新人は体力勝負のようで(俊哉視点)
どうやら本気で俺の事を認識していなかったようだ。
そこそこ表に出ているつもりだったが、思ったより知名度はないようなんだな…。
もっと派手に目立つべきなんだろうか?
腕を組んで考え込んでしまう。
側から見れば仁王立ちしているように見えるかも知れない。
「ソニックフィストぉぉぉぉぉ!」
おぉう!?
いつの間にか始まってたのか!?
…けど…少しばかり速いがそこまでだな…ひとまず軽く受けておく。
鍛え甲斐がありそうだな。
よし、今はこいつをシゴく事にするか。
ひとまずはこれが全力での攻撃っぽいな。
「君の一撃の全力は確認したよ。じゃあ次は連撃の全力を確認したいかな?」
その後、一般的には目にも止まらないであろう速さで拳撃を繰り出されるが、俺からすれば舐められているのかと思えるほどだ。
しかし、この学園のレベルからすれば高いのかもしれない。
とりあえず、色々な項目を測定していこう。
…3分後
「よし、君の実力は確認できたかな。もう良いよ」
だいぶ疲れ切って、限界まで出し切ったところだろう。
「これから君のレベルを1段階だけ上げる訓練をしようか」
息を切らして膝が笑っている状態でこちらを見上げてくる。
これくらいで音を上げてたらコイツ、持たないぞ…?
「それじゃまずは俊敏性をあげよう。頑張って避けないと骨折くらいは最低でもするからしっかりしなよ」
「っっ!?」
俊哉の背後に無数の剣が浮かぶ。
陽剣の能力に「無限の剣撃」と言うのがある。
その現場に在る物から剣を生成、支配下に置く事でたった一人で一騎当千を実現する事ができる物の縮小版のようなものを発動。
とはいえ海と霧からすれば慣れたものかもしれないが、これの恐ろしい所はほぼ再現無く本数・速度が上がって行くところだ。
使用者の実力に比例するため実質付いてこれるのがいない。
ぶっちゃけ、そこまで俺自身が動くわけでもないので暇である。
「よしよし、良い感じに生きてるね…そしたらまだ限界くらいだろうからもう少し、本数を増やそう」
まるで地獄を除いたかのような顔をしている。
まだまだこんなものじゃないのに…、何をガッカリしたような表情を浮かべているな…。
「なんか凄い言いたそうにしてるけど、この後まだまだ3個くらいのメニューこなしてもらうからね。覚悟しておきな?」
死んでしまったかのように真っ白になる顔。
これでもかなり手加減している方なんだけどな…これくらいのレベルなら、世の中にはゴロゴロ居ると思う程度のはず。
でもまぁ、世界に出たことのない一般生徒の基準からすればこれくらいでもキツいか。
「よく、耐えたね。これであとはしっかり休息を取れば君はもう以前とは1段階強くなっているはずだよ」
勝手に決闘を訓練時間にした俊哉は倒れ込んでしまった彼を介抱するように頼んで一足先に訓練場を後にする。
これを見ていた一部のクラスメイトたちは今後は何があっても彼に決闘を申し込むことはしないと心に強くちっかたのだった。
「にしても、俺の知名度ってどうなってんのかなぁ…」
「十分すぎるくらいに有名かと思いますが?」
「うおっ」
久々の唯人の登場だ。
何をしていたんだろうか?
「普通に生活していましたからね?俊哉様の周りが騒がしすぎて私の存在感が消えそうだったので満を辞しての登場をしました」
そういえば入学してからてんやわんやの大騒ぎが続いている気がするな…。
大人しく普通の学生生活を送りたいだけなのになぜこんなにもトラブル続きなんだろうか?
「俊哉様がそう言うものを引き付けるからだと思いますが…」
そう呟いた、唯人の呟きは届いていないようで考えながら歩いて行く俊哉。
そっとため息をついて、静かに後ろをついて行く唯人。
束の間の平穏な時間が訪れているのだが、俊哉は気付いていない。




