マサヒコのいちばん
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励みになります。
お待たせしてしまいました!
本当にすみません!
今日は休日だ。(小学生作文)
なんか色々あったから一人になりたい時もあるので、家から少し歩いた所に、市が管理している大きな公園がある。(グルっと回ったら3時間くらいはかかるんじゃないかな)
元々目立つこともそんなに好きではない内向的な(正彦は物怖じしないだけで、外交的ではない)俺はこうして緑あふれる場所で読書や動画を見たりなんかするのが好きなんだ。
季節は夏の始まりを感じる陽気、というより暑さを感じるが晴れたいい天気だ。
イバラとリンカが付いて来たがってたが俺が一人の時間を大事にしている事も知ってるので追い払うのはそこまで難しくなかった。(注:そのくせ正彦は生涯一緒にいたがるというわがままな男です)
公園の入り口から舗装された道路を少し歩いて原っぱを目指す。
リュックの中にレジャーシートとお弁当と水筒に入れた豚汁なんかも持って来ている。
とりあえず原っぱについたら木陰にレジャーシートを敷いて寝そべって陽気を楽しんでいた。
あらかた陽気を堪能した後、また少し公園内の舗装された道路を歩けば湖もあるのでその付近で読書でもしようと歩き始める。
湖を目指す途中で、見知った女の子を見つけたが話しかけるのも話しかけられるのも億劫な気がして距離を取ろうと考えたけど、意を決して話しかける。
その女の子が車椅子に乗ってて一人だったからだ。
どうにも動きづらそうに見える。
公園内は舗装されてる道路も多いとはいえ、原っぱなどに入って立ち往生してるシーンを想像すると夢見が悪い。
「よぉ。 久しぶりだな」
話しかけると車椅子の少女は「きゃ」と小さく悲鳴をあげた後に俺を認識するとにらみつけてくる。
「……アンタ一人でこんなところで何してんの?」
「俺は一人が好きなんだ。 それに、 一人なのはお互い様じゃないか?」
性根がぼっちの俺にはリンカの罵倒以外は特に刺さらない。
少女との会話を続ける。
「わたしは一人になりたかったから自分で選択した結果よ」
「俺と何が違うんだよ。 ん? なりたかったてことは、公園内にはもしかして母さんとあの人も一緒にいるのか?」
「……わたしのパパをあの人って呼ぶのやめて」
「なんて呼んでも怒るじゃないか」
「そうね『お父さん』なんて言ったら刺し殺したくなるかも……アンタみたいなキモいやつと義兄妹ってホントにサイアク」
憎々しげに敵意を表す車椅子の少女は母さんの再婚相手の連れ子。
佐藤真琴だ。
みんな気づかなかったろう(?)
俺は実は"佐藤正彦"なんだ。
保険証とかマイナンバーカードにはその苗字で登録されてる。
なのに名乗る時とかは角田姓を名乗るし高校でもそれを通すイタい奴なんだ。
だってサトウなんて甘ったるい名前は角ばってなくて俺には似合わない。
俺は角田なんだ。
「死にたくなったら呼んでみるよ。 それより行きたい場所があるなら手伝うぜ」
「遠慮するわ。 アンタと二人っきりじゃどこに連れ込まれるかわかったもんじゃないもの」
「失礼な事を言うな。 俺のタイプは幼馴染だけだ(あっ言っちゃった)真琴もそこそこ可愛いとはいえ勝敗は既に決している(?)大人しく俺に手伝ってもらえよ。 湖の方にいくのか?」
真琴は清楚な美少女って感じで車椅子もあいまって儚い印象にみえるけど結構毒舌でキツイ性格してる。
まぁあっちの家の人間では一番話せるほうかな。
真琴がどう思ってるかは知らんが。
「母さん……今日家に来る気なのか?」
真琴の車椅子を押しながら確認する。
「アンタそれが怖くてわたしから聞き出そうと手助けするフリしてるんだ。 相変わらずの姑息さね」
「それもあるが、 手伝ってやりたいとも思ったのは本当だよ」
「そういうのが一番腹立つ。 自分がたまたま車椅子を必要としない人間だっただけのくせに上から目線でさ」
「まぁ真琴ならそういう風に言う気はしてたけど、別にしたいからしてるだけさ。 久しぶりに会った義兄の善意は素直に受け入れるんだな」
「やめて……アンタが義兄とかいう記憶はいつも考えないようにして抹消してるんだから。 義兄妹扱いしないなら、 押させてあげるくらいはしてもいいわ」
