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どうしても知りたい

 朝から妙だ。


 私はごく一般的なサラリーマン。


 のつもりだ。


 しかし、今日はどうも様子がおかしい。


 本社勤務になったため、実家に妻と子供を残しての単身赴任の生活を始めて半年。


 それなりに今の環境にも慣れ、職場でも意思疎通がしっかりと出来て来た。


 だが。


 今日は違う。


 具体的に何という事は出来ないが、会社の人間ばかりでなく、通勤途中に出会う人達までが、私を見てクスクス笑っているのだ。


 鼻毛でも出ているのだろうかと駅のトイレの鏡で顔を見たが、鼻毛は出ていない。


 服装もいつもと同じ。


 ワイシャツが飛び出していたり、靴下がチグハグな訳でもない。


 第一、私を見ている人達は、身体ではなく、顔を見て笑っているのだ。


 いくら鏡で見ても、何もわからない。


 社内はともかく、通勤途中の人までが私を引っ掛けようとするとは考えられない。


 どうしても理由が知りたい私は、同じ課の部下に尋ねてみた。


「私の顔、何か変かな?」


「えっ、課長、ご存じでなかったのですか?」


 部下は私の質問にビックリした顔で言った。


「どういう意味だ? そんなにわかり易い事なのか?」


「はい。もしかして課長、私をからかっているのですか? 本当はご存じなのでしょう?」


 部下は苦笑いした。私は大真面目に、


「全く何の事かわからんのだ。教えてくれないか」


「本当ですか?」


 部下はそれでも疑いの眼差しで私を見ている。


「本当だ。私は人をからかう趣味はない。何がおかしいのだ?」


 部下はようやく私が本当に何も知らない事を信じてくれた。


「課長は新聞をお読みではないのですか?」


「新聞? ああ、いつも社に来てから全紙目を通しているが」


 部下はやっと合点がいったという顔をして、


「そうでしたか。ではそこに答えがありますので、ご覧下さい」


「新聞に答え?」


 私は部下が私をからかっているのだと思った。


 しかし、新聞に重要な事が掲載されていて、それを知らないがために何か致命的なミスを仕出かしているのかも知れない。


 考えにくい事だが、通勤途中の人達まで私を見て笑っていたのだから、そうなのかも知れないと思い、私は私の机の上に届けられている朝刊を見た。


「テレビ欄の下です。そこに出てますよ」


 部下が教えてくれた。


 私は言われるがままにテレビ欄の下を見た。そして凍りついた。


 何故かそこには私の顔写真が大きく掲載されており、


「私はこの男と離婚します。この男を見かけたら、笑ってやって下さい」


という妻のコメントが載っていた。

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