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医者はどこだ?

 その町で一番の大金持ちの男は、焦っていた。


「医者だ! どんな重症患者でも絶対に助けられるという医者だ!」


 彼は野獣のような風貌で、まるで雄叫びを上げるかのように怒鳴り散らしていた。


「只今国中を探しております。もうしばらくお待ち下さい」


 執事が丁重に頭を下げて答えた。しかし男は納まらない。


「国中だと? ダメだ! ダメだ! ダメだ! 世界中を探せ! 何としても見つけ出すんだ!」


「はい」


 執事や他の使用人達は、男の剣幕に圧倒され、言われるがままだった。




 彼は金を惜しまず使い、世界中に人を送り、医者を探させた。


 何百人という人間が動き、使われた金は数十億に達した。


 周囲の人々は、彼の精神が破綻したのではないかと心配したほどだ。



 

 そして一週間後、捜索チームは、絶対にどんな瀕死の重傷患者でも助けられるという医者を見つけ出した。


 男はすぐにその医者を自分の屋敷に呼び寄せた。


「患者はどこです?」


 紳士然としたその若い医者は穏やかな口調で尋ねた。


「死んだよ」


 男は何でもないことのような調子で応じた。


「死んだ? 間に合わなかったのですか?」


 医者の言葉に男は激怒したようだ。彼は医者を睨みつけた。


「死んだよ。一ヶ月前、旅行先で事故に遭い、絶対助けると言った貴様の手術を受けてな! だから今日、貴様にその後を追ってもらうのさ!」

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