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mission20 必須イベントを攻略せよ!


『戻ったぷんー』


 不良に勝利した日の夜遅く、鹿峰のイベント確認に行っていたカッスがようやく戻ってきた。


『疲れたぷん。お風呂入って寝るぷん』

「風呂の湯はもう抜かれてたけどな」


 というか、コイツ風呂入る習慣そんなにあったか?



『おやすぷん』

「待て」



 ホウレンソウが全くできていない。何しに行ってきたんだお前は。



「鹿峰のイベントだよ。攻略には必須だったか?」

『ぷん。調べてみたら必須だったぷん。おやすぷん』

「もう少し待て」



 攻略本には、【主人公のアドバイスが鹿峰の将来を左右する……?】という言葉とともに、笑顔の鹿峰のイラストが掲載されていた。

 今日のイベントとされていたみけのイベントの場合はイラストなし、【公園で遊べるぞ!】の一言コメントだけだったから、捨てイベントだと判断できたが、鹿峰のイベントはやはり重要なものだったようだ。



「取り返しがつくか?」

『ぷん。攻略本には今日で記載されていたぷんが、あと二回チャンスがあるみたいぷん』



 しっかり調べてくれていた。正直、カッスがこれほどサポートしてくれるとは思わなかった。



「助かったよ、ありがとうカッス」

『ぷん』



 そのまま発光することもなく寝てしまった。どうやって調べたのかは分からないが、よほど疲れたのだろう。タオルを毛布代わりにかけてやり、自分もベッドへ入る。


 明日はカッスにその"あと二回"のイベントが起こる日にちを確認して、鹿峰のイベントがどうして起こらなかったのかも調べないといけないな……。パラメータ上げは、デートに備えて明日も魅力にしておこう。



 そんなことを考えているうちに眠ってしまい、次の日。太郎が相変わらず読書に勤しんでいる間、カッスに確認を取ることにした。


「カッス、昨日の話の続きなんだが」

『昨日ぷん?』


 嫌な予感がする。



「鹿峰のイベントがいつ起こるかと、昨日イベントが起こらなかった理由なんだが」

『何の話ぷん?』



 もしかして、と嫌な予感が膨らんでいく。




「お前、まさか昨日調べたこととか鹿峰のイベントのこととか忘れたんじゃないだろうな」




 きょとんとした可愛くもない顔でカッスはこちらを見ている。頼む、なーんちゃって来い。今ならまだ許すから。




『あ、ああっ! あの、あの鹿峰のイベントの話ぷんね! ぷんぷん。しっかり覚えてるぷん!』

「覚えてない奴の反応の仕方だよそれはっ!」




 つい声を荒げてしまった。




「ほーちゃん? どうかした?」

「ああ……。悪い、一日に何回か声を荒げる癖があるんだ」

「なるほど」



 そんな言い訳で太郎は納得してくれた。



「なくて七癖ってやつだね」



 そんな癖が七つもあってたまるか。読書を再開した太郎は置いておくとして、対策を練らないとな。


『ぷぷん。テレパシーを使えばいいのにぷん』

「面倒なんだよ。とりあえずカッス。思い出せる範囲でいいから情報をくれ」


 カッスの情報は攻略本とほとんど同じではあったが、大体の目安をつけるのには役立った。幼少期は基本的に出会いが主で鹿峰を除いて高校時代の攻略にまで大きな影響を与えるイベントは少ない。


 よって、鹿峰のイベントをなんとか起こすことと、キープ要員である綾咲かなえとの出会いを最優先しつつ、とにかく出会いをこなしていくことが必要に思える。もう出会った桐生、みけ、箱森、宮藤は幼少期ではもう会わなくても良さそうだ。



「しかし、鹿峰だけ必須のイベントがあるのは不思議なもんだな」

『鹿峰わかなは春日野みけのと同じく元々は初心者向けキャラぷん。必須イベントさえしておけば勝手に好きになるチョロキャラぷん』



 チョロキャラのくせに要件満たしても出てこないとか、本当このゲームはなんなんだよ。



「あと、カッス。攻略本でシルエットになってる隠しキャラ3人なんだが」

『ぷん。我もよく知らないぷん』



 今まで会った中にもシルエットと重なるキャラはいない。男の子が実は女の子な線もなくはないが、今まで出会った男は本屋のおっさんと野球と磯野、中島だけだしな。女の子になってもらっても困る。


