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当選確実

 選挙期間二週間。


 全力で戦い抜いた。足が棒になるまで歩いた。


 多くの有権者達に声をかけ、握手して回った。


 厳しい戦いだった。土砂降りどころか、集中豪雨のような状態。


 逆風が吹きつける中、休む事なく走り抜けた。


 当選確実が見えて来た。もう一息か?


 しかしまだ気を緩めるわけにはいかない。


 これからが正念場だ。


 今まで何回も味わった事がある。


「当選確実です」


 選挙速報でたびたび耳にした。


 しかし、土壇場で逆転、当選しなかった。


 そんな事が想定されるから、例えテレビの速報で「当確」が打たれても安心は出来ないのだ。




 やがて選挙活動は終了した。


 後は本当に天命を待つばかりである。私に出来る事は全てやり尽くした。


 私は、共に戦って来た後援者達と食い入るように選挙速報を見た。


 次々に他の選挙区で当確者が発表される。


 遂に私の選挙区の速報が入った。


 私達は固唾を呑んで見守る。


「G県第四区の当確が出ました」


 テレビのキャスターが告げた。


 私はギクッとして両手を握りしめた。


 当確を出したのは、相手候補だった。


 私は天を仰いだ。


 涙が流れた。


 心の底から、こみ上げて来るこの感情。


 押さえる事が出来ず、叫んだ。


「やったぞ! やった!」


 選挙事務所に木霊する万歳の声。


 喜びを分かち合い、握手を交わす後援者達。


 私は感動のあまり、何も言えずにお辞儀をし続けた。


 そんな中、ニュースキャスターが告げた。


「以上で第二十回人柱選挙の当確者速報を終了致します」

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