透き通るような白い頬を膨らませながらも、一応俺の善意を受ける気になったらしい。
湖についた後、俺はベンチに座りながら真琴の隣でスマホをいじる。
硝子と連絡をしたかったからだ。
『今日の夜はおじさん達と俺の家でご飯食べてほしい』って。
「アンタ、お母さんといい加減向き合いなさいよ。 こんな奴が息子ってだけでも可哀想なのに、あからさまに避けられてて見ていてイライラするのよ」
「俺みたいなやつが母さんの息子だった事が可哀想なのは同意するよ。 だけど別に避けたいわけじゃない」
「だったら少しは自分から連絡を取るなりしたら? こうやって突然行かないと適当な理由つけて家にこさせないようにするじゃない」
「連絡ならとってる」
「業務日報ね、あんなの。 普通に傷つくわよ。 息子からあんな他人行儀な文章だけ送られてきたら」
真琴が言ってるのは金曜に週次でその週あった出来事をメッセージ送ってる内容の事だろう。
当週なにがあったのか、勉強の進捗や家の状況とか(トイレのドアをリンカが壊したことは正彦のせいにしてます)
「なにが気に入らないのよ? アンタが幼馴染と離れたくないっていうからわざわざあの家も残して、 そのためにお母さんだって看護師として働いて立派だわ。 アンタのわがままにそこまで寛大に接してくれてるんだから少しは歩み寄りなさいよ」
「感謝してるし、 別に避けたいわけじゃないっていってるだろ。 それより今日は? 真琴達も家にくるのか?」
「私とパパは二人でご飯を食べるわ。 行くのはお母さんだけ、 だからたまの休みくらい二人っきりの時間つくってあげたくて、わたしは今アンタなんかと一緒にいるってわけ」
「そうか……」
真琴からの回答を受けて俺の気持ちは固まる。
やっぱり今日は硝子とおじさん達にも来てもらおう。
おじさんはすき焼きとか好きだし、イク男にもらったお肉もあるから丁度呼びたかったんだ。
「アンタ気づいてる? お母さんだけが来るって言われて眉間にすごいしわ寄せてるの。 ホンっトにアンタって最低だわ。 お母さんにそんな顔絶対に向けないでよね」
再婚相手の連れ子である真琴と母さんの関係は良好だ。
真琴も母として受け入れている。
だから俺の態度が気に食わないのはしょうがないだろうな。
センキュー義妹よ。
ちゃんと母さんとは笑顔で接すると約束するよ。
決心さだまった時に、真琴とは別の女性の声から話しかけられる。
「正彦? 真琴と一緒だったのね。 丁度よかったわ。 今日はお母さんと晩御飯いっしょにたべましょう?」
公園内を二人でうろついていたのだろう。
再婚相手の俺の義理の父と一緒の母さんに話しかけられる。
笑顔で受け入れる覚悟はとうに決めている。
声のした方向に振り返って俺は答える。
「……うん。 いいね。 たべよう」
めっちゃ笑顔で答えてやった。
真琴がにらんでる気はするが。
ーー正彦の家、夕飯時、硝子視点ーー
「い、いやー正彦くんの料理はおいしいから、ついついご相伴しちゃうんですよ。 せっかくの家族水入らずの日にすみませんねー」
「そ、そうそう、私たちすき焼きの匂いにつられるといつの間にか他人の家でも侵入しちゃうのよねー」
お母さん、さすがにそれはマサヒコ以外にやったら警察沙汰でしょうが。
お父さんとお母さんが白々しい笑顔を顔に貼り付けて、おばさん(マサヒコのお母さん)にしゃべりかける。
いくらなんでも毎回のご相伴は無理がある。
それを感じてるから脇汗びっしょりとしながらも精一杯二人とも無礼講ムーブをかましてるんだと思う。
「おじさん。 すき焼きなんて誰がつくっても変わんないよ。 イク男からもらった肉がうまいんだ」
「いやいや、 お肉もおいしいけど正彦くんの鍋の下味がしっかりしてるからもあるんだって。 ねぇ佐藤さん?」
無理やり話題をふってもおばさんだって「そうですね」って返すだけだ。
はっきり言って空気は凍り付いていて最悪。
おばさんはもくもくとすき焼きを食べてるし。
声だけは発するけど、マサヒコは台所にはいって中々食卓につかない。
お父さんとお母さんはだらだらと額に脂汗をかきながら、大して強くもないのにビールを流し込んで、なんとか常識人の枷を外そうとしている。
緊張しすぎて二人ともビールが口からそのまま流れ落ちてることにまるで気づいていない。
