どうやら本気のようで
学園長から話を聞いてから数日。
放課後の教室に何人かの生徒の姿があった。
「さて、今回君たちに声を掛けさせてもらった理由は一つ。今度行われる、学園都市対抗戦の代表入りできる実力者、してもらいたい人間だからだ。」
「なんで僕までいるのかな…」
朧は隅でため息をついている。
彼に関しては特に何もしなくても、代表入りは間違いないだろう。
しかし、性格上選抜戦には出ないと言い出すと思ったので連れてきた。
「はいはーい!質問です!僕は特待生だけど君らみたいには戦闘できないんだけどどうして?」
君塚の質問も当然だ。
「それでいうと私も戦闘向きではないですし、冬月様ならそれを知っているはずじゃ…。」
それに同調してきたのは、神崎家の長女、神崎春だ。
「そう君たち2人には対抗戦のサポートメンバー入りしてほしいんだよ。今回の選抜戦は選手1人に対してサポートメンバー1人指名できる。」
「てことは、君らのサポートメンバーとしてついてそのまま対抗戦にもついてこいと…」
「俺のサポートには唯人がつくから、君塚は霧に。神崎は海についてくれ。残りも好きなようにつけてくれて構わない。」
「なんか、リーダーみたいに仕切ってるところ悪いけどよ?俺は戦闘できるが後方支援タイプだ。とても選抜戦を勝ち抜けるとは思えないし、サポートも辞退したいんだが?」
そう言い出したのは藤本準。
確かに彼はパートナーの能力と本人の才能も相まって直接戦闘向きではない。
参謀や軍師といった役割に近い。
「君は選抜戦に参加しているだけで良いさ。元より直接的な戦闘では無理してほしくないから。むしろ君には俺以外のメンバーが最大限動けるように動いてもらいたい。」
「…俺のこと知ってるようじゃねぇか?家についても調査済みか?」
むしろ、知られていないと思っていたことの方に驚きだ。
うまく隠されているが、彼は様々な場面で活躍してきたのにも関わらず、表に出てこなかった人間だ。
この国のほとんどを把握している四季派閥を相手にして、何かを隠すなんて真っ白なキャンパスに黒インクを垂らしてるようなものだ。
…もっとも白いインクを垂らす連中もいるようだが?
「この場にいる人間に関しては、俺は良くも悪くも全てが筒抜けに近い」
「強いて言えば知らないのは実戦時の強さってか?」
「あぁ、おおよそは予想できるが情報と事実は全く違うことが多いからな」
この答えに納得したのか、満足そうに笑って座る。
「この中の皆様は、成績が良いので代表に選ばれるでしょうが…私もですか?」
まさかの唯人からの質問だ。
てっきり、普通のようについてくると思っていた。
「と言うのはどう言うことだ?」
「私も一応、学生ではありますけど大前提は、冬月家の使用人で俊哉様の専属使用人でもあります。そうなると代表としての活動ができるのかどうかが…」
そんなことを気にしているのか。
「唯人…そもそもの話だが…俺らは生徒だが?」
「…あぁ、そうでしたね」
言葉に気づいたのか、苦笑しながら頷く。
まぁ、確かに唯人の立場からすれば複雑ではあるか。
とは言え、今年の対抗戦は本気でやると決めたからには、多少の気まずさや不都合は踏み潰していくしかない。
てか、藤本は入学式にも一応顔を合わせているはずなんだが、なぜ他人行儀な対応なんだろうか。
まぁ、直接会話するのは初めてだし、向こうから認識されてたかどうか怪しいが。
「まぁ、各々質問があるとは思うが個人的な質問はこの後聞くとして…。全体を通して何か質問はあるかな?」
顔を見合わせはするが出てこないのでとりあえずは良さそうだな。
個人的には大いにありますってみんなに書いてあるから、数日は大変になりそうだな。




