃん。 俺と二人でいるのは危険かもしれない」
「え……?」
危険ってどういう?
も、もしかして?
ちょっとワイルドな感じはしたけど突然、わたしに催しちゃったのかしら?
確かにわたし自分で言うのもなんだけど見た目は結構、儚い感じがする美少女なのよね。
神様はわたしに健常を与えてくれなかったけど、その分お釣りが来るくらいには……
いえ、やっぱり、もう少し自由に動ける身体が欲しかったわ。
でもでも、なんかこういうちょっと悪そうな感じなのに薄幸の美少女に優しいみたいなセットってアリよりのアリじゃない?
よし。
イク男さん、どうぞ!(?)
忙しく心が入り乱れる私をよそに間抜けな声が玄関から響く。
「ただいまー」
その声に合わせて出迎えるイク男さん。
そしてわたしの姿をリビングで見つけると突然そいつは声を荒げてきた。
「ま、 真琴!? き、貴様……イク男と二人っきりで一体何を!? イク男は俺のモノだ! 誰にも渡さんぞ!」
ものすごく剣幕に詰め寄ってくる戸籍上の義兄。
「ひっ……変態……!」
言ってる意味はわからないし、イク男さんが後ろで両手を合わせて謝罪のようなポーズを取ってる。
戸籍上の義兄の格好がいわゆるコテコテのゲイみたいな格好。
警察帽みたいなのを被って、上半身裸なのにサスペンダーで乳首だけ隠してレザーのピッチピチのパンツを履いてる。
「変態……? 邪推にも程がある! イク男と俺はもっと清い関係だ!」
「アンタどんだけイク男が好きなのよ……」
一緒に帰ってきた金髪ツインテールの、確かリンカちゃんが呆れたような声を発していても、リンカちゃんもミニスカポリスみたいな格好でかわいいけどどう見ても変態。
「ふ、二人ともなんて格好してんの!? 変態だわ!?」
わたしが二人にドン引きしていても義兄の剣幕は止まらなかった。
前々回に幼馴染へ劣情を催しているのは暴露してしまってますので、硝子の宣言は四人の関係をどう変化させていくのでしょうか。
書きたいシーンは山ほどありますがお付き合い頂ければと思いますー
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