「あれ? 酒強くなったかな、今日は酔わないな」じゃないよ。 可愛いかよ。(注:後で正彦がきちんと掃除します。)
「正彦いい加減、座りなさい。 久しぶりにお母さんに顔くらいみせなさい」
「そ、そうだよ正彦くん。 僕には遠く及ばないけど正彦くんだって最近かっこよくなったんだ。 佐藤さんに見せてあげるべきだよ」
……お父さん。
がんばって無礼講演じようとしてるみたいだけど普通に無礼だからねそれ(注:硝子のお父さんはかなりイケメン。若いころ超モテた)
言われた本人の親だって気を悪くするよ。
まぁ、お父さんの台詞に気を悪くした様子はマサヒコにはない。
私の隣にマサヒコが座る。(来客用にテーブルを重ねて広くしてます)
マサヒコ、今はおばさんの隣に座ってあげるべきだよ。
「……相変わらず硝子ちゃんが大好きなのね。 二人は付き合ってるの?」
「まさかー。 もうここまでくると家族みたいにしか思えませんよー」
誘惑はしてるけど、これは本音だ。
私がにべもなく答えると、マサヒコから安堵したような残念がるような不思議な空気感を感じる。
「正彦。 ちゃんとご飯食べてる?」
「……」
もくもくと今度はすき焼きを食べ始めたので私が代わりに答える。
「マサヒコは神経質で決まった時間に食べないと気が済まないから大丈夫ですよー」
その割には私との買い食いとかには付き合ってくれる。
というか、基本的に私たち幼馴染の提案を最大限かなえようとしてくれる。
「ねぇ、 久しぶりに会ったんだから少しは話したいわ。 質問にくらい答えてよ」
「……」
箸を置いて、何か言いたそうだけどマサヒコはだまったまま。
煮え切らない態度のマサヒコに業を煮やしたのかおばさんが質問を続ける。
「学校はどう? 勉強はちゃんとやってるっていうけど大丈夫? 硝子ちゃん達以外にも友達はできたの? イク男くんって誰? いつも綺麗だけど家の掃除とか大変じゃない? なんでトイレのドア壊しちゃったの? ストレス溜まってるの? 本当は嫌なことあったの? ねぇ正彦……」
おばさんの唇はひきつり、声が震えている。
「どうして……お母さんがいるとそんなに辛そうな顔をするの……?」
眉間にすっごいしわを寄せて、視線が定まらないマサヒコ。
それでも何かを言いたそうに口を開くけど言葉は出てこない。
「ま、 まぁまぁ! いっぺんに質問があったからびっくりしちゃっただけだよな正彦くん! イク男くんっていうのは最近できた友達で正彦くんとすごく仲がいいんです。 佐藤さん。 正彦くんはちゃんと元気にやってると思いますよ!」
だらだらと汗を流しながら、なんとか仲裁に入ろうとするお父さん。
ドバチーン!と音がしそうなウインクをマサヒコにしてる。
『正彦くん。 ここは僕に任せろ』みたいな感じで
これ、たぶん逆効果だ。
「正彦……早生さんには話すのに……お母さんと話すのはそんなに嫌なの?」
あっちゃー。
それはそう捉えられるよ。
完全に「僕の方が知ってますよ」マウントとってたもん。
いやお父さん。
そんな世界の終わりみたいな顔してもだめだって。 可愛くないよ。
「正彦は昔からいつもそう。 幼稚園の送り迎えもしたし、お弁当だってキャラ弁勉強して作ったし、熱がでたら病院に連れて行って、毎晩寝かしつけても……」
おばさんはマサヒコを見てるようで視線が泳いでる。
「生徒手帳見たわ。"角田"って何? お父さんの苗字はもう使えないのよ? 私の事そんなに嫌い……? 私はお父さんや硝子ちゃん達みたいになれないの……?」
「……」
心を打ち砕かれたような悲しみがありありと伝わってくる。
それでもマサヒコは何も言わない。
小学生の頃の事なのに、本当に執念深い男だ。
せめて少しは言い返したりしてくれれば、この後おばさんだって言いたくないこと言わずにすんだかもしれない。
「……ずっとお母さんのこと許せないのね。 小学生の頃の事を執念深く……正彦がもっと普通の子だったらお父さんとお母さん離婚せずにすんだかもね……」
この場に私たちの家族がいなかったら、おばさんがここまで言ってしまうことがあったんだろうか。
ここまで拗れてしまったんだろうか。
「佐藤さん! そんな小学生の頃のことを! いや! そもそもそんな事、 正彦くんになんの関係もなくてあなたたち夫婦の問題だったんじゃないんですか!?」
