それは荒野に咲く一輪の花のようで
ようやく、海ちゃんが主役ですね。
可愛い海ちゃんが活躍するのは嬉しいですなぁ…
特にこの戦いで目指すゴール地点などはないが、あえて言うならSクラスに入ることがゴールと言えるだろう。
大多数の生徒達は、そこを目指して動くことだろう。
もちろん俺はその程度では満足しないが。
参加するからには、最後の1人になるまで負けるつもりはない。
この場合は最後のチームか。
「それにしても、静かだねぇ…あんなに沢山の生徒達が皆、隠密作戦をとるとは思えないのだけども…」
「それは、俊哉のせいでもあると思うぜ」
「というか、絶対俊くんのせいでしょ…」
「俺は何もしてないじゃないか。ただ、静かにこの森の風景を楽しんでいるだけだが…。それにそろそろ、雑談タイムはお終いになるぞ〜…ほれ」
「え…何で開けた場所に生徒達が…。しかも、男子ばかり…」
「…こっちには、女子ばかりが…」
「「なぜ、私(俺)を見ている」」
それは、そうだろうなんせ今朝の正門での騒動を引き起こした張本人たちなのだから。
それぞれに恨みがあるのだろうな…。
ここは、2人に頑張ってもらおう。
「何で私がこんな目に合わないといけないのよ…」
準備ができた女子団(そう呼ぶことにした)が押し寄せようとしている進路に立ち塞がる形で構える。
あれ、目がおかしくなったのかな…女子団の後ろに男子の集団が…。
と言うか、女子より多い気がするような…。
あれは、選抜の班分けのときに断った男子達…だよね…。
あれも相手すんの!?
振り返り、俊くんを見る。
優雅にお茶しやがってた。
待てぇぇぇぇぇぇぇ!!何で君塚くんと楽しく談笑してんのよ!
「…ん?おーい、海ー。これ15分以内に処理できなかったら、俺がやるぞー。その時は気をつけてなー」
それはまずい。俊くんが出るとなると無事にすまなくなる。
そして、絶対この後で家に帰ったら母様に絞られる。
それだけは、回避しなければ。
「引けない理由ができなくなってしまったじゃないの…」
私は使用を許可された小太刀を構える。
夏月家は二刀小太刀術を主とした、暗殺術に長けた戦法を得意とする。
本来は、真っ向勝負で尚更集団戦なんてする事を前提としていないはずなのだ。
しかし、海は集団に相対する。
「私は本来はこんな戦い方得意じゃないのになぁ…」
海は、そんな事をぼやきながら集団に突っ込む。
待ち構えているものだと思っていた、集団は急には止まれない。
海は集団に紛れていく。
「あれ、どこ行ったのよ!?」
「私の横は通りすぎたわ!」
「あなた!?」「違うわよ!」
混乱に陥った集団の中に紛れ込むなど、夏月家の術を持ってすれば容易い。
そこに後ろから男子達が合流しさらに混乱を引き起こす。
ややあって、リーダー格と思われる男子を中心として落ち着きを取り戻す。
「夏月家の戦術は気付いた時には倒されているものだ、この状況はまんまと相手の術中に陥っているぞ!」
さすがに、見抜くのが早いわね…もう準備はできているから関係ないけど。
私は、気配を殺して集団を抜け先ほどまで立っていた場所に戻る。
「いたぞ!囲まず多くても2人ずつ当たれ!」
まぁ、勝負をする土俵に引き上げられた時点で暗殺者として失格よね。
引き揚げられたらの話だけど。
「あ、おい!どうしたんだ!?」
「しっかりしろ!」
1人、また1人と倒れていく。
まるで、スイッチが切れたロボットのように。
「あら、中には根性がある奴がいるじゃない」
何とか耐えて、こちらに向かってくるのがいる。ざっくり20人ほどだ。
いいじゃない、こちとら俊くんに無茶振りされてフラストレーション溜まってんのよ。
八つ当たりさせてもらうわよ!
「この人数が1人ずつ当たっていけば半分くらいは辿り着けるだろう!」
「…あれ、夏月さんはどこに行った?」
「いや、あそこに…」
「いやこっちよ」
「えっ!?」
そんな悠長に待っているわけないじゃない。
海の持った赤い刀身を持つ、小太刀が赤い輝きを残しながら閃く。
海自身も舞うような動きで、集団の合間を動いていく。
最後に先ほどのリーダー格の生徒の前にわざと姿を現す。
「あなたの状況を見て冷静に対応する速さは素晴らしいかったわ。ただ、まだ戦闘と言うものに慣れていない事だけが惜しかったわね」
「ふっ…この藤本。軍師の二つ名をもらうにはまだ浅すぎたか…」
「あら、あなた圭人さんの息子さんなのね」
「父を知っているか…冬月家が束ねる集団の当主が高校生に入れ替わっていると言うのは本当だったのか。それは叶わないわけだ。潔く負けを認めよう」
「十分、高校生としては能力は高いわよ」
まぁ、高校生としての能力で捉えた場合だが。
リーダー格の生徒こと藤本準に止めを刺す。
倒れた生徒達の真ん中に立つ海は赤い髪と赤い小太刀を見て、裏社会で轟いている椿姫という二つ名に恥じない美しさと触れてはいけない様な雰囲気を醸し抱いていた。
まるで戦場に咲いた一輪の華の様に。
圧倒的すぎて、同年代では相手にならないため、戦闘シーンがあっけなく終わってしまいました。
今後、みんなにはもっと苦戦をして行ってもらおうと思います。笑