「なんか通販を利用するとか、サーカスがくるとか、やたらぶつかってくるとか、夜の学校に行くとかないのか?」

『ぷん……。夜の学校なら行こうと思えば行けるぷんが』


 歯にものが詰まったような言い方をする。



『もれなく時空の狭間もついてくるぷん』

「やめておこう」



 隠しキャラには隠れておいてもらおう。



「ほーちゃん、終わったよー」





 さて、じゃあ行くか。






◇ ◇ ◇






「太郎、すぐに追いつくからそこの分かれ道までちゃんと歩いとけよ」

「え? ほーちゃんはどこに」

「野暮用を済ませてくる!」



 太郎の見張りはカッスに頼み、テレパシーで連携。俺はといえば、



『うにょにょにょ』



 時空の狭間こと触手に捕まらないように、海辺を目指し、



「クッソ、いねぇ!」



 踵を返して太郎の元へ。これが、いつ起こるか分からない鹿峰わかなの必須イベントへの対策である。


 分かれ道から図書館や海等、イベントが発生する場所へ行くことができる。つまり、目的地を決めずに歩いていてもそこまでなら時空の狭間は太郎の元には現れない。


 イレギュラーな行動を俺がしたとしても、桐生イベントの時の経験から、走ればなんとか逃げ切れることは分かった。危険は伴うが、これで俺が鹿峰を発見すれば海へ、そうでなければ他のヒロインの元へ行くことができる。



「あ。ほーちゃん、おかえりー」

「はぁっ、はぁっ……。太郎、プラネタリウムに、行くぞ」

「うん、わかったー」



 こうして、綾咲かなえ、蘭堂あいり、篝火あやね、山形ちなつ、笹川さららとは無事に出会うことができた。できたのだが。




「今日もいない……」




 どういうことだ。もう10日目、あと4日しか残っていない。とりあえず時空の狭間から逃げるために走り出す。考えろ。鹿峰を逃すと桐生攻略にシフトしていく必要がある。あと4日でなんとかなるか?


 いつもならば脇目も振らずに走るところだが、考え事に集中していたせいか時空の狭間がそこまで来ている。



「ポーズっ!」



 相変わらずクソダサイ格好をして時を止める。どうせこの場所からまたスタートにはなるが、ポーズ開けで全力で走れば逃げ切れるだろう。この辺りだと……この鹿峰って家のところで左に曲がった方がいいな。よし。





 鹿峰?





 ポーズ中を良いことに、家の窓から覗いてみれば鹿峰わかなの姿がそこにあった。勉強している……いや、勉強がなかなか進まなくて、消しゴムのカスで練り消しを作ろうとしている姿がそこにあった。勉強しろ。



「ステータスっ!」



 カッスはバグではないと言っていたが、一応ステータス画面も確認しておこう。もしかしたら必須イベントについて何か分かるかもしれない。えっと……基本情報はどうでもいいから、まばたきして。あった、好みのタイプは……。



 体力・優しさが30以上



 体力・優しさ? ちょっと待て。攻略本ではコイツは学力・体力重視だったはずだ。バグではないとカッスが言っていたが。




 まさか。





「攻略本の、記載ミス……?」





 なくはない。この時代にはむしろよくあった。紙媒体の攻略本で何版か刷られる攻略本なら小さな紙にお詫びとともに記載ミスの訂正が書いてあることもあった。


 ただ、このゲームの攻略本は雑誌の付録。もし誤った記載があったとしたら……何号か後の雑誌で訂正がされるか、気づかれずにそのままのおそれもある。




『何してるぷん! 時間ぷん!』




 カッスの声で、ようやく我に帰る。





 ポーズ開けで元の場所に戻っていないと、時空の狭間に呑み込まれる。急いで戻るが、逃げ切れるか?







『うにょにょにょ』











 なんとかポーズ位置には戻れた。すぐに走り出そうとして、





「あーーーー」









 バランスを崩して、








 そして。








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