お父さんだって、自分たちがいなければおばさんがここまで自暴自棄な発言しなかったかもしれない可能性は感じてると思う。
それでも激昂してしまう自分を抑えれないといった様子だ。
「正彦くんはまだ子供ですよ! 母親からそんな事いわれて傷つかないと思ってるんですか!?」
「あなた……やめて」
お母さんが制止してるのにお父さんは続ける。
「僕ら夫妻を頼ってしまうほど正彦くんはあなたに会うのが怖いんだ。 他に頼れる大人がいないから……そうさせたのは!」
「やめなさい!」
お母さんが声を張り上げてお父さんを制止する。
お父さんだって決して言いたいことじゃなかっただろうから踏みとどまらせたお母さんに感謝した方がいいと思う。
まぁ日頃からお母さんに感謝してるけど、今日のはさらにグッジョブだね。
「すみません、佐藤さん。 あなたたち家族の問題に立ち入ってしまって。 それでも小さな頃から見てきてるとやっぱり私たちも正彦くんが可愛いくて出過ぎた真似をしてしまいました」
「こちらこそお見苦しいところを見せてすみません……私は早生さん達が羨ましい」
「……はい」
お母さん。
よく我慢したね。
絶対に言いたかったよね。
『羨ましいのはこっちの方』って。
ごめんね、お母さん。
普通に生まれてこれなくて……
その後お開きになって、おばさんは再婚された相手の家に帰っていった。
マサヒコもがんばって会話しようとしても言葉は結局でない感じだった。
ーー硝子視点ーー
「なんで母親からあんな事言われなくちゃならないんだろうな!」
「あなた……お酒強くないんだからもう飲むのやめなさい」
家に戻ってからもお父さんはお酒を飲み続けてる。
そんなに本数は飲んでないけど顔はもう真っ赤だ。
「だって……ちょっとエッチなだけであんなにいい子なのに。 ショウちゃんやイバラちゃん、リンカちゃんが大好きなだけの普通の子じゃないか! あんまりだよ! あんなの!」
「はいはい。 だからって佐藤さんだって本気であんな事いったわけじゃないんだから、あなたがあそこで怒ったって余計こじれるだけでしょうが」
本当にお母さんの言う通り。
お父さんには酔いが冷めたら罰として私のデニムを買ってもらおう(?)
大丈夫、お父さんが大好きな正彦を誘惑するためにつかうから(?)(?)
ダメージジーンズでお尻の部分が見てるのってえっちぃと思うんだよねー
さて、まぁ今日くらいはさすがに誘惑せずに普通に接してやるか。
酔ってるお父さんは放っておいて、私は隣の家にいるマサヒコの家ていうか部屋に勝手に入る。
「よっ! また掃除中?」
「ノックくらいしろよ」
神経質そうな顔でカーペットにコロコロを回してホコリをとってるマサヒコが返答する
「いや、 さすがに今日くらいはそんな気分にもならないだろうと思って」
「(ドっキーン!)いやいや、何のことだよ。 仏陀の再来または釈迦の再来とまで言われる俺にはまったくなんのことかわからないな」
「どっちも同一人物だしお釈迦様だって高校生の頃は催すこともあったんじゃないかな?」
「国によっては大問題になりそうな事をサラッというなよ」
「だからお釈迦様の話をし始めたのはマサヒコの方だよ」
「はぁ……で? まだ話すことあるのか?」
コロコロを回しながら面倒そうに答えてるけど、私は知ってる。
マサヒコの頭の中は今いろんな罵詈雑言だらけで自己嫌悪の真っ最中。
落ち着きたくてわざと手間のかかる掃除方法を選んでるだけだってことが。
「マサヒコ。 手を止めなさい」
「コロコロの?」
「そう。 コロコロの。 そしてその椅子にかけて私の話をききなさい」
正彦の部屋にあるパソコンの前に配置されたゲーミングチェアへマサヒコを誘導。
私はマサヒコのベッドに横たわりながら話はじめる。
「硝子。 コロコロの手を止めてまで聞かなきゃならない話のわりにはお前の態勢リラックスしすぎじゃないか?」
「十分部屋は綺麗だから大丈夫だよー。 それにマサヒコには私の話はショートケーキと生搾りオレンジジュースを用意しながら正座して聞く義務があるのを忘れちゃった?」
「一度も聞いたこともないが、硝子がそうしろと言うならそうするが」
本当に今からでも用意してくれそうなので一旦スルーして話を続ける。
「祐実ちゃん覚えてる? 彼氏ができたらしくてマウントがすごいんだよね」
「新体操の子か?(正彦は幼馴染の交友関係とかはきちんと覚えてます) やっぱそういうのってあるんだな」
「そうそう。 『硝子ちゃんは作んないの? あ、硝子ちゃんは新体操が恋人だっけ』みたいな。 いや、そんなわけないじゃんね」
「えーそんな台詞ってどういうつもりで言うんだろうな。 友達なんだろ?」
「そうだよー。 なんか悪びれもなく言ってくるから私が勝手に変な捉え方しちゃってんのかな? 私の性格が悪いのかな? とか考えちゃう」
「いやいや、 硝子の性格が悪かったら、この世界の大半が悪い奴だと思うぞ(負けず嫌いだし、急に卑怯な時あるけど)」
「でね、 祐実ちゃんこれが一回ならまだしももう20回くらい目なんだよー。 さすがに勘ぐるよね」
「へー女子の世界は大変だなー」
相変わらずマサヒコはこの手の話題を振っても嫌な顔一つせずに私の愚痴を聞いてくれる。
かかったね。
マサヒコ。
ーー20分後ーー
「へー人ってそんな意味のない嘘つくんだな」
「そういうもんだよ」
「そういうもんか」
取り留めのない話だ。
祐実ちゃんがマウントとるために彼氏自慢してたら後に引けなくなって、彼氏はいつの間にかボクサーでサッカー部のエースで全国模試10位県内らしい。
さすがに生暖かい目で見ていつづけるのも可哀想だからすこしずつ矛盾を正してあげたいとは思う。
さ、場は暖まった。
そろそろ本題にはいってあげますか。
「だから、おばさんも全部が全部本心で言ったんじゃないと思うよ」
「そうかー? !!……?」
やっぱりかかったね。
おばさんの話題振られると思ってなくて、とりあえず共感してみたら脳が混乱したんでしょう?
「マサヒコ。 おばさんの事好き?」
今日ずっとマサヒコがおばさんに伝えたかったであろう事を質問してみる。
少しだけ黙ってたけど、マサヒコだって人間。
吐き出したい時はあるよね。
「……うん……」
マサヒコはめんどくさい性格だから自分の話を吐き出させたい時はまず関係ない話をして場をあっためなきゃいけない。
初手で聞くと意固地になって絶対に愚痴いわないモードになっちゃうからね。
「マサヒコは一度好きになった人の事、絶対に嫌いにならないもんねー」
「……うん……」
うつむきながら返答するマサヒコ。
知ってる。
今おばさんの大好きだった部分がいっぱいよぎってるんだよね。
「今日は……悪かったな」
ぼそっと呟くような謝罪。
別にいらんけど。
「お父さんも、お母さんもマサヒコに頼られるのは嬉しいんだよ。 だからお父さん張り切っちゃって失敗しちゃったんだね」
「二人っきりで会うのが怖いんだ。 母さんにこれ以上嫌われるのが……そう思うと何を話していいかわからなくなって。 それで母さんを余計に不安にさせて負のスパイラルだよ……」
「嫌なスパイラルだねー」
ベッドに寝そべりながら答える。
でもちゃんと聞いてるよ。
「なぁ……硝子……お前俺に何か隠してるだろ?」
おっと反撃だ。
こっちもいきなり攻勢に入ったからね。
マサヒコ的にも一矢むくいたくなっちゃったか。
「そうだね。 隠してる」
「俺には言えないのか?」
「マサヒコだから言いたくない」
これは本当。
どうなってもマサヒコは悲しむもん。
「……そうか」
肩を落として消え入りそうな様子のマサヒコ。
私の事が大好きすぎるからずっと一緒にいたいんだもんね。
だから聞いてみる。
「ねぇマサヒコ。 マサヒコにとって私がいちばん?」
「そりゃそうだよ」
食い気味の返答。
悪い気はしない。
じゃあ次は意地の悪い質問。
「いっちゃんとりんちゃんは何番?」
「それは……いちばん……だよ」
うん。
知ってる。
でも三等分の一番はいらないかな。
「決めた!」
ベッドから飛び起きてマサヒコの目の前に顔を突き出す。
「わ! びっくりした! なに突然!」
「18歳になるまでにマサヒコの本当のいちばんになったら、私マサヒコのそばからいなくなる!」
人差し指を突き出して宣言する。
「はぁ何それ!?」
困惑してるようだけどもう決めたから。
これからも誘惑していくから覚悟してねマサヒコ。
ランキング別日間入ったタイミングでどうしても忙しくて更新遅れてしまいました。
本当にすみませんでした。
硝子の意図とは?
これからもぜひご覧ください!
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